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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたライフワーク画集です。誰の心にもある遠い日の思い出を描いていければと思っています。毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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2024年5月の記事一覧

「小鳥屋さん」昭和の街角

「僕の昭和スケッチ」画238枚目 上の絵は小学校の通学路に昔あった小鳥屋さんの記憶を描いたもの。 子供でも小遣いを数日貯めれば買えるような値段で売られている小鳥達もあり、命の安さに子どもながら驚いた記憶がある。 昭和40年代が最盛期だった小鳥ブーム。 柳ヶ瀬近くの街角にあったこの小鳥屋さんも今はもう無い。 今日はこの絵を見て頂ければ、僕はもうそれで充分。

「クリームソーダを頼めなかった15歳」

「僕の昭和スケッチ」画237枚目 クリームソーダを男が喫茶店で頼むのはちょっとハードルがある。 馬鹿馬鹿しい話であり、今時こんなことを言うのも憚られるが、「男子たるものクリームソーダなんぞ頼んで良いのか」という躊躇いがある。 特に高校時代に喫茶店に行き始めた頃などは、なかなかクリームソーダは頼めなかった。何となく子供っぽく見られるような気がしたからだ。それに、そんな女子ども(失礼!)の頼むようなものを口にしたら、連んでいた仲間達に何を言われるか分からなかった。それで、コ

「天は人の上に人を造らず」若き日の福澤諭吉を描く

「僕の昭和スケッチ」画236枚目 福澤諭吉 諭吉の肖像が一万円札になったのは昭和59年、もう昭和も終わりという頃だ。 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず、と言へり」 これは諭吉の「学問のすゝめ」の冒頭の有名な一文。 アメリカの独立宣言の序文『すべての人間は、生まれながらにして平等である』を諭吉が意訳引用したものだ。 だから最後が「、と言えり」になっている。 だが、「学問のすゝめ」はこの後以下のように続いている。 意外に知られていないのだけれど、、、 <要

「母と伊勢海老」信心と殺生

「僕の昭和スケッチ」画235枚目 ある時、大きな伊勢海老が我が家にやってきた。 客が土産に持って来てくれたもので、「塩茹でにするだけでええでね」と客は言って帰った。昭和30年半ば頃のことだろうか。 客が帰った後でお袋は言われた通り、大鍋に水を張り伊勢海老を入れるとガスに火をつけた。 湯が温まってくると、伊勢海老は苦しいので鍋の中でガタガタと鍋を揺らして飛び出ようとする。お袋は,「そうはさせじ!」と上から力一杯鍋の蓋を抑える。 鍋の中で苦しむ海老を哀れと思ったのか、そ