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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたライフワーク画集です。誰の心にもある遠い日の思い出を描いていければと思っています。毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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2023年11月の記事一覧

ミシンを踏む音、暮らしの音

「僕の昭和スケッチ」絵と文/213枚目 カタカタカタ カタカタカタ カタカタカタ カタカタ カタカタカタ 2階の廊下で母親がミシンを踏む音が階下に聞こえてくる こっそりと 階段を登って 廊下のはじから顔を出す  カタカタカタ カタカタカタ 母親の足がリズミカルに踏み台を踏んでいる 開け放した窓から日差しが差し込んで ミシンと母親の足元を照らしている 母親の足はだいこん足だ ちいさな埃が日差しの中にゆらゆらと漂っている なんだか いい気持ちになる カタカタ

算盤から電卓へ、そして生き残る言葉

「僕の昭和スケッチ」212枚目 子供の頃に算盤塾に通わされた方も多いのでは? かくいう僕も、親に勧められてほんの暫くだが通って、すぐに辞めた。 辞めた理由というのは、何となく古臭くこれが本当に将来自分の役に立つ、という実感が持てなかったからだ。 もう一つは、ずっと算盤を習っている子供達の中には非常に大きな数の暗算などをいとも簡単にこなしてしまう、、、そんな怪物が塾にはいたのだ。どういう訳か、僕の記憶ではそれは女の子が多い。 そんなモンスター達に「これは、到底敵わん」と

「ビートルズがいた時代」そして今「NOW AND THEN」

「僕の昭和スケッチ」211枚目 BEATLESが大好きだった。 あれほど音楽が好きだった時代はない。 BEATLESの曲を聴いていると気を失いそうになった。何かよく分からないものが胸の奥から湧いてきて殆ど泣き出しそうになったりした。 それは、どんなに明るくご機嫌な曲を聴いていてもそうだった。 だから、「I Want To Hold Your Hand」が全米を席巻した時に、アメリカのティーンエイジャーの女の子達が髪を振り乱して泣き叫んでいた気分が、僕には、いや、多分僕

「ボンカレーの出た日」インスタント時代

「僕の昭和スケッチ」210枚目 ボンカレーは保存料や殺菌剤を使っていない ボンカレーが大塚食品から出たのは1968年(昭和43年)の事。 意外と知られていないのだけれど、ボンカレーは保存料や殺菌剤を使っていない。 賞味期間の長さから合成保存料や殺菌剤を使っているような勘違いをされがちなボンカレー。発売当初は尚更で、その誤解が当初ボンカレーの売れ行きにブレーキをかけてしまったという。 「どうせ、薬をいっぱい使ってるんだよね」 そう思った人は非常に多く、今もそんなふうに思