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香港 #32

激しい雨が窓を叩きつける音と、大きな落雷の音に目が覚めた。
アンディは、おはようと言うと、もう、いきなり私を求めた。
とても苦手な稲妻の光や音が、度々私をびくびさせる。
すると彼は、
「もっと怖がって。君の・・・締まるのがたまらない」
といやらしい言葉を私の耳元で囁く。
「もぉー、やだ」と甘い声で私が反応すると、彼は余計に様々な言葉で私を恥ずかしめては、喜んでいるように見えた。

一度目の後、暫くして次も欲しいと甘える彼に、今日は仕事だからもうシャワーを浴びさせてねと、私はベッドから抜け出した。そして、側にあったバスローブを取ろうとする。
それじゃあ一緒にと、彼もベッドから這い出して、
「さあ行こうか。しっかり捕まって」
と、いとも簡単に私を抱き上げた。
裸のままなんて恥ずかしいからと嫌がる私に、何をいまさらと笑いながらシャワールームに連れて行く。

彼は左手で私の体にシャワーをかけながら、右手で私の秘密の部分を優しく刺激する。シャワールームでなんて駄目と、優しく彼の手を払いのけようとするが、私は勝てない。力が抜けて体の芯からどんどん気持ち良くさせられ、喘ぎ声がでてしまう。彼は、ジューシーになったその部分にまた入ってきて、私達はコネクトした。

熱く火照った体を鎮めるのに時間がかかった。
仕事前に一緒にブランチをしようという彼について行くと、アパートメントから外に出ずともそのままホテルのカフェに辿り着けた。
「おはようございます。アンディ様」
スタッフの挨拶は、名前入りだった。彼はここにもいつも通っているのだろうと思いながら、私は彼の横を少しだけ誇らしげに歩いた。

案内されたのは窓際のテーブル。雨はまだ降っていた。
硝子に流れるいくつもの水滴を通して見えたのは、霧がかかってその一部が隠れてしまった香港島のいくつものビルだった。
そんな雨の日の景色もまた悪くなかった。

彼が二人分のアメリカンブレックファーストを注文すると、ウェイトレスは私に向かってフレッシュジュースは何にするか、卵料理は何にするか、パンは?そして最後の飲み物のオーダーは何にするかなど尋ねた。私は、クロワッサンとグレープフルーツジュースをすぐ選んだが、卵を迷っていると、
「チーズオムレツがお勧め」
と彼が教えてくれた。
まだ知り合って間もないアンディ。彼の好みや彼に関するあらゆる事を、時間をかけて知っていきたいと思った。

車で仕事場まで送っていくと言う彼の好意を断り、私は地下鉄に乗った。
ここからは気持ちを切り替えて仕事モードの私に無理やり戻さなければならない。それと昨夜無視をしていたラム先輩から、何かしらの接近があるのも覚悟しなければならないと、スマホの電源をオンにした。

画面には沢山の電話とラインメッセージが連なっていて、少し恐怖を覚えた。一番最後のメッセージには「ゆっくり話しをしたい」となっていた。
私も確かに直接話をし、またお礼を伝えるべきだと思った。

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