物語「オリーブの木を育てよう⑦」
1ページ目
今日は、仕事がお休み。
島へ行くことができる^_^
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、はじめて冬を越すオリーブのために『ぽかぽかシート』を用意していた。
たくさんの『ぽかぽかシート』を大きな大きな袋に入れた。
「さ〜行くべ〜・・・んん?」
なんとなく庭に出てみると・・・。
鳥が1羽。
目が合った。
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2ページ目
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、部屋に戻った。
そして、おにぎりを1つ、ガーデンテーブルの上に置いた。
また、鳥と目が合った。
すると・・・「んん??」
オルガンの音が庭に降り注ぐように聞こえてきた。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、小さな声で歌いはじめた。
「泣き腫らす空は晴れ
耳ふさぐ音は消えた
小鳥の声は涼やか
心に響く励まし・・・♪♫」
「さ〜行くべ〜」『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、屋根の方を見て言った。
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3ページ目
蜂すずめがカモメの顔の近くまで飛んできて、静止飛行しながら言った。
「今日は、わたしたちも一緒に島に行きたいのだけど・・・どうかな〜?」
カモメは驚いた!
うれしくて、うれしくて。
そして、みんなで行けれる方法を考えた。
カモメは言った。
「みんなで行こう❗️島に行こう❗️オリーブを見に行こう❗️」
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「蜂すずめさん、よだかさんの背中の羽に入ってみてください。
よだかさん、飛んでるみたいに羽を動かしてみてください」と、カモメが言った。
蜂すずめは、羽の中にもぐり込んで、しっかりつかまっていられる場所を探した。
よだかは、大きく、力強く羽を動かした。
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5ページ目
「さー行こう」と、カモメは言った。
よだかは、空に浮かんだ。
カワセミとルリビタキも空に浮かんだ。
カモメは、一瞬、目を閉じ、港の大きな建物の、3階のマスターデッキの風景を瞼の裏に映した。
そして、カモメも空へ浮かんだ。
ガーデンテーブルでおにぎりを食べている鳥が、浮かんでから飛んで行く鳥たちを見ていた。
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6ページ目
川を越え、
高速道路を越え、
線路を越え、
カモメ、よだか、カワセミ、ルリビタキ、そして、蜂すずめは、海に向かって飛んだ。
右にショッピングモール。
左に『シオーモの小径』が見えた。
「もう少しだよ」カモメが言った。
『シオーモの小径』を歩くカメラマンが、サイズの違う鳥たちが、縦に、横に、1列になって飛んでいるので、写真を撮りはじめた。
カメラマンは、どんな鳥だろう?と、ズームしてみると、黒っぽい鳥の背中の中に、小さな顔を見つけた。
カメラマンは、シャッターを切った。
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7ページ目
カモメ、カワセミ、ルリビタキ、よだかは、マスターデッキに降りたった。
蜂すずめは、よだかの背中から飛び出た。
「ありがとう。よだか兄さん!」
カモメ、カワセミ、ルリビタキ、よだか、蜂すずめは、横に1列に並んで港を見た。
おだやかな海。
海面はきらきら、きらきら。
光の子が飛びはねてる。
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8ページ目
『オリーブの木の苗を運ぶ人』が、大きな大きな袋を持って、船に乗ろうとしていた。
カモメが、「行くよ〜」と言った。
蜂すずめは、よだかの背中の羽の中にもぐり込んだ。
船の甲板の端に、大きな四角い箱があった。
その上にカモメは降りた。
ルリビタキ、カワセミ、よだかも降りた。
よだかの背中の羽の中から、蜂すずめが顔を出した。
「蜂すずめさん、島に着くまで、よだかさんの背中にしっかりつかまっていてくださいね。船が動き出すと、強めの風が当たりますから」
カモメは、蜂すずめに言った。
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9ページ目
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、海風の当たらない船内のイスに座った。
「出港します」
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、甲板に出てみた。
青い海、青い空。
天気は、とてもいい日。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、ポケットから磨きかけの小さな石を取り出した。
「あっ!」落としてしまった。
コロコロと石は、甲板の端の方に転がっていく。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、石を追いかけた。
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コロコロ、コロコロ、小さな石は、甲板の端の大きな箱の前で止まった。
カモメは、近づいて来る人が『オリーブの木の苗を運ぶ人』だと分かったので、そのまま、そこにいることにした。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、甲板の箱の上の白い鳥と黒っぽい鳥が見えたが、飛んでいくだろうと思った。
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11ページ目
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、どんどん箱に近づいた。
「あら〜逃げないのね^_^」と、つぶやいた。
石を拾い、鳥たちを見ると・・・。
「あ〜〜〜、君たち‼️ルリビタキもカワセミも・・・あっ❗️蜂すずめも。
もしかして・・・島に行くの❓」
カモメ、よだか、カワセミ、ルリビタキは、大きく大きくうなずいた。
よだかの背中の羽の中で蜂すずめも、大きく大きくうなずいた。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、石を空にかざしてみた。
石が・・・キラキラ、キラキラ輝き出した。
その石のキラキラは、上空の上空、さらに上空の上空へ向かって行った。
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1時間程の船の旅。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、海や空の写真を撮ったり、いつも一緒のお地蔵さまの写真を撮ったりした。
カモメ、カワセミ、ルリビタキは、『オリーブの木の苗を運ぶ人』の後をトコトコ、トコトコ、ぴょん、ぴょん、ぴょんとくっついて歩いていた。
よだかは、背中に乗ってる蜂すずめとニコニコしながらお話し中^_^
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「よだか兄さん。見て見て❗️ここに扉の絵があるよ」
「あっ❗️あの時の扉みたいだね」と、よだかは蜂すずめに答えた。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、箱の上の、よだかと蜂すずめの写真を撮ろうとした。
すると、よだかの足元に『ふた昔前の店』にある小さな扉と同じ絵を見つけた。
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「こんにちは😃」
『オリーブの木の苗を運ぶ人』が振り返ると、話しかけてきたのは乗客だった。
「初めまして。わたしは、植物学者なんですが、3つ目の島でオリーブの木が育ってると聞いたので行ってみようと思いまして。ご存じですか?」
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は・・・あれ?今日は、他に乗客いなかったはずだけどな〜⁉️ま〜いいか・・・と思った。
「こんにちは😃3つ目の島のオリーブを育ててるのは、わたしと仲間たちなんです」と言って、スマホを取り出し、ブログの記事をお見せした。
「4つ葉のクローバー、お好きなんですね。わたしも大好きなんです。いつのまにか、56葉まで見ることができました^_^」
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「56葉⁉️」
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、想像した。
どんな風に葉が出てるのか想像して・・・笑った。
楽しくて楽しくて笑った。
「おもしろいですよね〜。4つがあるなら、5つ。6つもあるかもしれない。探求は楽しいですね」と、ニコニコしながら植物学者は言った。
カモメ、カワセミ、ルリビタキは、植物学者の足元で遊んでいた。
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16ページ目
1つ目の島に着き、そして出発。
船は、2つ目の島に向かって動き出した。
「どの島もすてきですね」と、植物学者は言った。
「3つ目の島の先に4つ目の島があります。わたしは、なぜか3つ目の島に惹かれて多く通うようになりました。2つ目の島に多く通ってる人もいます」と『オリーブの木の苗を運ぶ人』は言った。
「あなたにお会いできてよかった。友だちから・・・2つ目の島で待っている・・・と連絡が来たので、今日はそこで降りることになりました。オリーブ畑は、また伺いますね。ブログ楽しみにしてます」と植物学者は言った。
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2つ目の島の船着場に着いた。
植物学者が、船を降りると、出迎えの人がいた。
その人と植物学者は、ニコニコしながら挨拶を交わした。
「あれ?宮沢賢治さん⁉️」『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、大きく大きく手を振った。
宮沢賢治さんも、大きく大きく手を振った。
カモメ、カワセミ、ルリビタキ、よだか、蜂すずめも、船着場に向かって羽を振った。
その時、全員のあたたかい『ひかり』が高速でつながった。
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船は動き出し3つ目の島に向かった。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、何度も何度も手を振った。
すると、空から、ドラムの音が降り注ぐように聞こえてきた。
そして、リズムを刻み出した。
空と海の間の空気が、海面をやさしく叩きはじめた。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』カモメ、カワセミ、ルリビタキ、よだかと蜂すずめは、横に1列に並んで海を見た。
『オリーブの木の苗を運ぶ人』は、小さな声で歌いはじめた。
「ワカンタンカ
ワカンタンカ
WAKAN TANKA
ここから先へ行こう・・・♪♫」
🌳🌳⑦はこれでおしまい ⑧へつづく🌳🌳🌳🌳
YouTube 「オリーブの木を育てよう」
作詞作編曲 伊藤心太郎さん
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