藤井聡太八段と呼ばれる日は来ない?タイトル三期で九段昇段の予感


藤井聡太二冠が誕生しましたね。

初タイトルの棋聖に加え、王位も手にしました。


将棋界では、タイトルを二回とると八段に昇段できるというルールがありますので、
これまで七段だったのが、八段になりました。

八段といえば、順位戦でA級に昇級すると昇段できる段位ですから、
段位の点でも将棋界の上位陣に高校生棋士・藤井聡太は仲間入りしたことになります。


ただ、せっかく昇段した八段ですが、「藤井聡太八段」とは一度も呼ばれることないまま、
九段にまで登りつめてしまうというのが大方の予想かと思います。

プロ将棋をよく知らない方向けに、この点について、解説しましょう。


タイトル保持者は段位で呼ばれない


将棋界では(囲碁界でも同じですが)、タイトルを持っている棋士は、

段ではなく、持っているタイトル名が肩書きになります。


ただし、複数のタイトルを持っている場合は、二つなら二冠、三冠と呼ばれます。

しかし、名人や竜王を含む場合は、複数保持していてもこれらのタイトル名が優先されます。

例えば2020年8月21日現在では、渡辺明名人は名人・棋王・王将の三冠を持っていますが、
肩書きは名人です。


細かいことはともかく、段位がタイトルで隠れてしまうわけというですね。


羽生善治九段の例


段位がタイトルで隠れてしまう例として、是非押さえておきたいのは、羽生善治九段の例です。

藤井二冠の登場以前に将棋界で圧倒的な強さを誇っていた棋士といえば、羽生善治九段を真っ先にあげる人は多いでしょう。

しかも決して過去の人ではなく、今でもトップで戦っている第一人者です。


今でこそ羽生善治九段の肩書きに人々が馴染んできましたが、
実は、当初は多くの将棋ファンがこの呼び方に違和感を感じていました。


というのは、羽生善治先生が九段昇段したのはとっくの昔の出来事なのですが、
20年以上の間、一度も「羽生九段」という肩書きではなかったのです。


いつもタイトルを持っていて、しかもたいていは複数持っていましたので、
羽生善治●冠という呼称であるのが普通に感じられたのでした。


ところが、若手棋士たちに次々ダッシュされてしまい、最後のタイトルとなっていた竜王を失って無冠になり、「前竜王」という称号も名乗らなかったため、段位の九段の肩書きで呼ばれるようになりました。


藤井聡太二冠は初防衛や三冠なら九段に


さて、藤井二冠に話を戻します。

八段に昇段したのは、タイトルを二期獲得したことによるものでした。


八段の場合と同じように、九段にも、タイトル三期獲得すれば昇段します。


つまり、三期目のタイトルを獲得できれば、段の上では、「藤井聡太九段」となるのです。


藤井二冠には、三回目以降のタイトル戦の機会がすでに用意されています。

棋聖と王位の防衛戦です。

また、前回、挑戦までにあと一勝という惜しい結果に終わった王将戦も、
その好成績により挑戦者決定リーグに残留しているので、
今度こそ挑戦できる可能性も高いでしょう。


棋聖が王位の防衛戦か、もしも他のタイトルの挑戦者になった場合はそのタイトル戦で、番勝負に勝って通算三期目のタイトルを獲得すれば、
九段に昇段します。


もちろん、あの豊島将之竜王でさえ、一度もタイトル初防衛に成功していないのだから、
藤井聡太二冠といえども決して平坦な道ではありませんが、
今の充実ぶりを考えると、三期目のタイトル獲得の可能性は、かなり期待できそうです。


特に、もしも「藤井聡太三冠」という快挙まで達成したならば、
羽生善治九段の例のように、「藤井聡太九段」という呼び方さえも、
長年に渡ってタイトルで隠れ続けることもありそうですね。


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