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「無いものはすべて自分たちで作ればいい」|#訪問体験記

マガジン「福島県南相馬|中のひと、外のひと」では、移住コンシェルジュ6名(中の人)と南相馬を訪問した人たち(外の人)とが、それぞれの視点で南相馬での生活や体験を切り取っていきます。

記念すべき第1弾は、外のひと。
南相馬市への移住を検討されているまつのさん☕️です。

昨年度開催した南相馬仕事づくりセミナー並びに、南相馬の未来を考えるワークショップにご参加いただき、今回はセミナーやプログラムについて、またMYSHのプログラムを通じて描くこれからの未来について文章にしていただきました。

南相馬・仕事づくりセミナー(2021年〜現在継続中)

仕事を軸にした若者層への移住促進プログラム。地方で働くことに関心を持つ若者層を集め、現状把握(現地視察)により課題(ビジネスの種)を発見、自分自身がやりたい“仕事”で解決するワークを実施、ビジネスメンターサポートによるビジネス性検証を実施していきます。

令和3年度に開催したセミナーでは、⾸都圏に住む20代の学⽣や社会⼈で、地⽅での事業づくりに関⼼のある⽅17名が南相⾺を訪れ、まちの課題を⾒つけ、課題の解決につながり・かつ⾃分が取り組みたいと思う事業アイデアを検討。農業・⾷・⼦育て・コミュニティづくり・PRなど幅広い領域にて、15事業アイデアが⽣まれ、南相⾺市⻑に向け発表会も実施しました。
令和4年度も17⼈全員が参加を継続。それぞれが提案した事業の将来的な実現と、南相⾺がより⾯⽩いまちになることを⽬指し、現地調査・ヒアリング、事業のブラッシュアップ、検証に取り組んでいます。

南相馬の未来を考えるワークショップ(2022年8月実施)

本ワークショップは、市の未来を担う若⼿職員の皆さんと、南相⾺に可能性を感じ、今後関わっていきたいと考えている事業化実現プログラム参加者が集い、お互いに普段とは異なる視点を取り⼊れながら、まちの未来について考えた2⽇間のワークショップ。

自分が住んで楽しいまちづくりへ|南相馬の未来を考える民間学WS

初めまして。まつのです。

今回は、首都圏出身、現在は東京都在住の一般的なサラリーマンである私が、なぜ「南相馬の未来を考えるワークショップ」に参加をしたか?について皆さんにお伝えするとともに、自分がどのような人生を生きたいか?を考えるようになった南相馬での体験を記載していきます。

集合写真

福島で何かをしたい、漠然とした思い

家族や友人、夫婦で「将来設計をどのように考えるか?」を話し合う場面はよくある光景です。私たち夫婦も結婚前から例によって将来を話し合う場面がたくさんありました。
その中で重要となったのは以下の2点です。

  1. どこに住むか?

  2. 何をやるか?

⑴ どこに住むか?


私たち夫婦は新幹線駅まで自宅から10分、自宅から徒歩7分圏内に3本の地下鉄が走る23区内に住んでいます。
コンビニもスーパーも病院も居酒屋もすべて徒歩3分以内だし、自宅賃貸マンション1Fにはカーシェアがあり、濡れずに維持費0でいつでも自動車に乗れます。

間違いなく東京は便利です。そして何か有名イベントは大体都内で実施されるし、東京で買えないモノはないし体験できないこともない。

ただ、唯一、子育てをする環境ではないと思うのです。

学校は多いし人もたくさんいるし教育レベルも高いかもしれない。でもそれ以上に安心して走り回って胸いっぱいに気持ちのいい空気を吸ってほしい。そんな思いから夫婦で地方に暮らすことを自然と意識し始めました。

「調べて分かった福島-浜通り地域-とは」

私は首都圏で育ちましたが、妻が福島県の浜通り出身です。
そのため、自然と福島を調べてみようと思い立ち福島県や12市町村が主催する移住関係のセミナー等に3か月程度みっちり参加しました。
そこで浜通り地域について分かったことは、以下の二つです。

1.様々な課題に直面していること。
2.課題に取り組む面白い人間が全国から集まっていること

浜通り地域は、原子力災害により空白の時間ができた地域です。

つまり、一度人が住めなくなった地域であり、裏を返せば「まち」として0からはじまる地域です。

そんな地域では様々な課題があるとともに、様々な人が思い思いに「まち」を作ろうとしています。
当然地元の人が中核になりますが、移住者も自分が面白い・必要だと思う取り組みを始めているのです。

「福島と自分の関係」

ここで私自身の福島とのつながりを振り返ると、やはり11年前の災害は避けて通れません。
当時高校1年生であった私は、居ても立っても居られずに友人とノープランで現地に飛び込みました。
その時の「何かできることをしなくては」との思いを大切にしたく、新卒時は公務員として人々を助ける仕事を選びました。

今までの自分の人生の軸となった出来事を踏まえると、福島で何かトライすることが必然のように思えてきました。

そこからは、福島に行くからには面白い人たちと一緒に、自分も面白いことをやりたい、私も現地の課題を解決できる人間になりたいとの思いがどんどん強くなってきました。

しかし、いかんせん何から手を付けていいのか分からない。

(2) 事業化プログラムで何をやるか考える

自分が何をすればよいのかモヤモヤしながら、引き続き、浜通り地域の情報収集を進めているところで偶然お会いしたのが、MYSH合同会社南相馬支社長の後藤さんでした。

後藤さんからご紹介いただき、2021年冬より事業化プログラムに参加して、平日の日中は東京での仕事を進めながら、平日夜や土日で南相馬において「自分が何をしたいのか?」を考える道を歩み始めました。

自分が住む地域を自分が思い描く理想の場所にしたい

私は前述のとおり、移住を前提とし、事業化プログラムを通じて自分がやりたいことを考えています。
現時点では、「面白いと思ったことをとりあえずやっていきたい」と思っています。

まず第一にやりたいことは、私たち夫婦が出会った時から話をしていた「カフェ」です。私たち夫婦は珈琲とお菓子が大好きで、ほぼ毎日珈琲を飲みます。珈琲を淹れるのはもっぱら私の趣味で、3年前からはじめました。

当時公務員での勤務は多忙で、28日間自宅に帰れず、代休が20日以上消化できない生活で何か趣味に没頭する時間はありませんでした。
そのような生活の中で日々をワクワクしたものにするため、ハンドドリップ珈琲をはじめました。

趣味の珈琲

珈琲を飲むこと、飲みながら考え事をする、本を読む。
そんな時間も好きですが、どちらかというと珈琲と向き合うドリップの時間が好きでした。
無心で珈琲を淹れる時間が何となく落ち着くのです。

一方で妻は菓子屋で勤務をしており、専ら菓子職人です。
そんな二人でカフェをやってみたいと思うのも、当然のことのように思います。

では、なぜ南相馬でやるのか?

カフェはどこでやったっていいわけです。

みなさんは黒磯のSHOZO、埼玉のSENKIYAをご存じでしょうか。
一言でいえば1件のカフェから街のブランディング、町づくりを進めた偉大な珈琲屋さんです。

私は、浜通り地域への移住を前提としています。
「ただ、自分が住む地域を自分が思い描く理想の場所にしたい」
その手段としてカフェが自分たちに向いていると思うのです。

自分が住む地域で、オシャレで居心地の良い飲食店に通い、センスのいい洋服屋で買い物をする。
たまにコスパのいい立ち飲み屋仲間と語らい、量販店ではないセレクト本屋でお気に入りの本を買う。
疲れたら最高に整えるサウナに入り、週末は家族で釣りやフットサル、キャンプを楽しむ。

そんな生活をしたい。
無いものはすべて自分たちで作ればいい。
自分一人でできないのであれば、仲間が来たいと思える地域にすればいい。
難しく考えることはやめて、自分が道を作り共感する人たちによって道を広げ、増やしていく。
その開拓手段としてカフェをやりたいと考えています。

いかに地元の人を巻き込みながら、プロジェクトを進められるかがポイント

大岩菓子店

今回のWSの最大の特徴は、首都圏からの大学生、社会人、現地の若手市役所職員といった異種格闘技的な異なる背景の人たちが集まれたことです。

皆さん、普段接する人は、毎日会う会社の人間、昔からの友人くらいで限られた人間関係の中で暮らしていませんか。

私も同様です。
だからこそ、たまに新しい人間関係の人たちと話をすると頭に衝撃を受けるような価値観や考え方に出会えてすごくワクワクします。

例えば、地元の若手職員の方とお話しして、当たり前だけど、今まで通り過ぎていたことに気がつきました。

「地元のことはよく知らない」

目的地までは車で移動するし、買い物や遊びに行くのは仙台なんだと。

たしかに!そりゃそうだ!
私も大学卒業までを過ごした地元について、何一つ魅力を答えられません。

というのもやはり電車で移動した「街」が生活の場であり、地元の「まち」は私にとって家があるだけの場所でした。そもそも、地元で魅力を感じようと思いもしませんでした。

つまり例えどこだとしても、日常に溶け込むとなかなか魅力は見えにくいのではないでしょうか。

地元の人にとっては、地元以外を求める何かの要因がある。
でも外から見るとその地元に魅力に映るものはたくさんある。

やはり「現地の人」と「外からの人」を掛け合わせてこそ良い結果が生まれるのだと思います。

私が移住希望者として南相馬で面白いことをするからには、地元の人と一緒に取り組むことが重要だと感じました。

今後の事業化に生かすこと、やってみたいこと

WSの様子

前述のWSでは、「行政区単位での大人の運動会をしたい」、「南相馬チャンネルで〈ぶら散歩〉番組をつくって魅力発信したい」、「首都圏の大学と協力して単位がとれるインターンシップを実施して大学生をもっと呼び込みたい」、「古着屋を地元に作りたい」等のアイデアが出ました。

私自身はまずはカフェを進めていきますが、上記のアイデアはすべてトライしてみたいと思うのです。

アイデアを出しっぱなしにしない、少しでもいいからやろうとしてみる。

そんな行動を周りの方に示しながら、
「アイツ、面白いことやってるよね、楽しそう」
と思ってもらい、
共感する仲間と一緒に自分が住む町を盛り上げられるようにしていきたいです。

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まつのさん、素敵な文章をありがとうございました👏

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