現役大学生が南相馬に“時間”を投資して得た“特別な体験”|#訪問体験記
今回は外のひと。
2月にインターンに訪れたあいりさんの記事です。
つくば在住・都内の大学へ通うあいりさんが、南相馬に出会ったきかっけ、インターン中で感じたことを綴ってくれました。
現役大学生が南相馬に“時間”を投資して得た“特別な体験”
つくば在住、大学2年生の私がなぜ南相馬へ?
こんにちは。つくば在住、お茶の水女子大2年生のあいりです。
私が初めて南相馬を訪れたのは、2022年の8月です。
MYSH合同会社主催の大学生向けプログラムに参加し、一週間の滞在の中で南相馬の仕事・暮らしを体験しました。
私は生まれてからずっと茨城県つくば市在住で、現在もつくばから都内のお茶の水女子大学に通っています。
大学では、「人間生活学科」という聞き慣れない学科で社会科学全般を学んでいて、
ジェンダー、社会学、法学、心理学、グローバル文化学、SDGs…
などなど、学問領域を横断して興味のある授業を幅広く履修しています。
では、南相馬に縁もゆかりもない私がなぜ南相馬へ?
特に地方創生だとか、まちづくりだとか、そういうことに興味があったわけではありません。
小中学校時代の友人が元々MYSHの事業化実現プログラムで高校生向けのキャリア支援プロジェクトを行っており、そのプロジェクトに誘われたことがきっかけでMYSHに出会いました。
「なんとなく面白そう」
「自分が今まで視野に入れたことすらなかった南相馬を知ったら、私の人生の幅はどれくらい広がるんだろう?」
というくらいの気持ちで、
私も高校生向けのキャリア支援プロジェクトに加わりました。
そして、夏の体験プログラムのお話を頂いたという次第です。
大学2年生で就活前の私には“時間”という最強の資産があります。
一方で私は20歳という立派な大人で、自分の時間の使い方は自分で決めることができます。
そんな私がどんな風に“時間”を投資したのか、少しだけお話しさせてください。
地域を見るー1週間でまちの課題から事業案を発案せよ
今振り返ってみると、私はこの1週間のプログラムの中で、
“地域を見る”ということをしたのだと思います。
というのも、1週間の滞在でまちの課題を発見し、その課題を解決するような事業案を提案することがプログラムのゴールの1つになっていました。
そのため、「まちにどんな課題があるのか」という点に特にアンテナを張っていたように思います。
私はまちの視察を通して
・人口が少ない
・市内に大学がないため、高校卒業後に多くの若者が市外に出て行ってしまう
という2つの課題にフォーカスし、最終的に
「南相馬の企業と学生インターンのマッチング事業」を発案しました。
1ヶ月間南相馬にプチ移住し、事業案を実行せよ
2022年12月、MYSHから夏に提案した事業を2月の1ヶ月間で実際にやってみないか、というお話をいただきました。
1週間でも2週間でもなく、1ヶ月。
これだけの時間があれば何か成果を残せるかも、という期待を抱いて南相馬に行きました。
特に尽力して取り組んだのは①です。
“学生と企業の双方にメリットがあるマッチングの仕組みづくりをすること”がヒアリングの目的の一つですが、ヒアリングのための過程が想像以上にハードなものでした。
「企業ヒアリング」というタスクが私の中で肥大化していたようにも思います。
本当の目的を忘れてヒアリングそのものが目的になってしまっていることもあったなと反省しつつ、これだけ重要なタスクを経験させていただけたことを本当に有り難く思う1ヶ月でもありました。
②のベンチャーミートアップのイベントでは、40名ほどの方と名刺を交換し、10社以上にヒアリングを依頼することができました。
“学生と企業の双方にメリットがあるマッチング”と言っても、そもそも学生は何を求めて地方インターンに行くのでしょうか。
それは、地方での「特別な体験」です。
実際に地方インターンに行ったことがある都市部の大学生3名へのヒアリングでは、
「特別な体験」とは「自分がその地域に入ること」
すなわち、自分がその地域のコミュニティに入っているという感覚が得られる体験のこと、という共通解が得られました。
それに対して、企業が提供したいものは「学生への特別な体験」ではありません。
多くの企業が、長期で自分の会社の戦力として働いてくれるような学生を求めていますし、学生を受け入れること自体、地方の中小企業にとってはコストになります。
南相馬に行くことを決意した当初の「何か成果を残せるかも」という期待に反し、“ニーズの不一致”という壁にぶつかり、改めてこの事業をやる目的と、双方のニーズを満たすために補うべきこと、そしてその方法について考えさせられる結果になりました。
地域に入るー「人が人を呼ぶ」理論を解明せよ
MYSHがやっている「しゃべくらべ」という企画では、地方で暮らす人たち3名が各地域の特色をそれぞれお話しされるのですが、そのトークの中に「人を呼ぶのは人」という言葉がありました。
私は南相馬に来てまだ数日だったこともあり、正直その時は「へ〜」という感じで聞いていました。
しかし、南相馬に来て2週間が経った頃、「南相馬の知り合いが増えた」と感じました。
本当に偶然だったのですが、浪江の遊びに行った先で南相馬の知り合いに遭遇し、地元でもたまにしか起こり得ないことが南相馬に来て2週間で起こるのか、と不思議な感覚を味わいました。
浪江では、同じような境遇で長期間南相馬に滞在している同い年の大学生とも出会いました。移住者交流会もそうですが、都市部から来た自分と同年代の若者がここにいる、ということを知る度にものすごく嬉しくなり、私の中で強く印象に残っています。
きっと東京で出会っていたら、お互いにすぐに忘れてしまうような1人になっていたと思います。
1ヶ月のインターンを終えた今、「人を呼ぶのは人でしかない」と強く実感しています。
南相馬に顔見知りの人が増えて、お店の人と仲良くなって、
「この人にまた会いたいから、ここにまた来たい」という
言わば「人が人を呼ぶ」理論が成立するのだなと身をもって感じました。
先述したように、私たち学生にとって「特別な体験」とは
自分がその地域のコミュニティに入っているという感覚が得られるような体験です。
それはまさに、地元でもない場所で、出かけた先で知り合いに出会って、また行きたいお店があって、また会いに行きたい人がいるということだと思います。
1ヶ月のインターンを通して、会社で完結しないような機会をいただけたことが私にとっては本当に幸運でした。
毎日会社で仕事をして完結するような1ヶ月を過ごしていたら、きっと地方でも東京でも変わらないと思っていたに違いありません。
この1ヶ月間で知り合った人の数は60人をゆうに超え、ベンチャーミートアップや移住者交流会では、「新聞で見ました」と声をかけていただくこともありました。
地元では絶対に起こり得ないことなので、改めてとんでもない経験をしていると思います。
多くの方と交流し、関係を築くことができたというのが間違いなくこのインターンの最大のポイントだったと言えます。
「人を呼ぶのは人でしかない」
「きっと私はまたここに来る」
そう思った時に、“地域に入る”ってこういうことなのかなと思いました。
そして、これこそが大学生が求める“特別な体験”なのだと思います。
あいりさん、ありがとうございました👏
「高校生と未来を描く プロジェクト」では、地元新聞の取材を受けたり、60人もの方と知り合ったり、1ヵ月滞在したからこそ体験できた人とのつながりを、今後もぜひ活かしていってくださいね😊
ご活躍楽しみにしています🙌
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