【ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ】フー・キルド・ニンジャスレイヤー?◆ストリート版◆【シナリオコン提出作品】

◆はじめに

 本記事はニンジャスレイヤーTRPG第2版を遊ぶためのFMシナリオ作品であり、ニンジャスレイヤーTRPG公式/ダイハードテイルズ様の主催する第二回シナリオコンに提出したものである。
 本シナリオはシナリオコンのレギュレーションに従い、下記原作エピソードに沿って作成されており、一部本編からの引用等を含む。
 また、本シナリオの元となっているエピソードは第三部冒頭のストーリーとなっているが、NMは特にこれに囚われずドラゴン・ドージョー放火事件と絡めたり、単に単発のセッションとして行うことも可能である。

◆シナリオサマリー

シナリオ概要:
 ニンジャスレイヤーの消息が途絶えて数日、巷では再び赤黒の装束を纏い、ニンジャを殺して回る謎めいたニンジャの目撃情報が流れている。君達にはこのニンジャについての調査をして貰いたい。
対象:ニチョーム自治会/ナンシー・リーからの依頼を受けられる、成長の壁(1)を2つまで越えたストリート、または傭兵ニンジャ。
新規作成の場合は28スクラッチ。
 PC3~4人程度でのプレイを想定。
難易度:★★(ノーマル、難易度調整措置有り)
キャラロスト:有り
余暇:標準(4スロット)

参照エピソード:フー・キルド・ニンジャスレイヤー?

◆ダンゴウ

 今回のシナリオ記事本文では依頼人を『謎のハッカーYCNAN』としているが、募集要項や参加するPCの属性に合わせて適宜『ニチョーム自治会からの依頼』と読み替えたり、単に『ナンシー・リーからの依頼』としてもよい。
 なお、文章に付帯している『```』や『>』の装飾はdiscordでセッションを行う際の為の飾文字であるため、特に気にしなくてよい。
(以下導入文)

◆導入◆
```
 ネオサイタマの繁華街、ネオ・カブキチョの表通りから路地を数本入ったところにあるひっそりとした貸しビルの一室。簡素な内装にそぐわない、高性能IRCホログラム投写装置の他には、オフィステーブルやソファといった最低限の家具が備え付けられているだけの部屋に君たち三人は集まっていた。
```
```
 中には顔見知りもいるかもしれないが……いずれにせよ、皆自分と同じように、謎のハッカー、YCNANからの依頼を受けてここに集められたのだろうということは察しが着く。
 君たちは既にこれまで何度かYCNAN経由でビズをこなしたこともあり、ビジネス上それなりの信頼関係を築けているといってもよい。
```
```
 なにはともあれ、まずは集められた者同士、互いにアイサツをしよう。
```

ここでNMはPCたちにアイサツを促し、軽い自己紹介をさせよう。アイサツが終わったら次へと進む。

```
 君達が軽い自己紹介を終えると、不意に目の前の空間にノイズが走り……見慣れた姿のホロビジョンが空間に浮かび上がる。ネオサイタマでは珍しい金髪に、PVCボディースーツを纏う謎めいた女ハッカー、YCNANである。その胸は実際、豊満であった。
```
「待たせて悪かったわね、こっちも少し立て込んでて……さて、集まってくれてありがとう。さっそく今回の依頼内容について話させてもらうわね。」

立体映像のYCNANが指をくるりと回すと、空中に一枚の画像イメージが投射される。そこに写っているのは……『忍』『殺』の威圧的刻印のなされたメンポが特徴的な赤黒い装束を纏ったニンジャの画像だ。

「この男はニンジャスレイヤー=サン。皆も噂くらいは聞いたことあるかしら?ソウカイヤやザイバツ、アマクダリと孤独なイクサを繰り広げてるネオサイタマの死神……ニンジャを殺すニンジャ。そして、私のビジネスパートナーと言ってもいいわね。」

「今回のビスは彼に関することなの。」
そういうと、本のページをめくるかのように、ホログラムYCNANは指を振る。

「先日、彼とソウカイヤの幹部複数名との間に激しい衝突があったの。戦闘の末、どうにか幹部二人を倒したみたいだけど……その後通信がロスト。行方不明になっているわ。」

「それで……問題はここから。」
「ニンジャスレイヤー=サンからの通信が途絶えてから数日後に……ネオサイタマにこんな噂が流れてきたわ。」
「『赤黒装束のニンジャがニンジャを殺して回っている』」
「これだけ聞けば彼は無事だった……ですむはずなのだけれど、その割には彼からの連絡もないし……それに、なにか妙なのよね。」

「……というわけで、話が長くなったけど、この謎の『赤黒のニンジャ』についての調査が今回のビズの内容よ。」

「場合によっては危険なことになるかもしれない……貴方たちほどの実力者でも、決して油断はしないで。」

「そうね、出来れば……居場所を突き止めて、直接接触してきてもらいたいわ。それがニンジャスレイヤー=サン本人であれば、そこで貴方たちのビズは終わり。」

「でも、もしそうでなかったら……その『彼』の目的を聞き出してほしい。」

「頼んだわよ。良い結果を期待してる。」

以上はシナリオ作成者が実際のセッションの際に書き出したYCNANの台詞例であるが、以下の内容をPC達に伝えられれば良いので、適宜改変しながら進行しよう。

◆YCNANからの事前情報
・ニンジャスレイヤー=サンがここ最近(1週間ほど)行方不明となっている。(ニンジャスレイヤーについてPC達が知らないようであれば簡単な説明を挟むとよい。行方不明となっている理由付けは自由だが、ソウカイヤ等のニンジャ組織との大規模な戦闘行為によって負傷・生死不明となっている……などがよいだろう。)
・ニンジャスレイヤーが行方不明となってから数日後、『ニンジャを殺す赤黒のニンジャ』の噂が流れ始める。(ニンジャスレイヤーが赤黒装束でニンジャを殺すニンジャであることはYCNANからの事前説明などでPC達の共通認識にしておくこと。)
・だが、肝心のニンジャスレイヤー本人からYCNANへの連絡はない。
・君たちにはこの『赤黒のニンジャ』の正体を突き止め……もしそれがニンジャスレイヤー本人でなかった場合、その目的を聞き出して欲しい。

★支援:YCNANのハッキング

 このシナリオ中、各プレイヤーは依頼主であるYCNANからの支援として、以下の特殊行動を使用することができます。
(依頼主をニチョーム自治会とした場合はニチョーム自治会に所属するハッカーニンジャからの支援とするなど、適宜読み替えを行うこと。)

◆支援要請:YCNANのハッキング
 戦闘中に『その他の行動』として誰でも使用可能。使用者の精神力1、又は即応ダイス1を支払うことでYCNANの能力(ハッキングダイス19)で『◉kill-9』(二連射、サツバツ!発生無し)『◉killall』『◉sudo_kill-9』の何れかを行うことが出来る。(難易度修正無し)
 ただし、◉sudo_kill-9によってYCNANが1以上のダメージを受けた場合、この支援行動は以降使用不可となる。(YCNANのハッキング端末が破壊されてしまう。)

◆調査フェーズ

 さて、依頼を受けた君達はさっそく件の『赤黒のニンジャ』について調査を始めることとする。ここでは以下の情報トピックについて調査を行うことができる。
 調査は2順行い、各人それぞれ二回の調査判定を行うことができる。最終的な調査判定の成功数により調査結果が変動する。

◆情報トピック
 ◉知識スキルによるダイスボーナスは一律+2、重複無し
 難易度はいずれもNORMALになります。(【6,6】成功による追加情報無し)
```
A.赤黒のニンジャの噂について
┗◉知識:カチグミエリア、セキュリティ、オカルト
B.ニンジャスレイヤーについて
┗◉知識:ストリートの流儀、独立小組織
C.ソウカイヤの動向について
┗◉知識:ヤクザの流儀、ソウカイヤ、犯罪
```

◆開示される情報
> 情報A.
```
 聞き込み、あるいはIRCによるネットワーク検索などの情報収集を行った結果、例の『赤黒のニンジャ』の目撃情報はカチグミエリア周辺に多く寄せられていることが判明した。これは一体……?
```
⇒情報トピックD.『赤黒のニンジャ』について2 の解放

> 情報B.
```
 2週間ほど前、ネオサイタマ内でニンジャスレイヤーとソウカイヤ幹部同士の激しい衝突があり、ソウカイヤ側に甚大な被害を与えた後、本人は行方不明となっていることが判明する。
 情報によるとこのイクサは相当苛烈なものであり、ニンジャスレイヤーもかなりの手傷を負ったということだが……
```
⇒全員即応ダイス+1を獲得!

> 情報C.
```
 ニンジャスレイヤーにより打撃を受けたソウカイヤは現在、ニンジャスレイヤー捜索のためネオサイタマ市内に多数のクローンヤクザやアンダーカードのニンジャを配備しているという情報を掴んだ。
```
⇒全員緊急回避ダイス+2獲得!

◆さらなる情報トピック
情報D.『赤黒のニンジャ』の噂について2(難易度:HARD)
┗◉知識:セキュリティ、ハッカーの流儀
```
 さらに入手した情報を分析していくと、どうやらこの『赤黒のニンジャ』の噂が巷に現れ始めたのは3週間ほど前からであることが判明した。
 我々が探している『ニンジャスレイヤー』とこの『赤黒のニンジャ』の特徴は非常に酷似しているものの細部が異なっており、これまでは『ニンジャスレイヤー』の情報に埋もれてしまっていたためにこの『赤黒のニンジャ』が目立っていなかっただけだったようだ。
 つまり……『ニンジャスレイヤー』と『赤黒のニンジャ』は……
```
⇒全員即応ダイス+1を獲得!
(ここまで全て成功していれば全員に即応ダイス+2、緊急回避ダイス+2が配布されているはずだ。)

 基本的に、今回のシナリオでは(作成レベル帯の関係もあり)全ての情報が抜かれることを前提としてシナリオを作成しているが、仮に情報収集に失敗した場合はYCNANからPC達の端末に抜けなかった情報が送られてくる形にすると良いだろう。(その場合、抜けなかった情報に附帯する即応ダイスや緊急回避ダイスのボーナスは得られない。)

◆ミドルフェイズ

 情報収集が終わったら、次はミドル戦闘を行う。これは原作シナリオ中でニンジャスレイヤー……もとい、セイジが成長していく様子を再現するためのものであり、シナリオボスの顔見せ的な意味合いを持つ。
 ミドル戦闘は『グリッドマップを使用しない戦闘』ルールを用いてもよいが、マップを使用する場合は以下のものを使用するとよいだろう。

◆転◆
 君達が人気の少ない路地裏で各々収集した情報を共有していると……突然、君達のニンジャ第六感が危険信号を発する!

全員【ジツ発動判定】難易度HARDを行う。
⇒成功した場合、続けて回避判定:難易度NORMALを行い、失敗した場合は回避難易度が+1(HARD)となる。
 回避失敗で火炎ダメージ1を受ける。

```
 瞬間!君達の立っていた場所は紅蓮の炎に包まれる!!これは!?
```
『貴様らだな……こそこそと私のことを嗅ぎ回っていたネズミどもは!』 
```
 おお!見よ!赤黒い装束に、『忍』『殺』の威圧的ペイントの施された黒鉄メンポのニンジャを!
 この特徴はまさしく……
```
『ドーモ、ニンジャスレイヤーです。』
```
 そう、ニンジャスレイヤー!!
 だが待って頂きたい。今君たちの前にいるこの赤黒のニンジャは……よく似ているが、依頼主に見せられた写真とは細部が異なっている!目の前のニンジャが『ニンジャスレイヤー』を名乗ったその真意は……今は読み取れぬ。
 とはいえ……君達はアイサツをされた。アイサツをされればこれを返さねばならないと古事記にも書かれている。こちらもまずはアイサツをしよう。
```
『三人か……今日はやけに街が騒がしい。これもまた"初代"の思し召しか……』
 ニンジャスレイヤーと名乗った赤黒の男は君達から少し離れた位置に回転着地すると、決断的にカラテを構える!臨戦態勢!
 即座に静かなこの裏路地はどろりとした殺気に包まれ……君達の肌をピリピリと突き刺す。

『まあ良い。私はニンジャスレイヤーだ。ニンジャは……全て殺すべし!!』
目の前の赤黒のニンジャは、有無を言わさず君達に襲いかかる!!撃退せよ!

◆◆戦闘な◆◆
> 勝利条件
・『ニンジャスレイヤー?』の撃破または撤退(ニンジャスレイヤー?の体力を1以下にした時点でイベント)

◆敵キャラクターデータ◆
◆ニンジャスレイヤー?

(本シナリオを用いたセッションを行う場合に限り、各NMは上記画像を引用・使用してよい。)

 ニンジャスレイヤー?は最初の手番開始フェイズに『★カトン・パンチ』を使い、2ダメージ(1+火炎1)の●連続攻撃2を行う。加えて、以下の特殊ルールを持つ。
 なお、PCの人数や強さに応じて適宜回避ダイスの数などを調整すること。

◆ニンジャスレイヤー?の特殊行動

```
◆ニンジャスレイヤー?の特殊行動
 ニンジャスレイヤー?は各ターン開始時に、そのターンに行う『追加行動』を一つ決定し、『追加行動』毎に決められたイニシアチブにこれを行う。
 各『追加行動』は本体と独立した『体力』を持ち、発動前に追加行動の体力を削りきることで発動を阻止できる。(ダメージが超過しても本体にフィードバックはされない。ただし、連続攻撃を『追加行動』と『本体』にそれぞれ振り分けることは可能)
 『追加行動』に対する攻撃への回避は、本体の回避ダイスを用いて行う。
 『追加行動』中のジツ等の行使については『精神力』を消費しない。
```
```
◆ニンジャスレイヤー?追加行動表
1.様子を伺う(何もしない)。
2.素早いカラテ・ツキだ!隣接している敵一人に1ダメージ(回避N)を二回与える!(体力1/イニシ3)
3.懐からスシを取りだし口に放り込む。体力を2回復する。(体力1/イニシ3)
4.ハッカーチームへの支援要請だ!自律ドローンによる援護射撃攻撃が行われる!対象を一人選びダメージ1の射撃攻撃(回避N)を2回与える。(体力1/イニシ3)
5.燃え盛るスリケンを投擲!選択した対象に2(1+火炎1)ダメージ!(回避N)を与える!(体力2/イニシ2)
6.突如紅蓮の爆炎が撒き起こる!『☆カトン・ジツLv3』と同じ効果を与える。(体力2/イニシアチブ1)
```

 また、ニンジャスレイヤー?の取り巻きとして、赤黒ペイントされたモーターヤブ1~2体を配置するとよい。ハッカーニンジャがいなくともYCNANによる支援行動があるため、そこまで苦戦はしないだろう。

◆オプション:クローンヤクザの乱入

```
 2ターン目開始時から、ニンジャ戦闘音を聞き付け、付近に待機していたソウカイヤのクローンヤクザたちが乱入してくる!
 クローンヤクザは毎ターン3人ずつ増え、クローンヤクザを除いたランダムな対象一人に人数×1ダメージ、回避Nの射撃攻撃を行う(判定省略)。
```
⇒PCの人数が多い場合や、ソウカイヤをシナリオに絡めたい場合はこちらのルールを使い、暇なPCが出ないようにするとよい。処理を怠ると『弾幕変換』ルールにより1点回避UHの射撃が飛んでくるのだ。

◆ミドル戦闘の終了

 ニンジャスレイヤー?の体力が1以下になった時点で以下のイベントが発生する。(ニンジャスレイヤー?は●ラスト・ニンジャ・スタンディングと◉即死耐性を持つため、ここで爆発四散することはない。)

「く、くそ……!?バカな…!?こんなのは間違いだ……なんたる屈辱……ッ…!」
 打ち伏せられた赤黒装束のニンジャは、わなわなと手を震わせ、目を見開く。
 君達は彼の次なる行動を咎めようとしたが……!!しかし!
 SPLAAAASHH!
 光が路地裏を真昼よりも明るく照らした!そして刺激性の煙幕!ナムサン、緊急回避用のハイテック・ボムだ!
「イヤーッ!!!」
そしてその一瞬の隙をついてニンジャスレイヤーと名乗った赤黒のニンジャは戦闘から離脱!瞬く間に人混みへ紛れ……そして消えてしまった。
```
 自らを『ニンジャスレイヤー』と名乗る謎めいたニンジャと接触した君たちは、一先ずの脅威が去ったことに軽く息をつく。
 ……しかし、事態はまだ解決していない。とりあえずはたった今起きたことを、依頼人に報告するべきだろう。
```

◆マスターシーン:紅蓮の執念

 ミドル戦闘終了後、マスターシーンとして以下の描写を入れる。(●●や■■にはPCニンジャたちの名前を入れよう。)

```
「ハァーッ……ハァーッ……ハァーッ!」
闇医者で傷を処置し、アジトの闇の中へ戻ってきた赤黒のニンジャは、そのまま崩れ落ちるようにアグラした。
「シューッ……!」
息を吐く!怒りと憎しみと困惑に全身が震える!
(((今はメディテーションだ!メディテーションに集中せよ!傷を治し、備えよ!)))
```
```
 バウッ!バウッ!握り開く拳の周囲に炎が爆ぜ、火花と消える。
(((ニンジャ……スレイヤー)))
内なる声がニューロンに木霊する。
「そうだ。俺はニンジャスレイヤー」
彼は答えた。
「俺はニンジャスレイヤーというものを完全理解している。再現し切っている!こんな事はあってはならない!」
```
```
おお!みよ!内なるソウルとの対話により、その力を引き出している!
(((ニンジャスレイヤー……ニンジャ……ニンジャコロス……)))
「そうだ」
赤黒のニンジャは闇を睨んだ。
「ニンジャを殺す。遅れを取ったのは今回だけだ。うまくやる……絶対にうまくやる」
(((ニンジャ……もっと……)))
内なるニンジャソウルが身じろぎした。
「ああ、もっと殺す!力を引き出せ」
```
```
「●●だと……■■だと……?バカな……ニンジャスレイヤーに殺せないニンジャなど無い」
「もっと他のニンジャを殺せばきっと……」
(((ニンジャ……コロス)))
「そうだ。ニンジャを殺す。より完全なニンジャスレイヤーとなる。完全なニンジャスレイヤーに……」
```

◆クライマックス:マルノウチ・スゴイタカイビルの爆破を阻止せよ!

 ミドル戦闘を終え、ニンジャスレイヤーを名乗るニンジャとの接触を果たしたPC達は現状の報告のため再びYCNAN(またはザクロなど)と合流する。ミドル戦闘で消耗しているPCがいた場合、道中でスシを買った、あるいは依頼主から支給されたなどとして【体力】【精神力】を3ずつ程度回復させること。単にミドル戦闘を行った日から一日空いているということにしてもよい。(PC達は一度解散し、改めてブリーフィングルームに集められたのだ。)
 PC達の報告を元に改めて調査を進めたYCNAN(あるいはニチョーム自治会)から、以下の情報を受け取りクライマックスへと移っていく。

◆ニンジャスレイヤー?の目的とその正体◆
・『ニンジャスレイヤー』を名乗る赤黒のニンジャの正体はとあるカチグミ家庭の一人息子、『セイジ』であり、ニンジャソウル憑依者である。彼はかつて本物のニンジャスレイヤーと接触したことがあるようだ。
・ニンジャスレイヤーに憧れて倒錯的に彼の模倣行為を行っており、『ニンジャスレイヤーシンジケート』というハッカーチームも擁している。
・アジトのUNIXをハッキングしたところ、目的は不明だがマルノウチ・スゴイタカイビルを爆破しようとしていることが判明した!決行日は……今日!
・本物のニンジャスレイヤー=サンからの連絡は未だにないが……とにかく、この破壊活動を止めなくてはならない!

 この事実を知ったPC達は、YCNAN又はニチョーム自治会のサポートの元、マルノウチ・スゴイタカイビルへ急行することとなる!

◆描写例◆
```
あれからYCNANへの報告を済ませ、さらなる調査のため一旦各々の帰路へと着いた翌日、君たちは再び例のブリーフィング・ルームへと集められていた。  全員が集まったことを確認すると、ホログラムYCNANが口を開く。
```
> 1日経過しているため、全員『体力』と『精神力』を3ずつ回復する。

「集まったみたいね。昨日はお疲れ様。それで……早速で悪いのだけど、バッドニュースよ。」
「昨日貴方たちに追跡調査してもらった『ニンジャスレイヤー』を名乗る赤黒装束の男……貴方たちの報告を元に、あれから私の方でさらに調査してみたの。」
「結果……あれは『セイジ』という名前のあるカチグミ家庭の一人息子ということが分かったわ。勿論、ニンジャソウル憑依者。」
「どうやら……以前、『ニンジャスレイヤー』本人と接触したことがあるみたい。彼の熱烈なファン……ってところかしら。厄介な、ね。」

「ニンジャスレイヤー=サンの模倣をしてニンジャを殺して回っているうちに活動の規模を拡大させてきたみたい。『ニンジャスレイヤー・シンジケート』なんていうハッカーチームも抱えてるわ。」

「それで……問題はここからよ。彼のアジトのUNIXをハッキングして分かったことなんだけど……どうやら彼、マルノウチ・スゴイタカイビルを爆破しようと画策してるみたい。」

「目的は分からないけどね……ただ、どんな目的があったにしろ、止めなくちゃいけないのは事実。このまま見過ごしたら多数の死者が出るわ。本物のニンジャスレイヤー=サンの行方も気になるけど、今はこっちが先決。」

「決行予定日は今日よ。私もサポートするけど、なにより貴方たちの力が必要……頼まれて、くれるかしら?」

(PC達の同意)

「ありがとう。そう言ってくれると思ってたわ!それじゃあ、目的地までの地図を送るから、ASAPで現地に向かって!リアルタイムでこちらからガイドを送るわ!」

そう言ってYCNANのホログラムはかき消えた。依頼を受けた以上、君たちもこうしてはいられない!急いで現地へ向かうのだ!マルノウチ・スゴイタカイビルへ!!

◆マルノウチ・スゴイタカイビル前

 マルノウチ・スゴイタカイビル前には普段通りの変わらぬ日常が広がっている……しかし、奴の暴走を止めなければ、この光景も数刻後にはアビ・インフェルノめいた悲劇に塗り潰されるのだ!

「移動しながらでいいわ、聞いて」
 マルノウチ・スゴイタカイビルへ向かう道中、君たちにYCNANから通信が入る。
 「マップ情報をハックしたわ。どうやら、地下駐車場部の要所にいくつか空洞の部分があるみたい。建物の構造上の弱点ね。奴らはそこを爆破して、マルノウチ・スゴイタカイビルを根本から崩壊させるつもりみたい。」
 「途中のロックはこっちで解除しておくから、とにかく貴方たちは少しでも早くマルノウチ・スゴイタカイビルの地下へ向かって!」

 スゴイタカイビル低層のデパートフロアでは市民たちが買い物に興じ、レストランフロアではスシやテンプラに家族たちが舌鼓を打ち、上層ではカチグミ・サラリマン達が激しい業務に神経をすり減らす……普段の日常、変わらぬ光景。しかし、今それも風前の灯となりかけている。一人のとある男の妄執によって!

間もなく君たちはマルノウチ・スゴイタカイビルへと到着、YCNANのナビゲートに従い、地下駐車場をめざすが……

◆『ニンジャスレイヤー・シンジケート』の妨害を突破せよ!

「ンダッテメコラー!!」
「ここから先は立ち入り禁止アッコラー!!?」

 君たちを待ち受けていたのは商業ビルには似つかわぬ無軌道なヨタモノやヒョットコの集団!これも『シンジケート』とやらの差し金か!しかし立ち止まっている時間はない!強行突破せよ!!

【カラテ】【ワザマエ】【ジツ発動】判定(難易度HARD)の何れかを行い、合計達成値6を目指せ!
 成功度不足の場合、全員『6-成功度』分の体力ダメージを受けて突破する。

難易度を調整する場合や、PCにハッカーニンジャがいる場合はモーターヤブなどを登場させたり、『シンジケート』とハッキング対決をさせたりしてもよい。

◆クライマックス:マルノウチ・スゴイタカイビル地下での死闘

 立ち塞がるヨタモノ達を突破した君たちは、とうとう目的地である地下駐車場へと到達する。その先に待ち受けていたのは……

『……ほう……邪魔者の報告が入っていたと思えば……貴様たちか。ニンジャスレイヤーの神聖なる儀式を汚す、ネズミどもめ……』

二体の改造モーターヤブを引き連れた、赤黒のニンジャであった!ニンジャスレイヤー……否、セイジ!

『ドーモ……ニンジャスレイヤーです。前回は遅れをとったが……今回はそうはいかぬ。ノコノコと私の前に姿を表したことを後悔させてやろう……!』

ニンジャスレイヤーと名乗る赤黒のニンジャは、君達にゆっくりとオジギをし……それから突き刺すような殺意の籠ったカラテを決断的に構える!赤黒のニンジャから迸るカラテは……つい昨日のそれとはさらに一段上の凄まじさで君たちを刺し貫く……!これは如何なる手段か……!?とにかく、用心せよ!

```
◆ニンジャスレイヤー?追加行動表改
1.呼吸を整え、次なる攻撃に備えている……!次ターン、ニンジャスレイヤー?の近接攻撃ダイスが+2される!(体力2/イニシ1)
2.素早いカラテ・ツキだ!隣接している敵一人に2ダメージ(1+火炎1)(回避N)を二回与える!(体力1/イニシ3)
3.懐からスシを取りだし口に放り込む。体力を2回復する。(体力1/イニシ3)
4.ハッカーチームへの支援要請だ!モーターヤブが残っている場合、対象を一人選びダメージ1の射撃攻撃(回避N)を3回与える。(体力1/イニシ3)
5.燃え盛るスリケンを投擲!選択した対象に2(1+火炎1)ダメージ!(回避N)を与える!(体力2/イニシ2)
6.突如紅蓮の爆炎が撒き起こる!自身と隣接した3×3マスに『☆カトン・ジツLv3』と同じ効果を与える。(体力2/イニシアチブ1)
```

この追加行動ルールはまだ『●不如帰』がなかった頃に作ったものなので、二回目のセイジ戦ではこの追加行動ルールの代わりに単に●不如帰を持たせてもよい

◆◆最後の戦闘な◆◆
> 勝利条件・『ニンジャスレイヤー?』の撃破

◆マップデータ◆

◆ボスデータ◆

**『私は……今!ここで!貴様ら全員を……殺す!!!そしてより完全な……真のニンジャスレイヤーとなるのだ!!』**

●オプション:ボスの強化

PCのレベル帯が高い場合、あるいはボスが想定よりも早く倒されてしまった場合などは以下の強化オプションを追加して調整するなどしよう。

◆強化版ニンジャキラー『紅蓮の化身』◆
 3ターン目開始時あたり、あるいは想定よりも早くボスの体力が0となってしまった時など、NMは適切だと感じるタイミングで、セイジが☆ヘンゲ・ヨーカイ・ジツを発動したかのように【カラテ】+3、【脚力】+2し、場合によっては★カラテ・パンチの火炎属性ダメージボーナスを+2としたり、★★肉体破壊を追加するなどしてPCに緊張感を与えるとよい。
 体力が0となってしまった場合は、『ラスト・ニンジャ・スタンディング』のように『精神力』を『体力』代わりに消費し、『精神力』が0となった時点で爆発四散させよう。(行動難易度補正はなくてよい。)
 ただし、この状態のセイジは自身のニンジャソウルを強引に燃焼させ、限界以上の力を無理矢理に引き出している状態であるので、毎ターン『体力』や『精神力』を2程度減らすなどして、イクサが過剰に長引かないよう注意しよう。

◆ニンジャスレイヤーの乱入と『名付け』

 逆に、PC達がセイジに苦戦している場合や、原作のやりとりをシナリオ内でなぞりたい場合などは、3ターン目あたりに、マップに『ニンジャスレイヤー(ベイン・オブ・ソウカイヤ)』を登場させよう。

※以下は作者が本シナリオを回した際の二人のやりとりである。参考にしていただければ幸いだ。

*# 「WASSSSSHOI!!!!!!」*
突如天井を突き破り、2体のヤブの後方に回転着地した赤黒の影……!!!あれは一体!!
『な……何……なんだ、貴様は……いや、何故だ……何故、お前が……!!
赤黒の影はゆっくりと身体を起こし……殺意輝く瞳を……もう一人の赤黒のニンジャに向ける!
**「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。」**
『ニンジャ……スレイヤー……』
ニンジャスレイヤーはこの新手ニンジャを凝視した。
『ニンジャスレイヤー……だと…』
**「アイサツせよ」**
新手のニンジャが、ニンジャスレイヤーにジゴクめいて促した。
**「アイサツせよ。名乗れ。」**
『貴様……貴様は……嘘だ……』
先ほどまで優勢の色を見せていたニンジャスレイヤー?は、しかし、動揺を隠しきれない震え声を漏らす。
**「オヌシの目的を聞いておこう」**
『俺は……俺が……俺がニンジャスレイヤーだ!!』
**「愚か者め、私がニンジャスレイヤーだ。」**
ニンジャスレイヤーは、一瞬の間の後、改めてアイサツをした。断定的に。
**「ドーモ、ニンジャキラー=サン……ニンジャスレイヤーです。」**
『ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン…ニンジャキラーです……!!』

◆イクサの終焉

 セイジの爆発四散により戦闘は終了し、評価フェーズへと移る。ニンジャスレイヤーを登場させていた場合、ニンジャスレイヤーはPC達にナンシーやニチョーム自治会から事情を伺っている旨を簡潔に述べた後、素早く立ち去る。

◆転◆
```
無事、ミッションを終えた君たちは、三度例のブリーフィングルームへと集まっていた。成果の報告と、報酬の受け取りのために。
```
「おかえりなさい。今回はお疲れ様。貴方達のおかげで、ネオサイタマの平和は守られた……そういっても過言じゃないわ。」
部屋に集まった君たちを、ホログラムYCNANが迎え入れた。
「とにかく、これで今回のビズは終了。こっちも少し収入があったから、報酬は弾むわ。……OK!たった今、貴方達の口座に入金しておいたから、後で確認しておいてね!」
「……それじゃ、オタッシャデ!」
そう言い残して、YCNANのホログラム映像は途切れた。
これで今回の長かったビズは終わりだ……君たちも、各々の帰路に着くと良いだろう。
そして、翌日……ネオサイタマのニンジャたちにはこのニュースは瞬く間に広がっていった。
**『ニンジャスレイヤーは帰ってきた。』**
【フー・キルド・ニンジャスレイヤー?】 ストリート版 完

◆評価と報酬

※以下はあくまでも目安なので、適宜自由に設定してよい。以下の数値では道中のニンジャやモーターヤブなどの万札ドロップは考慮せず、最後の報酬に一括しているので、その点も含め調整しよう。ボスの強化オプションを使用した場合は、報酬万札を各+5~10ほどするとよいだろう。

A+:セイジを撃破し、一人も犠牲者を出さなかった。万札+30、名声+2
A  :ニンジャスレイヤーと協力してセイジを撃破した。万札+25、名声+1
B  : ニンジャスレイヤーと協力してセイジを撃破したが、PCが一人以上爆発四散した。万札+20、名声+1
C  :ミッションに失敗した。名声-1

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