東京の生活①

6年ほど前に「10回目の単独ライブは”東京”ってタイトルにしようかな」と言ったら「辞めるのかなって思われますよ」と言われた。

「東京」という言葉にはなぜか「東京」以外の意味が含まれている。
「千葉」や「石川」には無いけれど「東京」には確実にある。
「茨城」や「滋賀」という曲は多分あまり無いけど「東京」は山ほどある。
東京とは一体何なのか。

東京に来る前に東京に抱いていたイメージ。
福井の田舎で生まれていつか絶対に東京に行きたいと思っていた。
今は何も出来ないし、これから何か出来る気もしなかったけど、東京に行きさえすれば何かが変わると思っていた。
それはお笑いとかそういう事でもなく。
ただ、東京に行かなければならないと思っていた。
東京には全てがあると信じていた。

東京に来て10年以上経った。
東京には全てあると思っていたが全てあるわけでは無かった。
電車と人が多くて田んぼが少ないという感じだろうか。

東京に来れば全て変わると思っていたが、特に大きく何かが変わっている気もしない。
福井にいても、本気で何かを変えようと思えたら変えることもできただろう。
すっかり方言も抜けてしまった。福井弁を話そうとしたらYouTubeで検索をしないといけない。
東京の生活がすっかりなじんて来た。

なんで「東京」だと辞めると思われるのか。自分の地元が東京だったら多分思われないだろう。

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