阿波尾鶏(徳島の高級鶏肉)入りのカレー

今週は、焚き火しながら仕事するようなむちゃんこ寒い山奥の現場に林業のインターンで通っていて、今週俺とペアになったもう一人の生徒は用意された宿舎に泊まってるせいか独身で家事が苦手なせいか、いつもお昼ご飯がコンビニのパン2個と水だけで、お昼ご飯のたびに職人さん達から「またパンだけなんか?いけるんかそれで笑」などとイジられていたんやけど、仕事終わって事務所に集合してから帰り間際に、その子をイジってた職人のおじさんが高級そうなレトルトカレー(阿波尾鶏のヤツ)をその子に渡して「明日はご飯だけ持って来てコレ現場で食えな、焚き火で温めたらええけん、手鍋も焚き火んとこに置いてあるけんな」と言ってくれてて、でもその子は普段からすごいネガティブでこんな好意にすら暗い感じで「あ、でも僕、宿舎から来よるんでご飯入れるタッパー持ってないんで…」と言って断ろうとしてるので、しゃあないから俺が「おれの今日の弁当のタッパー貸したるわ」言うて車に取りに行って、むっちゃラッキーやん言うて渡したら、近くにいた事務所の女の人も「粉のヤツやけどこれも持っていき」といってコーンスープとカフェオレの元みたいなヤツを出して来てその子に渡して、それらを抱えたその子は「ありがとうございます…」と言って嬉しくて下唇ふるわせて泣きそうな顔になってるのが分かったので気付いてないフリをして「それではお先に失礼します、明日もよろしくお願いしまーす」言うて事務所を出て、いやーさっきのは映画のワンシーンみたいで良かったなーって思い出しながら「阿波尾鶏入り」と書いてあった高級カレーのパッケージがずっと頭をよぎりながら俺はバイクにまたがり「俺だって大変やん、バイクむっちゃ寒いやん、俺だって頑張ってるやん、阿波尾鶏入の、カレーやん」てヘルメットの中でブツブツ言いながら60km離れた自宅へ、極寒の山道を走った。

(2017年12月22日の日記)

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