生きる息する

小説的なの書きます。

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キンモクセイ

 今はもう、君がどこで何をしているかなんてわからない。探したくてもどこにも手がかりなんてない。でもあの頃は、君がまだ手の届く所にいた高校最後の夏は。 「ねむ〜い、あつ〜い」 気だるそうな冷夏の声がさらに気だるくさせる。冷夏がこれを言うときは飲み物を買ってこいの合図だ。 「あ、当たった」 公園近くの自販機でサイダーを2本買ったらたまたま当たってしまった。 「なんで2本目で当たんだよ、1本目で当たってくれたらいいのに」 「いいじゃん、れいか2本飲むから」 「いや、おれの金だ

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