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自転車屋の店主はおじさんが良いということ

自転車がパンクしたので、これを機会に買い替えようかなと思った。というのも、10万円の特別定額給付金をもらったので、自転車を買い替えて還元したら?と家族に言われたからだ(ちなみに我が家ではテーブルが新しく替わった)。

4年ほど乗ってガタが来ていたからそろそろかなとも思ったけれど、そうなると今の自転車に愛着がわいてきて、まだ乗れるまで乗ろうと思ったりもした。そんな矢先にパンクしたので、これはいつまでもグダグダ乗っていないで、さっさと買い替えろということなのか?と思った。

2日ほどバスで通勤をし、土曜日の今日、新車を買いに行こうと思ったらめちゃくちゃ大雨ではないか!どういうこと?と思っていたら止んだので、近所の開店して半年ほどのオシャレな自転車屋さんに行ってきた。

30代ほどの若い女性が店主なのか、片言っぽい若い男性がもう1人。私は自転車に条件があるので(両スタントがいいとか、カゴが必要とか、その程度だが)、ことごとく無理か高くなる、と言われ、そもそも態度が…不愛想というか、愛想がないというか、購入してほしくないのか。「あなたには買ってほしくないんです。うちのオシャレな自転車は買う人の条件があるんです」と全身で拒絶されている気分になった。被害妄想と言われても、そう思った。そう思わせてはいけないんじゃない?客商売なのに。

これはパンクを修理して、ついでにタイヤも替えてもらって、今の自転車にもう少し乗ろう、還元なんて知るものか!と思い、前にパンクを修理してもらった家から10分ほどの距離にある自転車屋さんに、コロナなので電話をかけてパンク修理に持って行った。

すると、俳優の田中要次によく似たおじさんが迎えてくれた。そして、タイヤの交換は必要ない、あと1年くらいは乗れると言い、パンクしているか確認するときは800円かかるけれど、どうします?と聞かれ、お願いをした。そして、結果的にはパンクしてなくて、空気を入れる突起の部分のゴムが破損していて、それで空気が漏れていることが判明した。その突起の部分は前輪後輪ともに替えてくれたし、錆びついたチェーンにも油を差してくれた。おじさん、親切で嬉しかった。前のオシャンティなお店のお姉さんと大違いだ。

やっぱりオシャレにしているだけじゃダメなんじゃないかなと思う。客商売なら、客と心を通わせる努力が必要なのではないだろうか?商売というのはそんなオシャレにかっこつけるものではなく、もっと泥臭く立ち回るようなものなのではないか、とも思う。それがコンセプト?そんなものがあるなら、自由に打ち立てて成功できるものならしてほしい。でも私はもう行かない。二度と行かない。私がそう思うくらいだから、同じように思う人もそれなりにいるのではないだろうか。

おじさんに「自転車を買い替えたいとき、前の自転車は引き取ってもらえますか?」と聞いたら、「購入が条件で、無料で引き取りますよー」と言われた。「スポーツタイプはそろそろ卒業してママチャリにしようかと思うんです」と言うと、「そろそろセールのチラシが入ると思うよ」と教えてくれた。いえいえ、おじさんがこんなに気持ちを込めて整備してくれたこの自転車、あと1年は乗りますよ。そして、買い替えるときは絶対におじさんのところに持っていこうと思ったのだった。

タイヤを修理してもらっている間、店の中のママチャリを物色し、「ママチャリもいいな。この安定した安心感がいいな」と思った。次は絶対にママチャリにしよう。ちなみに電動自転車には乗らない。前に坂道を自転車を教えていたら、見知らぬおじさんに「ご主人に電動自転車を買ってもらいなよー」と言われたけれど、いいのだ、私は運動のために自転車に乗っているのに、電動自転車に乗ったら自動車に乗っていることと変わらないではないか。文明の利器は享受してなんぼだけれど、私は自転車に関する文明の利器にはまだ頼らないでいようと思う。

とにかく、おじさんのおかげでこの自転車とも1年間はまたお付き合いすることになった。自転車に乗って帰りながら、不思議な気持ちだった。でも、縁ってこういうものなのかなと思う。大事に乗らなくちゃ。これからもよろしくね。

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