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生きがいは何ですか? 生きがいを与えるほど大きな愛はない

仕事が忙しく、「今週の読書」を書けずに1ヶ月半ほど経ってしまいました。睡眠不足が続くとなかなか思考が働きませんね。そんな中、私が所属しているオンラインコミュニティ Wasei Salonで神谷美恵子さん著の「生きがいについて」の読書会のイベントが立ち上がりました。「生きがいについて」はNHK 100分de名著を見てからすごく気になっており、一度ちゃんと読みたいと思っていたので、この機会を逃してはならないと、眠気と戦いながら頑張って読みました。そんな感じで読んだのでほぼ頭に入っていないのですが、なぜか「生きがい」というキーワードだけはずっと頭に残ってしまいました。そして、他の本を読んだり、劇を観たり、人の話を聞く度に、その人の「生きがい」について考えてしまっていました。

今日はここ一ヶ月半で出会った「生きがい」を3つほど紹介してみます。

その前に神谷美恵子さんのこの言葉を紹介しておきます

人間から生きがいをうばうほど残酷なことはなく、人間に生きがいを与えるほど大きな愛はない。

神谷美恵子 著「生きがいについて」

劇団たんぽぽ 「夏の庭」

友人の紹介で半年ほど前から大和おやこ劇場に入会していて、先週におやこ劇場例会の劇を娘と二人で観に行ってきました。

劇は劇団たんぽぽの「夏の庭」。テーマは「死と生」。
中学生の3人が死について興味を持ち、近所の引きこもり老人がもうすぐ死にそうだから、その老人を見張って死ぬ瞬間を見ようとする物語。

これだけ読むとすごい悪い中学生の物語な感じがしますが、この3人のお陰で、ただ生きてるだけの老人が少しずつ生き生きしてきます。

劇団たんぽぽのHPにあった「夏の庭」の紹介文はこんな感じです。

「死ぬってどういうことだろう」
「人はどんなふうに死んでいくんだろう」
「死んだ人はどうなるんだろう」
誰でも一度は考えるそんな疑問から、少年たちは、今にも死にそうな一人の老人に興味を持つ。しかし、彼らがそこで目にしたものは、<死>ではなく<生>だった。そして彼らが間違いなく<生>を手にした時に、本当の<死>がやってくるのである。
<死>と隣り合わせの老人そこが、<生>を生きている、そしてその<生>を支える火が若者に移されていく。これが『夏の庭』にも『ポプラの秋』にも共通の、湯本香樹美さんのテーマである。

この物語を見て、もう死を待っている老人にも子どもという存在は「生きがい」になり得るんだなと、子どもの持つ力を私は感じました。

ネタバレになりますが、この老人は戦争で罪のない人を自分が生き残るために殺してしまったという過去がありました。戦争が終わり、生き残ってしまった自分が幸せになってはいけないと引きこもりのような生活を続けるのですが、そんな老人でも子どものためになら何かやってあげよう、という気持ちにさせるのが、子どもの力だなと思いました。

子どもは生きがいになる。

子どもがいる社会ってきっと生きがいに溢れている社会なんじゃないかと妄想してしまいました。子どもが中心にある社会を作ることが社会に残せる大きな愛なのかもしれないです。

そして、この物語のもう一つ良いなと思ったのは、子どもが自分の興味に基づいて<死>を探索していること。夏休みの宿題でもなく、ただただ自分の興味で動いているところがすごくよい。一人の疑問から、自分たちの興味になっていく3人。こんな素敵な仲間がいるといいですね。

あと、おやこ劇場は考えるきっかけを与えてくれる良い親子サークルなので、興味ある人は「おやこ劇場」で検索してみてください。地域ごとにおやこ劇場があるみたいです。私は横浜市に住んでいて、横浜にもおやこ劇場がありますが、友人の紹介もあって、大和市のおやこ劇場に入会しました。
生きる上で大切なこと、そして自分たちで考えるべきことを考えさせてくれる場所として、とてもいいサークルだな思っています。興味ある人はぜひHPから事務局に連絡してみてください。このブログコメントで私宛に連絡していただいてもOKです。私から事務局に連絡することもできます。一緒に劇を見て対話しましょう。

どう生きるか つらかったときの話をしよう / 野口聡一

次は宇宙飛行士の野口聡一さんの本。この本はまさに生きがいを失ったときの話。

アスリートやアイドルなどセカンドキャリアで悩む人がいると聞きますが、野口さんもその一人で、それを赤裸々に本にまとめてくれたのは、セカンドキャリアをちゃんとつかめたからこそ何だと思いつつ、その苦しいことをこうやってまとめてくれたのは本当に良かったと思いました。

神谷美恵子さんの「生きがいについて」に、生きがいを喪失した先に新たな生きがいを見つけたときの強さ、みたいなことが書かれていて、きっと野口さんは宇宙飛行士として偉業を成し遂げたときよりもさらに強い生きがいを感じているのかなと想像することができました。

生きがいを感じて生き、その生きがいを失って、また新たな生きがいに出会う。

生きがいの連鎖で人は生きていく。

生きがいを失った人が立ち直って新たな生きがいに出会って力強く生きていく人がいるだけで、希望があるなって思います。

こういう人が近くにいると、いま生きがいに盲目的に進んでもいいかなと思うし、もし生きがいを失って帰ってきても、おかえりなさい、って迎え入れられる気がします。

本書を読んで、野口さんの新たな生きがいは、自分の経験を社会に還元しようとしてくれてる気がしました。先の劇「夏の庭」とも通じるところがあり、次に繋げるということが、自分の生きがいにも繋がってくるのかなと思いました。
生きがいを失った時、繋がる未来を想像するとよいのかもしれません。

妻の生きがい

最後は私の妻の生きがいについて。私の妻は保育士をやっているのですが、本当に熱く子どもの学びについて語り、その語りがキラキラしていて、きっと保育が生きがいなんだなっていつも思わせてくれました。

そんな妻が最近、組織について悩んでおり、若手もベテランも関係なく保育について考えていくにはどうすればよいか、で頭を抱えていました。なかなか自分が理想とする方向に組織が動かないジレンマがあるようです。これは保育と言うよりチームや組織マネジメントの悩みではあるものの、一人で保育するわけでもなく、また保育の面白さをもっと皆で理解して楽しく仕事がしたい、という思いが強く、その思いの方向になかなか進まないむず痒さがあるようです。

それがタダむず痒いだけならいいんでしょうけど、最近立て続けにうまく行かないことが続き、仕事の負担も増えたようで、このままでいいのかを真剣に悩んでいました。

妻にとっては真剣な悩みなんだけど、「生きがいについて」を読んでから、この悩みは次へのもっと大きな生きがいへの布石なんじゃないかなと思えるようになりました。今、生きがいの連鎖の中にいて、もし生きがいが少し失われたとしても、でもきっとより大きな生きがいへと変わっていくんじゃないかという期待を持てるようになりました。そう思えることで、悩みを聞いてるんだけど、応援したい気持ちが湧いてきて、大きな心で待っていてあげようという気持ちになりました。

生きがいにともに伴奏する勇気。

神谷美恵子さんからそんなメッセージをもらった気がします。

最後に

人の生きがいが目につくようになったが、どうも自分の生きがいとは何かと聞かれるとまだハッキリ答えることができません。これからも私の生きがいの旅は続きそうです。

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