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不平等という希望

平等って正義?

娘(小学校2年生)の授業参観が道徳の授業でした。テーマは「公平」。
この内容がちょっと悶々としたので、不平等な世界の良さについても私なりにまとめておきます。

※このnoteを執筆するに当たり、公平と平等の違いについて、色々調べて、以下が参考になりました
平等が物や機会に対して、公平が判断に対して、使うって感じかな。

平等に平等な教育

まず、授業参観でやっていた、道徳としての公平の内容はこんな感じ。

AさんとBさんは友だちで、Aさんは配膳係。今日はBさんが好きなフルーツポンチ。Aさんは、Bさんにフルーツポンチを少し多くよそってあげました。
そして、Bさんだけずるい、となりました。

前提として、フルーツポンチは好きな人が多い、そもそも量が少なく多めによそうと全員に行き渡らないかもしれない、というのもあります。
授業では、たとえBさんがフルーツポンチが好きだったとしても、他の人のことを考えて、平等に入れた方が良かったよね、という流れになっていきました。
この結論が、集団生活において、問題を起きないようにすることが最優先事項なんだよ、という教育に見えて、悶々としたわけです。
Aさんの善意の気持ちより、治安の安定が大事。

不平等が作る人間関係

ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が、白熱授業の中で、不平等の大事さを言っていました。

超ざっくりまとめると、
能力主義だけの社会を否定して、人は生まれながらにして不平等であることを受け入れて、恩恵を受けた人は感謝の気持ちを持って、社会に還元していこう、と言っています(誤解があればすいません)。
逆に、能力主義ですべての機会は平等に与えられていると思い込んでしまうと、社会に取り残された人は努力が足らない事となり、問題がその人個人になってしまいます。そうすると、社会全体として、努力しない人を助けるインセンティブは働きにくく、結果として格差はどんどん広がっていくと。

成金の人はケチな人が多く、元から金持ちな人はおおらかな人が多い、というのは関係するのかなと思ったり。(かなり偏見入ってます)

サンデル教授の話を聞くと、あらゆることを平等にするより、不平等が残っている方が、実は人間関係も良い方向に回せるようになるんじゃないかと思わせてくれます。

不等価の関係が作るお客とお店の関係

不平等をポジティブに捉えているもう一つの事例として、以前も紹介したクルミドコーヒーを経営している影山知明さんの「ゆっくり、いそげ」があります。この本では不平等というより不等価と言っていました。

こちらも超ざっくりまとめると、
お店とお客の関係を都度精算せず、お客が金銭的価値以上の価値を感じ、お店に少し負い目を感じるくらいが、お店とお客の関係を続けていくのに良い。
これを健全な負債感と言っていました。

本書にあるエピソードでなるほどと思ったのが、投げ銭形式のコンサート。
基本料+良いと思った分をプラスで支払うシステム。
結果としては、ほとんどの人が基本料以上の対価を払ったが、対価を払ったがために、お客とお店の関係が精算されて、客足が伸びなかったとのこと。
そして、基本料だけにすると、お客さんの口コミが増え、客足が伸びていったとのこと。

つまり、お客がそれ相応の対価を払っているのだから当然、と思っていると、競合他社との競争になるが、お店に対して健全な負債感を感じていると、お店のためになにかしようと思い、口コミしたり、リピートしたりと、お店とお客の関係が続いていく。

ここでポイントはいかにお客に健全な負債感を感じてもらえるか。
そのために大事なのが、私があなたのためにやったのですよ、という特別感で、これがまさに不平等なんじゃないかと。

みんなと同じ、ではなく、あなたのために、が伝わることで、感謝の気持ちが芽生える。みんな同じじゃないからこそ、自分という存在を感じられる。
この不平等が心地よい。

フルーツポンチから始まる関係の連鎖

冒頭のフルーツポンチの話に戻ると、もしBさんがみんなより多くフルーツポンチを入れてもらい、一瞬、不公平だ!と思ったとしても、まぁ、AさんとBさんは仲良しだし、今回はいいよ、という風に許せたとしたら、どうなっていただろう。
もしかしたら、AさんとBさんは、次に同じような不公平なシチュエーションに遭遇したときに、私も許してもらえたのでこの人達も許してあげよう、と思うかもしれない。
「ゆっくり、いそげ」の影山さん的に言うと、許してあげたことにより、健全な負債感がAさんとBさんに芽生えて、これが次の関係につながっていく、という感じですかね。クラスの中で連鎖していくと素敵ですよね。まさにペイ・フォワードかな。

まとめ

今まさに不公平な状況に遭遇しているときは、感情的になってしまうのは仕方がない。
だけど、道徳の授業のような、落ち着いてシチュエーションを考えられるときは、これを許したときのプラスの未来を考えてみたいですね。
もちろんマイナスの未来も容易に想像できるけど(例えば、私も欲しかったと思っていた人がBさんに意地悪するとか)、プラスの未来もあるんだよ、ということを知ることで、私たちが取り得る選択肢を増やす。
選択肢を増やすことで、プラスの未来へ踏み出せる勇気を持てるのではないでしょうか。
平等を貫いて関係を精算せず、不平等をきっかけに新しい関係を作っていきたいですね。
社内にある無機質なルールも是正していきたい。

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