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十七絃講習会

2013年9月にあった部内での十七絃講習会の現場メモ。(2023.10.09 加筆修正・動画追加)

当日、講師はゐとかさんが先生に、参加者は当時の箏現役生数名、+見学者一名(私)。
十七絃は、13絃の箏とサイズが違い、扱い方や弾く感覚も違うので、そこの部分を重点的に言っていた感じがします。(その内容に、後から私が思ったことなどを加えておいておきますね)

まずは基本的な手・身体の使い方。


親指と、ひじの位置と、動作について

①「親指は、垂直」。


薬指を支えにつく場合は、その後ろに置くように入れるといいかも、反り指の人は横へ張りだしてしまいがちなので注意。

楽器の違いで注意する点、大きさや絃の太さもありますが、特に絃が高いのと幅が微妙に広めなこと。
 弾く時に、爪は沈まないように(楽器の面へ向けて押し込まない)=押し込みすぎると爪輪をとられますw 高めを意識して、水平に前へ動かす。
「弾く」よりは「手ごと親指を大きく押し出す」感じ。動作の大元は、ひじを使って押します。
絃がたわむので、箏よりも動作は全体的に大きめに、ワイルドにガンガン弾く気持ちでやろう

楽器の高さが違うから余計に、手の高さ、特に手の重心を高く保つ意識が必要。箏みたいに手の甲を寝かさない。

(追記。試しに。
 紐を一本(ペンでもいいです)置いて、右手の親指一本で向こう側へ押しやる動作をしてみる。ひじ関節の稼働ひとつで、動作が完遂できることが分かると思う。その時の手の形と手首の高さも見てみてほしい。
 それが十七絃の基本に近い形かな。これを参考に、ひじの使い方・手首の高さ、特に意識を強く持ってやってみて)
*これができるようになると、箏の方も薬指をつかない弾き方が格段に上手になるので、一年生は早いうちに十七絃の練習もするといいと思います

*反り指の人は。
手を立てる意識をする(手首が手指の真上に来るくらい、しっかりと立てる)ことで、爪の当たり(三角の所)がよくなるということでした。
 ゐ先生は直角レベルの反り指で、でも不思議なくらい音が出せるのはそういうことなのかと納得。

・ 人差し指と中指の動作のポイント

こちらも同様に、水平移動をするように意識。
箏の初心者さんは、絃(楽器の面)へ向かって爪を寝かせて押しつけるように弾きがちですが、「掻く」動作で水平に、爪はなるべく垂直に近く、立てて弾きます。
(この動作も、紐を一本置いて、指一本でかき寄せる動作をしてみると、指の立ち具合とひじの動作が分かりやすいかも。指の腹を触れずに指先だけで紐を動かせると思います)

*この動作で弾ききれないと感じる時は、指の第二関節の固定が弱いと思うので、指トレをしたり、「にゃー!の形で」指を絃に入れる基礎練習をしてみてください。にゃーの形は猫の手の爪を出す感じですね…
(指トレは別記事参照
https://note.com/myoddsandends/n/n35262d728659

② ひじは、腕を軽く張るようにキープ、下がらないように注意 


ひじが下がると、親指が自然と斜め向きになって音が悪くなる(芯のないカスカス、飛ばない)。長時間の練習中には、疲れ具合によって下がってくる、自分の腕の位置をたまにチェックして。

音の上下と、身体との連動

手は身体と連動して動く。
① 低い方へは、軽く前のめり(腰から前へぐっと出す。頭を倒さない
② 高い方へは、軽く後ろのめり(背中を軽く後ろへ引く)
手の形、腕の形、角度が変わらないように、いい形を常にキープすることを心がける。

音が下がるときの、姿勢は軽く前のめり+手ごと押す、これ忘れがちなので注意。
(下降音で、身体ごと姿勢をやや前へもっていくのは、ひじの位置と腕の形をなるべくキープするためです。腕が伸びてしまうと手首が伸びた分だけ寝てしまったり、手先だけで弾くことになってしまうので、いい音が鳴りにくい)

音が上へ上がる(手を引く)ときは、肩が上がったりしないように、自然に身体ごとで肘を後ろへ引く
手首は立てて、引き上げるイメージで。

*特に高音部は、手指を寝かせてしまうと音が悪くなるので、寝かせないようによく注意。手首を高くしっかりキープすること。

(この手の形を、特に言っていたので、そこが一番注意のしどころなんだなと思いました。)

その他

・ 弾く位置

だいたい竜角と柱の半分、ただし拍を刻むようなときは竜角よりで。

・ 押さえ

箏よりも少し遠目。(ここがなぜかは聞き漏らした&質問し忘れました。絃が太めだから?柱を倒さないように?)

✂︎ーーーーーーー

ここからは技法について。 ~いろんな場合のコツ~

★同音鳴絃のさわり方。

ストローク(弾き切る動作)の速さに注意

一回弾いて、同じ絃を弾き直すときに、「ビリッ」とか、「ジッ」とか、爪が触ったときの音がしてしまうとき。
瞬時に弾くことで解決できる。このとき、上から振りおろすとダメ、至近距離から瞬間的にあてるのがコツ。

・ 同じ絃を連続で弾くときは

手・手首は、、前へ押し出しながら、手ごと回転するように使う(螺旋・ローリングの動き)。絃に薬指の支えを置いて指のみのパタパタ動作で弾くことはしない、疲れるため。
体力の温存は重要。

・ 関連:爪の当たる雑音が目立つとき

同じ絃の連続でなくとも、普通に弾いて爪のあたる音がするとき(ペチペチ音)、これもストロークが遅いのが原因。なので同じく、瞬時に弾くことで解決できます。

爪が絃にあたる=ぺち音がする(絃の手前側に接触し)
→爪に押された絃がたわむ(ここで時差が)
→そのあとに、絃自体の音が遅れて鳴る(絃の向こう側へ爪が通過)、
「接触から鳴るまでに時差」が生じてしまう楽器の特性を理解しよう。

十七絃は、絃のたわみが箏よりも大きく、爪のあたる音が特に目立ちやすいです。なので、最初の内は、爪を入れる時に優しく弾こうとしない方が吉かもしれない。一音ずつ「すぱっ」と入れる、かな

★ピッチカート。

楽器が大きい→力がいる、と思うと余計な力がはいってダメ。
絃は太いが、かけ方は箏と一緒です。
① 指先をやや固めにキープ、
② 指の先の下側(爪の三角の部分)にかけて、
③ 手ごと持ち上げる。
(手首でひねくり返さない、動作は肘関節がメイン)

・指をかける量は、指紋の渦巻きの 下半分 程度

指の関節まで全部かけると、しっかりキープはできるのですが、指と絃の離れが悪くなって拍遅れするので、指を深く入れないように注意。

・かけ方は、L 字で

指先を弦にかけるとき、自分の身体方向へ押しつけてから上げる、「L字」動作で。(あまり大きい動作にすると拍に遅れるので微細にすること。これも「指をかけてから鳴るまでに時差」ができることが多いので拍注意)

大きな音を出したい時には、自分に近い斜め上へ引っ張ると、楽です。ピッチカートは必ずしも真上に上げなくてもいいので楽な取り方を研究して。

・持ち上げる上下幅は、大きくなくてOK

特に、大きな音が欲しい時に、大きな動作をしがち。ですが、それはしなくて大丈夫。
(大きな音は、イコール「はっきりした音」に変更する効果で作れます)

① 指先をしっかり締める、(+場合によっては少し深めに指を絃にかけるかも)
② 硬質の音を意識する、打楽器のガンって感じ
③ ①②ができてから、動作に力を込めて一気に引き抜く、

とするといいかも。

*この時、脇を軽く締めること。ひじを支点として、肘の先の腕から手首・手を上へ上げる感覚で。
(左肘を右の手でつかんで固定して、手を上げる動作をやってみるといいです)

注意:
ピッチカートは、力一杯で雑にやると自分の指の皮膚が即負けしますので、大きな音を出す練習をする時には、まずテーピング等でガードしてからね!

このときも、絃の低音高音にあわせ、前傾姿勢・後傾姿勢をとり、手・腕の角度が変わらないように注意。

ピッチカートの動作を見るなら ↓


★合わせ爪

13絃のようにやると、つかみこむ(上に上げない形)の時、絃をつかんで→つかみこむと、押し込まれた爪の位置は最初の高さよりも下がる。箏弾きは斜め下に入れるクセがついているため。
そこを、めりこまないように、中央へ集めるように、引き上げる感じで弾く(ボールを握るように)。
この時、親指よりも中指を特に手前へ引くよう意識する。

・手の重心・支点を意識。

手をすぼめたときに一番くぼむところを支点と考えて、そこが上へ上がるように、特に注意して動きをとる。
手のすぼむところを支点とし、そこを引き上げながら、指それぞれがそのまま弧を描くイメージ。=爪は絃に触ってからほぼ水平に移動するようになる。(斜め下へ入らないようにできる)

(当日、なかなか動きがとりづらいようで、ゐ先生は弾いてる子の手のひら内側に、横から指を差し込んで、「上がる♪、上がる♪」って声かけながら上へ押し上げてましたw)

・連続の時は、回転するイメージ

指それぞれがその場で回転する動きをイメージし、意識する。指のそれぞれが動作し、掴み込む=中央へ→上へ抜けて→もどる、感じ。

・音の幅が広いとき、ガバッと開いてつかむ。
・音の幅が狭いとき、少し寝かせ気味の方が爪はめり込みにくくてよい。

うまくいかなくなったら

リセットをして、きれいな姿勢・手の形をとりなおすところから。

手の大きさによって合わせ爪や他の技法もやり方が違ってくるので、自分の手に合うパターンを、基礎練習をすることで作っていくのが大事。

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*絃のたわみが大きい=弾き遅れがち。=「拍を食い気味に」弾く。

十七絃が拍遅れしやすいとき、これを解消するためには、「拍を食い気味に」弾く。
気持ち、拍のジャストよりも早めに入れる。しかし走らないように。

これは、”ノリ”を作るときにも有効なので、曲を引っ張る役割の多い十七絃はマスト。意識的にできるようにしよう。

(弾き遅れるようだと、だらしない感じでズルズルになる。ゆったりの時も気分はバラードっぽくなるが、弾き遅れには注意してきっちり拍へ入れるように音を出す)

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★音量の作り方

 当日、吹奏楽ではよくある弱音での息の入れ方の注意、全員が吹奏楽経験者ということで一発で理解した模様w
 十七絃でも同じく、強音も弱音も、ストロークのスピードは変えない、ということ。
(弱音、ゆっくり弾くと雑音が入りやすい。これは前述の通り時差が関わるため)

 p:爪のあてる三角をしっかり作って、あて方だけ優しくふわっと。
 f:前へ押し込む。叩き込まない。手ごと腕ごとで。

 特に合わせ爪の強音は、指に力が入ってパタパタしがちだが、外に開いて→叩き込むよりも、「中へ中へと意識する」と、ゐとかさん曰く。

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★その他

・小節の頭にアクセント、焦らずに四分音符で落ち着いて出す(「海原」の注意点?)
・練習の時は、テンポよりも、基本動作を確認しながら弾く。
・ケスは腕も使って押さえ込むように。

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この日は演奏会の曲もゐ先生に見てもらっていました。(追記:何の曲だったか忘れてしまったけど珍しい事例だと思うので当時の記事のまま残しておきます)

問題になっていたのは、「二の柱がとぶ」という不思議現象の解決方法。
とりあえず、二の柱が飛ぶのは、ケスの手をどけてから弾けばいいのではというので、解決したのですが、逆にどんなタイミングでやったら飛ばせるのか私は不思議で…再現してみたかった。。。
柱が飛ぶってなかなか衝撃的でしたよ、見たときは!バゴン!って!w

糸花さんが、歌いながら指導してたので、17絃で流れを作ることを教えてたのかな、と思いました。
あとは、なんとなく手をひねって合わせ爪をしてしまうくせがあるみたいで、「ひねるな危険!」て言われてましたwいい標語だw

☆糸締め

あと、週に一度程度、糸締め(調整)をして下さいねと言われていました。
(*これは部室に他の人の作った紙が貼ってあるはず)
*追記:やり方を書きましたが記憶違いっぽいので消しました、youtubeにあった十七絃の調絃の動画を入れておきますね…すまんかった

上記は初期設定なので、必要であれば、絃の張りを自分で好みに調整してもいいかな。
例えば、高音部で速弾きがある=たわまないように硬め(きつめ)にしめるとか、そういうのもして大丈夫だと思います。(たわむとモタついて弾きづらい)
*きつく締めたときは、柱を外す前に緩めてから外します。しまうときも、きつめのままおいておかないようにして下さい。

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十七絃講習会はその後おこなわれたかどうか分からないのですが。
この日のことを資料としてまとめるように当時の現役生に言いましたがあまりよい資料が作られなかったようなので、ここに残しておきます。
(”こういうときはこうする”Excelにシートでつけてあるのは私が簡単まとめのたたき台に作ったやつですw)

参考になれば。

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