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感情を音に乗せる。~場面の雰囲気を変えたいⅡ~

この記事は、演出パターンを考える、という前の記事の続きです。(2023.10.26 修正あり)

音の形を変えるやり方、物理的に音質を変更する方法は、以前に少し書きました。
今回は、物理でなく「心を込める」という精神論的な手法で音の形を変える、ということについて書いてみようかと思います。

注意:これは、キッチリ音として出せる状態、奏法その他をすべてクリアした段階で、用法用量を守ってお使い下さい的な記事です。基礎練習・合奏練習の足りていない状態では、自己満足で終了に陥る危険があります。具体的には演奏会2ヶ月前(一年計画なら)から二週間前(半年計画なら)くらいかな?
演奏に完全に問題がない状態でのプラスアルファです。いわば、デコレーションの最終段階。演奏・演出等に余裕のない状態、あまり早い段階では試さないでくださいね!


気持ちを込める・心を込めると、音が変化する。

これについて考え始めたのは、きっかけがありました。

旧のブログ記事で、その「気持ち」と音の関わりを発見したきっかけが書いてあって。

演奏会の曲で 「たそがれどきの夢うつつ」という曲目があったんですけど。この曲は、三絃と箏の、ほんとに夢と現実を行ったり来たりするような曲です。フワフワとした部分と、かっちりカッコイイ部分との、対比が映える曲。
演奏会2ヶ月半前のその日は、奏者側は曲の読込とイメージ作りはだいたいできてる状態で、私は聴き役として「ここはこうやりたい」という意向に沿うように細かいところを調整するお手伝いをしに行っていました。

そのときに、三絃に対する提案として、ふわふわした部分の一連のフレーズを「子守歌みたいに」って言ったら、一瞬で優しくて美しい、雰囲気のある場面になって、驚いたんですね。

 三絃って、ああいう音も出せるんだね…というか、そういう音の引き出しを彼女がすでに持っていたということなんだけど、その変わりようにびっくりしました。
 (わりと、私の中の三絃弾きのイメージは、ガンガン系のせいもある)
(旧ブログ 2014年10月記事より)

気持ちを音に込める、ということが、これほどの変化を瞬時にもたらすとは思いもしなかったので、ものすごい衝撃的でした。

実際どうしたらいいのかという謎

しかし、これは、一口に「気持ちを込めて音を出して」と指示したところで、絶対にうまくいかないのは明白…。

他の人は、気持ちと音の関係をどう考えてるのかなぁと思って調べてみたんですが。
色々ですね…。

このまとめの中の、

「感情を込めろ」っていうのはたぶん「一つひとつの動作ではなく結果としての演奏をイメージした方がうまくいく」が捻れて伝わった結果な気がしないでもない
via はるにえ @Halu_nie さん

…というツイートが、私の中では一番しっくりきました。

「どのようにやりたいか」を、考えると、音が変わるんだと思うのです。目的地の設定。

感情と動作の連動=演奏の「演」?

たとえば、優しく話したいとき、自分の声帯や口の形、いちいちの動作に気を配らなくても、優しい気持ちになれば自然と優しい声になりますね。
多分、怒っていたら、その制御はすごく難しいでしょう。

よく言われる、「楽器から音をだすのではなく、自分の身体から出す」、ということ。
自分の内と外、身体と楽器を、別々の気持ちや形で扱おうとはしない、ということかと。

演奏の「演」って、実はそこにも重なるのかもしれません。
自分の中の引き出しから何を取り出すか、いかにリアルに取り出せるか。
演じることを、「なりきる」といいますが、それなのかも。
(自己陶酔と違うのは、感情の扱い方が、冷静にしかも周囲と調和するように、というのがちょっと違う点かも。ちょうどいい感じのほろ酔い加減でしょうか、どっぷり泥酔はダメです。でも最初は泥酔から始めてもいいのかなw やり過ぎ注意w)

なので、自分の気持ちを上手に作ることと、その気持ちにある程度ゆだねて音を出す、それで、「表現」というものをもう少し追求できるのではないかなと思います。

練習の時は

実際の練習の中でやらなくてはいけないのが、「気持ちを大事にする ”余裕” を持てるようにする」
たとえば、物理的には、テンポを上げすぎない、音量ばかり追求しない。
それから、場面のイメージを強く持つ、自分の中へ没入できるような環境を作るなど。

・そろえるときにも
合奏の時には、自分の気持ちを作るだけでなく、「合奏の相手と同じ気持ちで音を出すという意識ができているかどうか」、というのもあります。
音がちぐはぐになったとき、ここを修正すると馴染むことがあります。
場面のイメージを共有して、同じ気持ちで音を出すようにする。
「(みんなで)1つの箏を弾くように」とか、「(みんなで演奏するけど)1つの箏をひとりで弾いているような音で」とか、言われるときの、そろえ方も、ここで少し解決できるかもしれないです。

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音を出すだけでなく、その形や、伝わり方を意識すると、曲の場面それぞれについて、個別の雰囲気を意識できるようになるかなと思うのですが。

「こうしたい」という意図が明確にあったとしても、「実際どうやったらそれが可能になるのか?」という部分で、自分の時はすごく苦戦したので、複数の色々なやり方を、まず知って、それを選択肢として使えるようになるといいなぁ。物理的な部分と、感情を載せるというような部分の、テクニック。
上級生向けかもしれないけど、雰囲気の変え方のひとつとして、参考になれば。

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おまけの追加。
参考になるかどうか分からないけれど、「見方」「解釈」をどう形にするのか、というバリエの持ち方については、こっちの記事も参考になるときがあるかもしれない。



▼ さらに印象を変えるために、演出を外部的なもので補完する方法について。



参考になるようなことがあったらいいなー程度ですが、おいておきます。

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