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「バグズ・ライフ」KENTAの映像感想館

監督:ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン

上映時間:1時間35分


見る人によって思うことや感想が変わってきそうな映画

つまり、多様性に富んでいたと思う。



ストーリー的には王道、周りに認められないフリックが冒険して、役に立とうと奮闘するが、途中で挫折、その後再び立ち上がって最終的には認められるから、だれが見てもきれいに終わる作品だと思う。




さて、私は映画を深読みする癖があるので語っていくと、個々で面白い要素が際立ったと思う。


まず

冒頭:採用→伝統的な収穫方法

(フリックの発明と彼のドジでバッタたちへの食糧がなくなってしまったという背景)

フィナーレ:採用→フリックの発明品

(フリックがホッパーたちに勇気ある言葉と行動で立ち向かい、追い払って勇敢さを示したという背景)


これは安定志向と冒険志向双方を肯定し、そして否定していると私は考えた。


他のディズニーの映画は主人公が自分の境遇に満足できずに冒険にでるというものがある(ex:「美女と野獣」「塔の上のラプンツェル」「モアナと伝説の海」)これらは冒険が一長一短であることを示しているように思われる。



だが、この作品は安定と冒険の双方に関して、それぞれ欠点やバックグラウンドを見せて、「どちらも」一長一短であるということを示してくれた。

安定志向や伝統を継承し続けることだって悪くはない。



次に、ホッパーとフリックの発言について。

ホッパーは「アリは1匹だと弱いが、1匹でも反乱を許せば次は自分たちより多い数で反乱してくる」というような発言を残しており、フリックは「アリが食料を運ばないとバッタは生きていけない、アリを必要としているバッタの方が実は弱い」というような発言を残している。



すごいよピクサー、全世代向けの映像作品に統治論ぶっこんできたよ(笑)




下の者あってこその上の者。

国であれば、国民が税金を払っているから政治家が政策を実行できる。

企業であれば、平社員と呼ばれる人たちがお得意先との関係を守ってきたからビッグプロジェクトの際に協力いただける。

家計であれば、子どもが幼稚園で仲良い友達がいるから新しくママ友ができたりする。


考えれば無限にあると思う。

権力がある分、権力を振りかざされる者たちのことを考えてほしい。

そのようなメッセージを受け取った。



あとはもっとシンプルに見て、食物連鎖の勉強で「生」の尊さもまたポイントだと思う。

いろんな生物の存在があって、我々人間が生きている。生きとし生けるものを大事にしよう!

このメッセージに関しては全世代共通で感じることができると思う。



最後に、人気のないサーカス団員が「喜ばれること」そのもののうれしさを実感し、最後にはサーカスにもどるという流れがあったが、そちらは全体的に救助やバッタとの戦いなど「ヒーロー」としての側面が強調されすぎていたような気がして、もう少しそのヒーロー的活躍の中にサーカス要素を入れて、新しさによる明るい未来を連想させてもよかったような気がした。


全体的に、王道だが一つ一つのシーンや発言の中に深いメッセージや学びが隠れている「ストーリーに隠し要素を組み込んだ、ピクサーの遊び心満載」作品だった。



おまけ:この作品にでてくるアリの見た目、どう思います?

私はそんなに気持ち悪いって思わなかったんですけど…



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