進む先を見ていれば加速してよいかわかる
以前別のブログで書いていた記事です。仕事で教習指導員をしているので、ぼくの文章では車の運転に関する話がちょこちょこ出てきます。――――――――――――――――――――――――――――――
教習をやっている子の中で、なかなかアクセルを踏めない子というのがいる。指導員に言われたらアクセルを踏む、それ以外の場面ではクリープ現象で進むくらいしかしないという子だ。
なぜそうなってしまうのか。原因はその子の運転しているときの状況を見てみないとなかなかわからないけれど、たとえばひとつ原因として考えられることに、前の状況に対する判断ができていないというのがありそうだ。
自動車の運転に限らず、自転車の運転でもそうなのだが、加速しようと思うときはどういうときか考えてみると、進む先に加速を遮るものがない、前に車や人がいない、そういうときではないか。スピードを出しても大丈夫だと思うから加速するのだ。逆に言えば、「進む先の状況がよくわからないけど加速しよう」とは、ふつうならないだろう。進む先が安全だと思うから加速するのだ。
指定速度のない道路の法定速度が60km/hに設定されていて、大きい道路ほど指定速度がないのも同じ理屈で、進む先に現れるものは信号、横断歩道、交差点くらいで、突然横から自転車が飛び出してくるとは考えにくい。あるいは歩行者が見通しの悪いところから飛び出してくるとも、車とスレスレで交通するとも考えにくい。だから法定速度の範囲内でスピードを出してもいいよとなっているわけだ。
教習所の指導員が、教習生に「進む先を見て」と言う理由はいろいろあるが、ひとつには、進む先の状況を早くとらえて、この先加速できるのか、それとも減速したほうがよいのか、前もって判断できるようにしてほしい、ということが理由のひとつとしてあるのだ。
「進む先を見て」というのはなにもカーブを曲がる際にだけ問題になるわけではない。カーブを曲がる際によく言われる指摘だけれども、カーブの曲がり具合を捉えてほしいからだけではない。カーブを抜けた先でしっかり加速してほしいからだけでもない(それもあるけど)。直線路でも同じこと。早い情報取りによって加減速の判断を早くして、メリハリのある運転につなげてほしい、そしてそれはカーブの入口/カーブ内/出口に限らない、ということだ。
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