韓国語の発音変化に対する根本的な誤解
なぜだろう。なぜ書かれている通りに発音しないのだろう。
そう思ったこと、ありませんか?
おおかたの韓国語の教科書には、ハングルの書き方の後にその発音方法を説明しているものですが、たいてい「発音変化のルール」みたいに書かれています。
たしかに、ルールといえばルールなんですが、
ちゃうねん。
そうじゃないねん。
これは覚えなきゃいけない嫌なものじゃないねん。
うわぁ、いっぱいあるなぁ、めんどくさ……ってものじゃないんです。
発音変化が起こる、その根本的な理由。これがわかれば、むしろ、あなたの態度は「発音変化? ウェルカム!」に変わるはずです。
比較のために日本語を例に出してみましょう。
日本語も、ハングルと同じように、ひらがなとカタカナは書かれている通りに発音するものです。漢字は特別な読み方があったりしてむずかしいけれども、ひらがなとカタカナはそうではありません。書かれている通りに発音すればよろしい。
それが建前。
では次の言葉を読んでみてください。
こうつうきそく
げんいん
ふんいき
どうでしょうか。日本人なら当然読めますよね?
では質問です。上のみっつ、書かれている通りに読みましたか?
このように発音していませんか?
コーツーキソク
ゲーイン
フインキ
でもこれ、書かれている通りに読んでませんよね?
書かれている通りなら、
コ「ウ」ツーキソク
ゲ「ン」イン
フ「ン」イキ
こうですよね?
けれども、上みっつのように発音する人がいても全然おかしくありません。そんなもんです。それで全然通じますしね。
では、なぜ書かれている通りに読まないのでしょう?
ひらがなに忠実に読めって言われたらどう思いますか?
めんどくさくないっすか。言いにくくないっすか。
いちいち律儀に「コ」「ウ」「ツ」「ー」とか言わなくても、「コーツ―」で通じるし、楽じゃないっすか。「ゲ」「ン」「イ」「ン」って律儀に読もうとすると舌がなんかまどろっこしじゃないですか。「ゲーイン」って言っちゃったほうが最初のほうは口開けっ放しで楽じゃないですか。
ですよね?
発音変化が起こる根本的な理由、もうおわかりでしょうか。
ズバリ、「楽だから」です。しっかり書かれている通りに律儀に読むのがめんどくさいからです。発音を変化させて読んだ方が楽だしそれで通じるからオッケーなんです。
ルールというよりも、ショートカットです。
もっとあけすけに言ってしまえば、ズルです。発音のズル。
いまの話は日本語を例にとって説明しました。
この話の注意点をお話します。それは、日本語の発音変化は、「日本人が」そう発音したほうが楽だと考えたからそうなるという点です。
逆に考えると、日本語を勉強する外国人の方々は、この発音変化を「ショートカット」ではなく「ルール」として勉強する羽目になるわけですね。
僕らが韓国語を勉強しようとするときには、これとまったくおなじことがおこっているわけです。
発音変化は、
韓国人の方々にとっては「発音のショートカット」
日本人の方々にとっては、「発音変化のルール」
こういうふうになっているわけですね。
やっぱルールなんじゃんって思いますか?
でも、この話から引き出せるもうひとつの側面がわかりませんか?
韓国人にとっても、発音しづらい韓国語があるんだということです。
そして、発音変化がおおく起きるのはなんといってもパッチム関連ですが、
発音変化がおおいなって思ったら、さきほどの話を踏まえてこう考えましょう。
韓国人にとっても、パッチムは書かれている通りに読もうとするとめんどくさいんだな。だからこうやって変化させて、楽してるんだね、と。
で、ここが重要です。韓国人にとって発音しづらいってことは、当然、日本人にとってだって発音しづらいってことになるはずじゃないですか。だいたい、子音だらけのことばなんて、誰だって発音しづらいに決まってます。
しかし、「ショートカット」があるわけですよ。こういうふうにズルしていいよって言ってるわけです。
発音変化万歳! 公認のズルがある!
ゆえに、これを使わない手はないのです。
だってそのほうが楽なんだもん。
以上、発音変化は、ルールではなくショートカットだ!のお話でした。
p.s.
韓国語、日本語のお話として書きましたが、他の言語でも考え方は同じです。発音変化はルールというよりショートカットなのです。
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