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ラトビア人のつつましさに学ぶ

リモートワークでなんとかこなしているが、この状況がいつまで続くか見通しは立たない。

特効薬が開発できるわけでもなければ、ボランティアで労働力が提供できるわけでもない。私のような一般人ができることとすれば「もらわない・拡める側にならない」ために、家に籠ることだけだ。

この状況って「アンコントローラブルな脅威」だと思うのだが、なんだかラトビア人のつつましさがリンクしてしまった。

ラトビアのバックグラウンド

ラトビア人のつつましさを語る上で欠かせない歴史的なバックグラウンドにふれておきたい。(歴史には疎いので、精緻さには自信はないです…その前提で読んでください。)

第二次世界大戦時は、ナチスの支配占領下におかれたバルト三国。終戦後はソ連に長く支配され、ラトビアが独立を果たしたのは1991年。(冗談のようだが、つい20世紀末の話)

旅をして感じたが、ロシア文化に影響されたデザインや建造物は今も多く残っている。支配下では、ロシア語を強要され、母国語が許されたのは「歌」だけだった。1988年、当時の人口の1/3にあたる30万人以上の人々が野外ステージに集ったエストニアの歌の祭典が行われたが、それは母国語を話すことを唯一許された歌に込められたバルト三国の人々のアイデンティティそのものでもあった。

翌年、歴史的にも有名な「人間の鎖」がバルト三国の首都を結び、独立を加速させる。エストニアのタリンからリガを経由し、リトアニアのヴィリニュスまで、距離およそ600kmを、200万人の人々が手を結び、連帯と独立への意志を歌い続け、バルトの人々の独立への強い意志を全世界に示したのだ。

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この運動は「Singing Revolution」とも呼ばれ、暴力も武器も使わずに、平和的に独立を勝ち取ったというエポックメイキングな記録でもある。ソ連崩壊とともに、同国がラトビア独立を宣言したのが1991年のことだった。

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ラトビア首都の中でとりわけ目をひく「自由の記念碑」

ラトビア人は、つつましく、しなやかで、たくましい

ウイルスか政治かの違いはあれど「アンコントローラブルな脅威」に長くさらされてきた国民。複雑なバックグラウンドがあるからこそだと思うが

彼らは、生き急がない。

とても忍耐強く、つつましく、しなやかで、たくましい。

手仕事も驚くほど器用だ。着るものは自分の手で編み、木を道具に活かし、器を焼いて、カゴを編み、革をなめし、歌と踊りを楽しんで国民の誇りとして生きてきたということが、すこし旅をしただけでも十分すぎるほど感じられた。

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ラトビア建国100周年が示したもの

ラトビアは一昨年、建国100周年の節目だった。
本当の意味での独立からは、わずか30年足らず。

ラトビア建国100周年のイベントをどうしても見たくて再訪したのだが、本当に素晴らしかった。国中のラトビア人というラトビア人が会場に集まり、花を持って踊り、歌う。

オリンピック以外に、こんなに国民の心がひとつになれるものがあるなんて。バルト三国の人々にとって、紆余曲折の歴史の中でも失わなかった誇りと尊厳なのだろう。ステージだけでなく、観客がみなフォークソングを口ずさむ光景には、胸がいっぱいになって、自然と涙ががこぼれた。

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どんな時でも衣食住をちゃんと出来る人間が、一番強い

これは私の人生のバイブルである漫画「7SEEDS」の中に出てくる名言なのだが、どんな災害や天災であってもパニックにならず衣食住をちゃんと立て直せることが、人間の真の強さであり、しなやかさだと思う。


「アンコントローラブルな脅威」にさらされたとき、武器を手に取り、人を貶めて生き延びようとする人もいる。でもラトビア人は、支配という長くて静かな戦争を、衣食住をちゃんとしながら乗り越えてきた。

↑ラトビア人のつつましい暮らしぶりの理解に関しては(小説なので脚色はあるにしても)この本がとても色鮮やかに繊細に描かれていておすすめ。

そんなことを考えたとき、コロナが脅威の今の状況だって、少し視点を変えて、ラトビア人のように日常をつつましく楽しめばいいという心持ちになった。

普段は他の楽しいことにかまけてできなかったこと。

ちょっと凝った手料理をしてもいいし、長風呂やエクササイズもいい。家の掃除や庭の手入れを、いつもより丁寧にやってみてもいい。靴磨きしてみたり衣替えをしてみたり、家のメンテナンスはいくらでもあるし、作ることやインプットに興じるのもいい。視点をちょっと変えれば、家籠りにもクリエイティブなことはたくさんある。(オンラインで楽しいことが溢れるこのご時世に、何言ってんだって感じですがw)

こんなときだからこそ、パニックにならず、衣食住を大事にポジティブに生きたいと思いました。おしまい!

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