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Carnival Rhythm √29の解説

はじめまして。Bobetと申します。
今回初めて『ボーカロイドコレクション2022春』というVOCALOIDの祭典みたいなやつに作品を投稿しました。

変(拍子)な曲なので是非聞いてみてください。

という訳で、投稿した『Carnival Rhythm √29』について軽く解説します。
需要があったら嬉しいけど…

ごめんなさい

まず初めに、この曲にはモデルとなった知人が居ます。

その知人は、生まれながらにして「愛する人は屈服させ、辱め、死んじゃったら食べるもの」と思っていた生粋のカニバリストです。
しかし、その知人は歳を重ねるにつれて自分の性癖(ここではそう表現します)が異常であることを理解し、一般的な社会性との間で悩み、そしてその性癖を隠して生きる事を決意します。
「愛する人を食べたい」という渇望が今生で満たされないことを受け入れ、普通の人と結婚し、子を成し、一点を除き充実した人生を送っていました。
しかし、子供が手を離れてから色々あって独り身になり、今では「自由」に生きていらっしゃるようです。

俺がこんな所でこそこそあなたを題材にした曲を作っていると、あなたは露ほども知らないと思いますが、勝手に曲の題材として利用した事をここで謝らせてください。申し訳ございませんでした。

この曲で伝えたかったこと

この曲を一言で表すと

「有り得た話」

です。めっちゃすっきりと。
そして、もう少し掘り下げた主題は

「産まれながらのカニバリストが、現代では満たせない食人欲求を満たす」

という感じです。
そうそう、タイトルはカニバリズムをカーニバルリズムと文字ったものであり、√29は「肉」と掛けたものです。肉ルート。シンプルなダジャレ。
目まぐるしく変わっていくカーニバルの風景みたいな曲調に乗せて、結構グロい物語が進んでいきます。

それでは、歌詞の解説をしていきたいと思います。

1番の歌詞

Aメロ

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歌いましょう 踊りましょう
蠢く二本足 羊のダンス
今は亡き 夜の謝肉祭

嗤いましょう 狂いましょう
肌蹴た白い胸元 舞い散る真紅
背徳の 美しマルディグラ(肥沃な火曜日)

淑やかに お静かに
手掴み噛み砕いて 骨まで愛せたら
禁欲のAsh Wednesday(灰の水曜日)
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まず前提の知識として、謝肉祭についてざっくりと解説します。

謝肉祭とは、四旬節といわれる断食期間に入る前に飲んだり食ったりして騒いじゃおうという祭りのことです。だいたい1週間くらいやるそうです。
謝肉祭という名称から勘違いされやすいですが、意味としては「肉よさらば!祭」が適切なようです。
そして、謝肉祭の最終日は肥沃な火曜日(仏語でマルディグラ)と呼ばれており、翌日となる四旬節の初めの日が灰の水曜日(Ash Wednesday)と言われています。

私はこの謝肉祭と四旬節というものが、昔は存在していた人肉食文化と、それを禁止された現代で対比できるなと思って曲の世界観に採用しました。

浪費の謝肉祭=過去存在した人肉食文化
節制の四旬節=カニバれない現代

といったふうに。

前置きが長くなりましたが、ここからちゃんと解説します。
普通に解説しても面白くないので物語風にしましょうか。

「人肉達が歌って踊る、騒がしい幻の謝肉祭。
肌蹴た胸元を彩る赤色は、上気した為のものか、それとも。
狂騒のうちに謝肉祭は最終日のマルディグラを迎え、祭りが終焉に向かう独特の静けさを孕みながら禁欲のAsh Wednesdayを迎えるだろう。」

書いてみたはいいものの、歌詞のまんまでワロタwww
因みに、中国では人肉の事を「両脚羊」と表現するそうで、冒頭の「蠢く二本足 羊のダンス」という部分は、抵抗する人肉の様子を描いてみた感じです。

Bメロ部分

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煌めく星屑
幾つも散らばって
漂い待ち焦がれていたの
カルナヴァル
私たちはいつか
大人になっていく
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Aメロと打って変わってロマンチックな雰囲気になりました。
カルナヴァルとはカーニバルの仏語バージョンです。
ここの歌詞はざっくりと

「運命的な出会いを果たした若い2人。その目に映るカーニバルの景色は年を経るごとに変わっていくんだろう」

といった感じの内容です。

ここで初めて登場人物が「若い2人」である事が判明します。1人はカトラリーを握った白髪の人物ですが、もう1人は……後ほど!
要はAメロは世界観の説明でBメロから若い2人のお話が始まる形ですね。

但し。

このBメロ、(7/8x3+8/8)x3というガチで鬼畜な変拍子になってます。
29/8が3回繰り返される感じですね。歌詞がメルヘンになった代わりにリズムの方が「肉だよ肉だよ肉だよ」と訴えかける構成です笑
わかるかぁーい🥺

1番サビ

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溶けて混ざり合いましょう
胸の奥の底で
愛でていたぶりましょう
素敵な声を聴かせて
恋のガストロノミー(美食学)
重なり合って 離れぬように
食べてあげるから
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ここの意味は「あんたを食べたいよ!!!🙏😆」です!!
だんだん適当になってきたわね。でもほんとそれだけの事を言いたくて、言葉で着飾ってる感じです。
 
「胸の奥の底」というのは、ズバリ胃の中の事です!
ドSというか、ドミナント(支配者)様気質な主人公の声がダダ漏れですね。

そう、何を隠そうこのドミナント様のモデルが冒頭でお話した知人です。
生まれながらにこの思想はナチュラルにノブレスすぎるよね。かっこいい。

そうそう、サビに入る前の小さなBridgeで「らったったー らったったタラリラ cannibalism!」と言う部分がありますが、その背景に蜘蛛を使用しているのは分かりやすくcannibalismを伝えるためであって、決して主人公は「人間由来のプロテイン」を愛している訳では無いということを付け加えておきます。

2番の歌詞

Aメロ

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ずっと歩いて 背負い続ける
十字架の名は
無実の希望(ユメ)か
不浄の愛の絞り滓
産まれながらに 愛する人を
喰らいたかった
見たくないのは
震える君の瞳だけ
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ここから話が加速的に進みます。

「ずっと歩いて背負い続ける十字架」というのは、「生まれながらの食人嗜好」と同義です。この時点で主人公は食人嗜好そのものが忌避される物だと気づいています。

無実の希望(ユメ)=生まれついてのものだからしゃーない
不浄の愛の絞り滓=他の何よりも、多くの人にとって受け入れられない性癖

この2つは主人公がこれから背負っていく十字架そのものです。

後半の「産まれながらに〜」の部分ですが、意味はそのまんまですね。
ざっくりと解説すると

「愛するあなたをカニバりたいけど、それをカミングアウトすることは出来ない。あなたからオゾマシイ物でも見るかのような目を向けられる事が、何より怖かった」

こんな感じですかね。

因みにここからBPM120→90になっています。シャッフルビートを混ぜてからそれっぽいメトリックモジュレーション入れるとテンポダウンしやすいのでお勧めです!!

Bメロ

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黄昏の中で
彷徨い
走って
迷って
教えて
その手で
掴んで
抱き寄せて踊り続ける
生まれ変わったって
君とともに
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ここもちょっとファンシーな雰囲気ですね。
これは黄昏時の、カーニバルの最中での出来事です。

「2人でカーニバルを彷徨ったり、走ったり迷ったりして、でもそれすら楽しくて。
あなたに踊りをリードして欲しいと思ってたら、あなたもそれに応えてくれた。永遠に続くような幸せなワルツ。
そしてあなたは言った。
『生まれ変わったって 君とともに』
と。」

ええ話やな〜〜ええ話やな〜〜〜〜〜〜

だがしかし!!!!!!

なんかこのBメロ気持ち悪くね?と思ったリスナーさんも多いだろう(なお再生数)

そう。このBメロ、ドラムは4拍子のリズムを叩いてて、メロディラインは3拍子で進行しているのだ!!

だからどうしたと言うのだァーー!?!?

私はここで2人の気持ちの剥離を演出したくて、ドラムラインとメロディラインを敢えてポリリズムにしました。
(ポリリズムとは簡単に言うと事なる2つ以上のリズムが同時進行する事です)

ここでもう一度歌詞を見てみましょう。

「生まれ変わったって 君とともに」

これは2つの解釈が出来ますね。

まず1つ目は、生まれ変わっても君と共に居たい。

そして2つ目は、生まれ変わっても君と友でいたい。

主人公はどちらの意味で受け取ったのでしょうか。to be continued(例の曲)

因みにここBメロは29/4拍子です。お肉やね。

サビ

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二度と離さないから
溶けて溶けて蜜髑髏
ずっと求め生きてた
カルナヴァル
叶わざる夢
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殺っちゃいました

あなたに「ズッ友宣言」された(と勘違いした)主人公はやっちまいました。
なので、ここで言う歌詞の「二度と離さないから」というのは、1度離れたけど2回目はもう離さないよという意味ではなく、もう絶対逃がしまへんで!!という意味のものになります。

「溶けて溶けて蜜髑髏」は、なんか語感がいいので使いました笑
あなたを食べて髑髏舐め舐めしてる感じですね、イメージとしては。

そして「ずっと求めてきた カルナヴァル 叶わざる夢」がここで叶いました!おめでとう🎊🎉🎉

MVの方では「夢」の部分で主人公が着用していたマスクが外れて素顔が露になります。シャバの空気が吸えるってもんだ!

このシーンはもう、イラストを担当して下さったRENOさんが素晴らしい仕事をしてくださいました。皆もRENOさんにイラストの仕事をバンバンお願いしよう!!本当に凄いイラストレーターさんだから!!


間奏〜ラスサビ

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蜂蜜かけて召し上がれ
溢れる肉汁受け止めて
はしゃぐ子供真っ赤なストロベリーパイ
打ち上げ花火 舞い上がれ!
溶けて混ざり逢いたい
泡沫の世界で
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蜂蜜かけて〜からのくだりは、食人とカーニバルを楽しんでいる主人公の様子です。

「真っ赤なストロベリーパイ」は、私が敬愛するALI PROJECTの「ストロベリーパイをお食べ」という曲から概念ごと拝借しました。

はしゃぐ子供が真っ赤なストロベリーパイを食べている微笑ましい光景ととるか、「うるせぇガキだ!ボコッ!(ストロベリーパイが出る音🍓🥧)」と取るかは聞き手に任せるやつです。

最後の「溶けて混ざり逢いたい 泡沫の世界で」という歌詞を結びの詩にしていますが、意味はそのまんまですね。
胃袋で逢いましょうやって事です。
泡沫の世界というのも、なんか胃袋の中でゴポゴポと溶けてるイメージですね。

終わりに

だいたい歌詞そのまんまの内容だったわ!!!

ただまぁ、人に言えない性癖とか欲求というのは多かれ少なかれ誰にでもあると思うのです。
それを皆うまいこと知らんぷりしたり、折り合いつけて生きているんだよね。
それは素晴らしいこと。

もしこの曲を聞いて、この記事も読んでくれた人はマジでありがとうございます。クリエイター冥利に尽きます。
あと病院も行った方がいいかもしれない。

ボカコレではどっぷり埋もれたCarnival Rhythm √29ですが、俺は自信を持って最高傑作だと言い張れます!

他がどうとかではなく、自分が自分の曲の1番のファンであって、拗らせファン特有の怪文書を書いただけ。

ただそれだけの記事でした。


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