My name is事変

私は、英語が大好き。

小学校4年生の時に、母の友人が自宅で塾をしていた繋がりで英語を学び始めてから、あっという間に大好きになった。
英語だけは、すんなり頭に入ってきて理解出来た。今思えば、それはある意味不思議な感覚だった。知らないことを学ぶと言うよりは、知っていた事を思い出していくような感覚に似ていたかもしれない。

中学でも高校でも、英語だけが得意科目だった。
(発達障害特性のせいもあったのか、他の科目はほぼ壊滅的だった(笑))
大学に進学する時も、英語を学ぶ事しか考えてなくて、外大にこそ行く頭も余裕もなかったけれど、市立大学で英語ができるところに行けた。
今でも忘れない。受験前夜、一番最後に見た単語帳の一語「divorce」。離婚するという意味の単語。翌日の試験でそれが出てきた。
今でも私は、divorceのおかげで合格出来たと信じて疑わない。

そんな私も、大学卒業後はあまり英語に触れない日々が長くなってしまった。
ネイティブの人と話すことはほとんどなくなり、英会話スクールに通うお金もなかった。
そのまま月日が経ち、大学を出てはや何十年になってしまった。

でも、その何十年の間でも、英語という存在はずっと私の心の片隅をしっかりと占拠していた。
洋画を見れば聞き取ろうとし、字幕を見て意訳の難しさを考えたり、洋楽を聞けば歌詞の意味を理解しようとしたりしていた。

そして、このコロナ禍に入り、私はいろんなものがオンラインでできるようになっていっていることを、遅ればせながら知った。
遠方の友達ともリモートでテレビ電話ができ、仕事によっては在宅でできる(もしくはしなきゃいけない)時代になっていたのだ。

私はいつでも気づくのが遅い…

英会話だって、今やいろんなところでオンラインで出来るようになっていた。
そこで、某オンライン英会話のお試しレッスンを、受けてみることにしたのだ。

英語を話すことから離れてはや何十年。
全盛期のように喋れなくなっているであろうことはわかっていた。
それでも英語を話したかった。
英語を話している時の私は、昔英会話の先生が「水を得た魚のようだ」と表現する程だった。
母国語の日本語だったら上手く話せないこともあるのに、英語ならディベートのクラスで、先生を言い負かすこともできたのだ。

めちゃくちゃいろんな人が先生として登録されていることに若干ビビりながら、私はなんとなく人が良さそうな女性の先生を選んだ。
フィリピンの方だった。多少訛りがあるかもしれないのがちょっと心配だったけど。
オンラインで繋ぐとき、すごくドキドキした。
見知らぬ人が画面に出てくるというのもだけど、私はもともとアナログ人間なところがあるから、こんなことをするのに慣れてなかった。

画面にでてきた先生は、とても明るくて優しそうな先生だった。
聞き取りやすい発音で、多分割かしゆっくり喋ってくれていると分かった。
まず先生が自己紹介をしてくれて、だが「あなたの名前は?」と聞かれた時の自分の答えに、私はちょっと愕然とした。

私は、「My name is~」と答えたのだ。

my name is って…いや、文法的にはもちろん合ってる、合ってるんだけど、小学校4年から大学卒業まで英語を勉強した身としての返答としてどうなの?my name isって、もろの教科書英語じゃないの!?I'm~って言えば良かっただけじゃないの!?

私はその一瞬で動揺してしまい、その後の会話ではろくな事は言えなかったと思う。仕事のこと聞かれても、よく説明できなかった。my name isショックが大きすぎた…

私は、英語勉強歴は結構長いかもしれないけど、海外に出たことはない。
お金がなかったこともあるけど、飛行機に乗るのが怖くて海外に旅行にすら行ったことがないのだ。
そのせいかどうかとは言えないけど、実際のネイティブスピーカーたちが自己紹介で名前を言う時になんて言うのか、私はほぼ知らないのだ。
こんな時に、飛行機落ちるの怖いとか言わずに、ちゃんとお金貯めて海外に行っとけばよかったかと思う。
だって日本の教科書英語ってナチュラルじゃない事も多いと聞く…

ショックはショックだったのだけど、そのmy name is事件は、私の英語熱を再燃焼させたのだ。
今は便利な時代で、インスタやYouTubeで自然な英語をたくさん教えてくれるから、そんな事ばっかり見る生活をしている。

せっかくの好きなことだから、今の歳からでも再開してもいいよね、と自分に言い聞かせながら。

ちなみにそのオンライン英会話は、やりたいのだが料金と折り合いがつかず、始めることはまだ叶わないでいる。
スクールに通うことを考えると破格の安さなのだが、障害者枠で時短勤務で働く私にとっては、気安く出せる金額ではなかったのだ。

もっとちゃんと稼げるようになったら、オンライン英会話で色んな国の人と話してみることを、夢見ながら…

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