術後の混乱

1回目の手術の後熱が下がらず、うつらうつらと寝たり起きたりしている間、私ははっきり母からのメッセージを受け取っていたと思います。

”とりあえず今はまだ死ぬ時じゃない、みんなで助けるから大丈夫、心配しないでいなさい。今起きてるこれ、全部想定内、っていうか、予定通りだから・・”

予定通りって、母さん・・(汗)

そして不思議なことに、自分が何者かに乗っ取られているような、体を勝手に使われているように思えることが度々ありました。意識がはっきりあるのに、体が全く動かなくて何も話せなかったり、思ってもいないことをペラペラ話していたり、夜中に起きだして、すごい勢いであちこちにメールをだしていたり。同じ病室にずっといるはずなのに、それが外来だったり、廊下になったり、手術室になったり。ICUシンドローム的に、白昼夢を見ていたのでしょうね。

なぜか自分はもう絶対に助からない、このまま退院はできないと思い込んでいて、娘を捕まえては必死の形相で怖いことを色々言っていた、と後になって聞かされました。

元々突発性難聴があり、耳鳴りは常にあるのですが、ひどい耳鳴りが始まると、さながら連続ドラマのように1話完結で話が進んでいき、肝心の自分はそれを横で見ているかのようなおかしな体験でした。一つ終わると、また次の試練が待っている、とでもいうような。。

今までの人生の振り返り、的な、いろいろな場面が浮かんできました。私の場合、それはポラロイド写真のように、たくさんの画像がパラパラ頭に浮かぶ感じでした。病院の天井だったり、患者さんのカルテの表紙だったり、生まれたばかりの娘の顔だったり。たくさんの写真が散ってしまう、と一生懸命かき集めて、それを手にするとその時の記憶が鮮明に蘇りました。

色彩、匂い、音楽、日々の忙しさに忘れてしまっていたものが次々と蘇り、ああ、私これ、とても大事にしていて、大好きだったんだっけ。でもそれをすっかり忘れていたなと思い、涙が出てきました。色々なものが繋がって、次に湧き上がったのが感謝の気持ちでした。これまで自分を助けてくれていた多くの人たち。まだありがとうが言えていない・・

”かあさん、他にもちょっと色々行かなきゃいけないところがあるから、少し側にはいなくなるけど心配しないでね、何かあったら戻ってくるし、ちゃんと見ててもらうよう頼んどくから”

そう聞いた気がしたのは、抗生剤を変更してから解熱し、少し動けるようになった頃でした。

#日記 #闘病 #母の声 #混乱

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