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作品紹介|My little Rascal -林檎-

本作は、今回のシリーズで一番最初にラフ画が仕上がった作品です。「My little Rascal」5作を象徴するキービジュアル的な役割を担っています。ラスカルを正面・正対で描いた絵はあまり多くないと思いますが、石川真衣さんとしては構想段階から、シンメトリーな構図を備えたシンボル的なものにしたいと考えていました。

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石川真衣「My little Rascal -林檎-」(2022年)
200×220mm(絵柄サイズ) リトグラフ ed.45

つぶらな瞳でこちらを見ている印象的な作画ですね。林檎(りんご)を大切そうに持っている手元にもアライグマらしさが。はじめは、ラスカルの大好物であるトウモロコシを持たせようと思ったという石川さん。しかし、辛い思い出のエピソードもあったため、TVアニメの有名なオープニング曲「ロックリバーへ」の歌詞からヒントを得て林檎を選ぶことに決めました。

全体の色彩感は、いつもの版画作品より少しクラシカルな雰囲気になっています。ピンクを使う場合でも少し渋さのある色にしたり、ラスカルの色とも調和するよう刷り上げられています。(下は線画の版と、色版が刷り重ねられていく様子)

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描線の細やかさは、石川真衣さんの版画作品で高く評価されている美質のひとつ。ラスカルの作画に際してもそれが非常に光っています。シロツメクサの花飾りも、いつまでも見ていたいと思えるほどに官能的な細やかさですね。(下は自分で編んで資料にした花飾り)

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「ラスカルの可愛らしさだけではなく、それにプラスして、生きているラスカルを再現したいと心がけました」と石川さん。アライグマやたぬき、レッサーパンダの写真などを集め、手や足の動きを研究したそうです。

時間をかけた努力が実を結び、今までにないストーリー性豊かな美しいコラボレーション版画になりました。

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