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版画家・石川真衣さんについて

 石川真衣さんの版画作品は、愛犬ゴールデンレトリバー「レオ」を題材に幼い頃から綴ってきた物語をオリジナルテーマとして始まりました。
 刷られた画面には少女とともに犬など様々な動物たちが描かれています。濃厚な哀切感が漂う作品空間の中心にいる主人公「牡丹ちゃん」とは彼女自身。まとっているのは、少女アニメからの影響を色濃く受けた自我の断章です。
 亡きレオへの鎮魂や多様な生命体との共生まで細かくイメージされた構想が隅々にまで脈打っており、彼女特有の手付きで愛に溢れる世界観を謳う強い表現力が個展やグループ展などで高く評価されています。
 版画は一度版を作るとオートマティックに一定数までただ複製されるもの、と捉えられがちですが、石川さんはそのイメージに強い疑義を発し続けてきました。特に近年では染色や滲みを取り入れるなど、技法やインク、素材の追究を含めて新しい版画の可能性に挑み続けています。

1988年、埼玉県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科在学中より創作活動を開始。第33回大学版画展(2010年)にて町田市国際版画美術館収蔵賞を受賞し注目を集める。第1回FEI PRINT AWARD(2012年)にてグランプリ、和紙の里 東秩父版画フォーラム2013にてNHK埼玉局長賞受賞。2013年、多摩美術大学大学院卒業。「アニメコンタクト」パッケージ、アパレルブランド「A.li.E」、「デジプリ」年賀状など企業や商品へのアートワーク提供も多い。町田市国際版画美術館、多摩美術大学、フェイアートミュージアムなどに作品収蔵。現在、多摩美術大学非常勤講師。
http://ishikawamai.com



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