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私だけの特捜最前線→7「兇弾、凶弾Ⅱ~神代課長の娘とその死」

※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略

特捜最前線には、「辛口」と称されるドラマが時々あります。救いようのない結末や取り返しのつかない結果でドラマが終わると、見ている方もなんとも言えない気分になってしまい、それが辛口とされる所以です。

神代課長(二谷英明)の娘が事件に巻き込まれ、犯人によって射殺されてしまうという衝撃のドラマが「兇弾・神代夏子死す!」と「凶弾Ⅱ・面影に手錠が光る!」の前後編で制作されました。

「太陽にほえろ」の刑事殉職編のように、本人がいなくなってしまうのとは異なり、刑事が最愛の肉親を奪われてしまうというドラマは、非常にキツイものがあります。とくに神代の場合は娘ですので余計に・・・

前編の「兇弾」と後編の「凶弾」と、違う文字を使っています。神代の娘は前編のラストで射殺されてしまいました。それも、神代が見ている前での出来事で、神代の慟哭ぶりが「兇」の文字に表されているようです。

後編の「凶弾Ⅱ・面影に手錠が光る!」では、神代がなりふり構わぬ単独捜査で相手を追いつめていきます。上層部が神代の指揮権剥奪まで考えてしまうほど、鬼気迫るような暴走ぶりを見せるのです。

後編で神代は一言もセリフを言いません。口にするのは娘の生涯を回想する時だけ。目など表情だけで怒りも悲しみも表現する二谷英明さんの迫真の演技は、とても素晴らしく、見る人をひきつけていきます。

犯人を逮捕しても、犯罪被害者となった神代の心が晴れるわけではありません。娘は二度と戻って来ないからです。辛口作品が多い特捜最前線の中でも、一、二を争う「激辛」と言える前後編だと思います。

ちなみに、このドラマの脚本はメインライターの長坂秀佳氏で、銃口を向けられた人質が、いつも無事に解放されるわけではないということを表したのだと言われています。それにしてもエグイ脚本だなあ(涙)

noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!