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私だけの特捜最前線→16「午前0時に降った死体!~特捜では異色のキャラ・滝刑事登場」

※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略

特捜最前線の第100回から150回までの間は、メンバーが激しく入れ替わる激動の時期でした。社会派という路線が固まってきたとはいえ、制作側としてはまだまだ試行錯誤をしていたのだろうと思われます。

第108回「午前0時に降った死体!」で、飛び降り自殺(実は殺人)を目撃した巡査として(桜木健一)が登場します。滝は「世間の批判をかわすため」に特命課に配属されることになるのです。

滝刑事のキャラクターは「軽佻浮薄」で「上昇志向の強い男」に設定されています。刑事に憧れていたのも「出世するため」だとはっきり言い切るほどですし、エリート集団の特命課では異色の人物と言えるでしょう。

滝刑事の出演期間が短く(108話~169話)、不在だった時も多かったことから、リアルタイムで見ていた時には全くといっていいほど印象に残っていません。ただ、印象が薄いのはそれだけではないと思います。

特捜最前線は「社会派の重厚なドラマ」という路線が徐々に定着し、初期の高杉刑事(西田敏行)のようなコミカルな演出は不必要になりました。滝は高杉のキャラを引き継いだ人物なので、段々と浮いてしまったのです。

滝登場の直前には、桜井刑事(藤岡弘)がハードボイルドな刑事として復帰したばかり。しかも、長期不在だった神代課長(二谷英明)もすぐに復帰を果たします。滝刑事は加入のタイミングが悪すぎたと思うのです。

ただ、滝のキャラクターには捨てがたいものもあります。特命課員としてレギュラー出演するのは厳しかったかもしれませんが、セミレギュラーであればもっとキャラを生かせたのではないかと思わずにはいられません。


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