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『クラスメイトの虹夏ちゃん』ができるまでの2週間

こんにちは。Miyagawaです。
ぼっち・ざ・ろっく!オンリー同人即売会『結サク2nd』にて、すぺる(
@spell_PhDさんのサークル「IF研究所」から『クラスメイトの虹夏ちゃん』が頒布されます!
こちらのデザインを担当しました。

B6サイズ/20ページ/中綴じ/500円

開催日 4月16日(日)
場所  京都市勧業館みやこめっせ
スペース場所 H-17
サークル名 IF研究所

※サンライズクリエイション京都2023内のイベントで他にも色々な作品のオンリーイベントが同時開催されます。

すぺるさんが日頃からTwitterに投稿されている虹夏ちゃんイラストのまとめ本であり、すぺるさんが個人で出す初の同人誌です!

↓すぺるさんが日頃から投稿されている虹夏ちゃんイラスト

京都に来られるぼざろファン、虹夏ちゃん好きの方々、どうぞよろしくお願いします!
Miyagawaもすぺるさんとともに、売り子として馳せ参じます!

今回の記事では、『クラスメイトの虹夏ちゃん』の制作の経緯や裏側を紹介しながら、Miyagawaがデザイナーとして果たした仕事やこだわりに触れさせていただきます。

加えて今回の同人誌、制作期間は2週間です。
短距離走のように一気に走り抜けた制作の様子もご覧ください。


仕事① 背中を押す

日付が3月26日から27日に変わった頃、すぺるさんから連絡がきました。

「4/16にぼざろのオンリーがみやこめっせであって、サークル参加の締め切りが今日なのですが……」

急!
しかも申込締切が今日!!
いや、急!!!
でもこの急さが同人誌制作っぽいですよね~

「今から申し込むのは危険ですよね~」などと相談してきたすべるさんに対して、「入稿期限から逆算して作れるものを出せばいいんですよ!」などと背中を押すMiyagawa。

連絡してきてくださったということは、「無茶だからやめておけ!」って思い留まらせる言葉が欲しいわけではないと思うんですよね。

「本を出したい! でも初めての同人誌、自分1人じゃできる気がしない!」
そんな気持ちで同人誌制作経験のあるMiyagawaに連絡してきてくださったと思うので、背中を押します。それはもう全力で

Miyagawaの中では、本を作る決断をしてもらう、というゴールが決まっていたので、専ら「いかに作るか」という話しかしませんでした。

「高いハードルに感じるかもしれないけど、実際そんなに高くないから! 越えられるから!」
そんな気持ちで背中を押すMiyagawaの行為は、焚きつけるという表現のほうが適切でしょう。

同人誌制作はイキオイ!
理性を殺し、正気を捨て、衝動に従い、制作に狂うのです!

相談は一旦終了して、寝て、夜が明け、昼が過ぎ、再び夜。
締め切りまで後3時間という頃。
すぺるさんは「まだ迷ってます」と言いつつも、やりとりを重ねるうちに、本を出すことは決まった様子でした。
Miayagwaは、焚き付けた責任としてデザインと売り子をすることになりました。


仕事② 仕様決定の相談

本を出すことになったので、そのまま、本の仕様を大まかに決めていきます。
すぺるさんの希望を聞きながら、B6サイズ/中綴じ/24ページ としました。

ここでは綴じ方の説明をすることで、デザイナーとしての働きができたかなと思います。
中綴じと無線綴じの、特徴と違い、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのか説明しました。

https://twitter.com/bestprintsbiz_d/status/1074665518387343361より

イラストを載せる上で、無線綴じで発生するのノドのデッドスペースはもったいないということで、中綴じに決定しました。

https://www.ddc.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88/%E4%B8%AD%E7%B6%B4%E3%81%98%E3%81%A8%E7%84%A1%E7%B7%9A%E7%B6%B4%E3%81%98%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%82%92%E6%AF%94%E8%BC%83.htmlより


仕事③ サークルカットの相談

本の仕様が決まったので、そのまま申し込みまで見守ります。
すぺるさんが作ったサークルカットに若干の修正指示を加えました。

ギリギリだったので、大したデザインの添削ができなかったが悔やまれるところです。
横書きとして見る場合、最初に左上から右下まで視線が移動するのですが、視線の移動線上にアイキャッチとなるものありません。
なので、サークルカットを見たものの、空振りしたような印象を受けてしまいます。

しかし、今回はギリギリの申込みなので、あえてスルーします。
添削して間に合わないと本末転倒。
完璧を目指すよりまず終わらせろ、です。


仕事④ 打ち合わせ

無事申込みが終わり、1日置いて、3月29日。
打ち合わせをしました。
ここから本格的に制作がスタートします。

B6サイズ/中綴じ/24ページ という大まかな仕様から、入稿できるくらいに詳細な仕様を決めていきます。

紙は表紙本文ともにコート135左綴じとしました。
すぺるさんは個人での同人誌制作が初めてなので、希望を聞きつつ、最適だと判断した仕様にしていきました。

そして、入稿日は4月9日に決定。
もっと遅くもできますが、印刷料金と制作日数の兼ね合いでこの日になりました。

次にどのページに何を載せるかを決めます。
専門的には台割と呼ばれます。
この時点ではどのイラストを載せるかは決まっていないので、イラストを何枚載せるかと、扉や目次、奥付をどのページに置くかを決めて、イラスト掲載ページを明確にしておきます。

最後にどういう本にしたいのか、すぺるさんからコンセプトをお聞きしました。
まだ明言できないコンセプトがあるので、詳細は伏せますが、「シチュエーションにこだわったイラストを描きたい」というのが土台になっています。
今後の展開が楽しみになるコンセプトであることは間違いないので、乞うご期待です。


仕事⑤ 表紙の提案

3月31日。すぺるさんが示したコンセプトに沿って、表紙案を3パターン提案しました。
コンセプトを切り口を変えて3通りで表現しています。

コンセプトのネタバレ防止の為、デザインの説明をぼかしています。

まだ明言できないコンセプトですが、3案から推理してみてください。
「シチュエーションにこだわったイラストを描きたい」というすぺるさんのこだわりに合わせて、デザインでシチュエーションを表現することにこだわっています。

すぺるさんからは3つとも好評だったのですが「C案の写真アルバム風が一番好き」とのことで、この路線で行くことにしました。


仕事⑥ 右綴じを左綴じに変更

4月1日。先日の打ち合わせで右綴じにするという話でしたが、左綴じへの変更を提案しました。
イラストに縦書きでセリフを入れるとのことだったので、それなら右綴じが自然ではないかと思ったのです。

https://www.well-corp.jp/solution/%E6%96%B0%E8%A6%8F%E4%BD%9C%E6%88%90%E7%94%A8%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88-2/より
こんな風に縦書きでセリフを入れるなら、右綴じが自然。

すぺるさんが左綴じを選んだ理由を聞くと、「持っているイラスト集が左綴じなのでそれに倣った」とのことでした。
強いこだわりや理由ではないと判断して、右綴じに変更となりました。

これ、本来は仕事④ 打ち合わせの段階で気づくべきでした。
綴じ方の左右が変わるくらい、大きな影響はないので構わないんですが、本の仕様を決めた後に、本のコンセプトを聞くという順序がマズイです。

本のコンセプトに合わせて仕様を決めていくべきなのに、コンセプトが分らぬまま、仕様を決めてしまいました
正しい順序で打ち合わせしていれば、こんな手戻りはなかったはずです。

制作期間が短いことで、気が急いていたんですね。
頼られた立場なのだから、冷静に、落ち着いて判断せねば……


仕事⑦ 塗り足しの指南

4月6日。すぺるさんが掲載するイラストを選び、掲載順を決めたデータが上がってきました。
上がってきたものの、塗り足し3mmが片側にしかなくて、大きさが若干違うことに気づきます。

塗り足しとして3mm余分に大きくしてくださいと伝えていた結果、こうなりました。完全に伝え方が悪かったです。
Illustratorの設定だと、ほぼ自動で天地左右に3mm設定されるので「塗り足し3mm」という認識ですが、実際の寸法だと縦横それぞれ6mm大きく作らないとダメなんですよね。

Illustratorの設定画面。何も考えなくても塗り足し3mmが4辺に追加される。

使うソフトによってはこの認識が通用しないようで、気をつけないといけません。
改めて塗り足しの意味と役割について説明して、無事、上下左右に3mm追加されたデータが上がりました。

本の仕様決定とか、塗り足しを含めた入稿データ作成の作法とか、本にするための独特な作業や知識が、同人誌制作の一番のハードルだなぁと感じる今日このごろです。
CLIP STUDIOで絵を描いて、Twitterやpixivに投稿するのとは、複雑さが桁違いなんですよね。

InDesignでイラストを配置して、本文見本が完成したところで、一旦共有し、順番に間違いがないか確認してもらいました。


仕事⑧ 裏表紙デザイン

4月9日。入稿日当日。原稿作成を追い込んでいきます。
まずは裏表紙から。こちらのようなデザインを提案しました。

すぺるさんは、Twitterでイラストのシルエットだけを投稿し、その後、完成したイラストを投稿する、というスタイルをとっています。

シルエット=ティザー
という認識が出来上がっているので、それを踏まえて、裏表紙を次回作のティザーとみなしてデザインしました。
すぺるさんから好評だったので、裏表紙はこれで決定しました。


仕事⑨ 仕上げ

裏表紙の勢いのまま仕上げていきます。
目次、あとがき、奥付、ノンブルを追加し、本文見本を共有しました。これで本文は完成です。

目次ページでは、一般的な「目次」や「CONTENTS」という表現ではなく、「SITUATIONS」としています。
「シチュエーションにこだわったイラストを描きたい」というすぺるさんのこだわりを反映した、デザイナーのささやかなこだわりです。

最後に表紙を仕上げます。できあがったものがこちら。

提案していた表紙案から、写真アルバム風が好評だったので、それに沿ってデザインを仕上げています。
なぜ写真アルバム風なのかは、すぺるさんのイラストを追いかけていけばそのうち明らかになるはずです。

以上で『クラスメイトの虹夏ちゃん』完成!
……と言いたいところですが、最後に初歩的ミスを重ねてしまいました


初歩的ミス① 中綴じなのに22ページ

中綴じは仕様上、4の倍数でしか制作できません。

https://blog.goo.ne.jp/g-design_gmate/e/56f290fbc90794439fc1b4e3adbaa334より

なのに出来上がった原稿は22ページ!
中綴じにならない!
なんという凡ミス!

すぺるさんに1枚イラストを追加していただき、あとがきと奥付のページを調整して、24ページにすることで、ことなきを得ました。
普段平綴じでの制作が多いので、中綴じ
結果として1枚イラストが追加されたので美味しいのかも……?


初歩的ミス② 入稿期限の勘違い

4月9日の日付が変わるまでに入稿すればいいと思っていたんですが、9日は日曜日。休日は19時までが期限でした。
すぺるさんに指摘されて気づきました。

19時を過ぎたのに24時に間に合うように追い込んでいたわけです。なんと愚かな……。
予定より1日納期早めのコースに変更することで対応しました。

基本過ぎて改めて書くのも恥ずかしいですが、納期と入稿期限はよくよく確認しましょう


初歩的ミス③ キャッチコピーの脱字

裏表紙を次回作のティザーとみなしてデザインしたことは、すでに触れました。

裏表紙には、サークル名「IF研究所」を記載するとともに、ティザーであることと整合性が取れるサークルキャッチコピーとして「......What the next situation?」を提案して追加しています。

ですが、このキャッチコピー「......What's the next situation?」が正しいです。

なんという英語力……!
be動詞を忘れるなんて! 中学1年生からやりなおしてきます。
英単語帳同人誌『God Only Knows 攻略超特急 神のフレーズ』を制作した人間として恥ずかしい……。

↓『God Only Knows 攻略超特急 神のフレーズ』についてはこちら

自ら増やした要素で、こんなミスをしてしまうなんて……
こちらは入稿後、数日経って気づいたので、どうにもなりません。
『クラスメイトの虹夏ちゃん』を手に取っていただく方には申し訳ない限りですが、裏表紙を見るときは「's」を脳内で補完してください……


そんなこんなで完成した、未来の大先生、すぺるさんの初の個人同人誌『クラスメイトの虹夏ちゃん』。
4月16日(日)京都市勧業館みやこめっせ H-17 にてお待ちしております。
サークル「IF研究所」をよろしくお願いします!




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