術前精密検査:造影MRI(わたしだけの乳がん物語 #7)
2023/8/7(月) 造影MRI
夏休みの家族旅行を満喫し、腹をくくっていざMRIへ。閉所恐怖症としては筒の中に入れられることを想像するだけで怖い。動機息切れがして冷や汗が出てくる。当日は、処方された小さな安定剤を宝物のように大事にしまって、いろいろ調べて検査の何分前から飲むべきかを綿密にシミュレーションしていた。
わたしの見立ては検査の1時間前。病院の最寄り駅を降り、ほど近いセブンに寄ってお水を買い、外で大事な1錠を飲むのだけど、落としたら終わりと思うと焦ってペットボトルの蓋が開けられない。
全然関係ないけど、あのすごーく柔らかいペットボトルってくにゃくにゃして力入れづらくないですか。
なんとか蓋を開けて大事に、落とさないように、渾身の1錠を飲んだ。予定通りの1時間前。
安定剤を飲んだことがないから効いてるか効いてないかもわからないけど、放射線科の受付をすませ、着替えて造影剤を入れる点滴の準備をしてもらう。あれよあれよとベッドにうつぶせになって顔を穴に入れて腕を上にあげて…と、ここで顔や体の位置の調整に時間を取ってくれたのが助かった。一度気になると、”動いちゃダメ”が呪縛のようにプレッシャーとなり、自分の体に閉じ込められる感じがしてパニックになってしまう。
顔を入れる穴からクーラーの涼しい新鮮な空気を吸えるのも良かった。ぐしぐし泣きながら、でも途中でストップしてご迷惑にならないことだけを考えてMRI検査のスタート。
寝よう寝ようと思うと寝れないから、大きな音のリズムにあわせて呼吸をするようにした。口でも鼻でもわたしは自由に呼吸することができると思うだけで楽になった。今となっては薬が効いていたのかもしれない。涙も鼻水も出てると思うけど、ズルズルすすっても動かないようにできた。
しばらくして「今から造影剤を入れていきますね」と言われて感覚を研ぎ澄ませた(気になっていた)けど、いろんな体験記で読んだじわじわ造影剤が入ってくる感覚、なんならおもらししちゃったみたいな感覚は一切なし。薬の効果で鈍っていたのかも。
乳がんだからといって自覚症状も無いし、日常生活にも変化は無いから、ふとMRIをしている今の自分が不思議でしょうがない。頭の中で、今までの経過を振り返っていた。エコーでしこりが大きくなっていると言われて細胞診をしたあの日から、乳がんと告げられるまでの日常、告げられた後の日常、そしてこれから待ち受けるであろう日常、頭の中でぼんやり考えながらじっとしていた。
なんとか終了。起き上がっていいよと言われて目を開けたら、鼻水がびろーんと顔を入れる穴から垂れ下がっているのが見えて、慌ててペーパータオルで拭った。技師さんたちに「頑張ったね」と言ってもらえて、無事に済んで本当にほっとした。体感30分だけど、実際もだいたい30分だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?