英国王女とハッカー
「いいかい、歯をカチッと噛んだらOKだ」
ダンスホールの天井には、カブトムシに擬態したドローン。
その眼を通して俺も見る。
骨伝導デバイスを通して彼女に情報を送る。
[ へレンズ公爵、昨年の夏にゴルフ ]
「またお会いできて光栄ですわ、へレンズ公爵。ゴルフは続けてるのですか?」
[ マーガレット、中等学校に入学したて ]
「あらマーガレット、新しい学校には慣れた?」
[ ターゲット発見、本当にやるのか? ]
[ (カチッ) ]
[ OK ]
ナルニア伯爵の携帯電話にジャックイン。
用意していた音声をストリーミング再生。
30才も年下の愛人の甘い声が響きわたる。
「これで一人完了だな。少しは気が晴れたか?」
数秒後、カチッと音が聞こえた。
王室の身勝手な理由で母親を失った気分はどのようなものだろう。
そして原因となった父親、国王と対面した時に彼女はどうするのだろう。
【続く】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?