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【REVIEW】CORE 4

 1日経って受け止められたのか、受け止められてないのかまだよくわからない。いつもは使わないコンビニに寄ってみたり、ウィンドウショッピングしてみたり、でも気が紛れない。多分まだ受け止められていない。SNSでミュージシャン、ライター、ファンからの追悼を見たり、私がチバユウスケファンだった事を知ってる職場仲間から「大丈夫ですか?」と心配されたり、Youtubeに上がっていたワイドショーのニュースなんか眺めたりして。最後にチバユウスケを見れたのは今年1月の下北沢のGetting Betterだ。本当に楽しそうに踊る彼を見て、それから1年も経たずにこんな幕切れが訪れるなんて嘘だろう。4年前に1度だけ話せた時の握手の手が大きくて、力強くて、その感触が今も生きている。その時貰ったサインはウチの見えやすい場所に飾ってある。

 沢山思い出がある。アベフトシと初めて会ったという森永LOVE跡地に行ってみたり、ミッシェル4人で初めて入ったスタジオのセーラに行ったり、洋服の並木では並木さんにファンて事を話したら昔のオーダー表とか生地を見せてくれたり。ミッシェルリアルタイム世代ではないから追体験しようとしていた。
 今ではタバコは吸わないけど唯一吸ってた事があるのは真似してラッキーストライク。ライヴで初めてダイブしたのもThe Birthdayで、ああ、TheBirthday以外ダイブした事なかった。2020コロナ禍でやった東名坂のツアーでは、一つ仕事ポシャっちゃった後に見て一曲目のヒマワリで泣いたりして。他にもめっちゃ良かったり、感動したライブは沢山あるけど、飛びも泣きもしたのバースディだけだったなあ。

 一人で大きな課題をクリアしなくてはいけない時に、彼の音楽が力になった。心音がaddictiveで一心不乱なものに変わって、脇目を振らずに自分の美学に生きれた。アウトローでも欠陥品でも強く生きれる気がした。衝動的なのに誠実で、繊細なのにタフだった。チバはどこまでも自由で、どこまでも窮屈そうだった。

 今は無くなっちゃったけど2年前には「音楽文」とういロッキンオンの投稿サイトがあって、Xにツイートだけ残ってたから振り返ったら、自分は6回もチバユウスケバンドで投稿してた。担当の人も、この人またチバかよって思ってたと思う。そこで「BABY TONIGHT」と「なぜか今日は」の歌詞を引用して、欠落の肯定は生きる力だと書かせて貰った。傷があるからこそ強くて優しいと。その半年後にリリースされた「CORE 4」の一曲目の「ある朝」の一節にこうあった。

未完成の美学があって言ってくれたお前だけが 足りないからこそ美しい

 
 その一節を聴いてチバが音楽文を読んでくれた気がした。カタルシスという言葉を文章に何度か入れたので「ブラックバードカタルシス」という曲名でよりそう思った。勘違いかもしれないけど。

 痛いだろ。そう思っているオレ痛いだろ。痛いファンなんだよ俺は。けどいい。別にあの時読んでなくてもいい。読んでいようがいまいがチバはオレに歌ってくれた。オレだけに歌ってくれた。CORE4はオレのものだ。誰にも渡さねえ。無理か。痛いだろ。誇りに思って欲しい。こんな痛いファンがいた事を、その思想、価値観、生き様を強く支持していた人間がいた事をあの人に、できたら誇りに思って欲しい。オレのファンすげえ暑苦しかったんだぜって。だって普通のバンドには普通のファンしかつかないだろ?突き抜けてるから痛いファンもつく。やり残した事があったとしても、抗癌剤の副作用がきつくても、酒とタバコの禁断症状がきつくても、少しでもさ、その暑苦しさが一瞬目を逸らさせててくれてないかなぁ。

 サンバーストツアーは行けたけど、SINGSの写真展も行けてたら、聞けたかな。チバさんの音楽文何回も投稿してる奴いるんですけど読みました?って。ちょっと重たいっすよね肩が凝りますって。けど正直に言えば、3回目の写真展があったあの時、仕事でげっそりしてたのもあるけどチバを好きになり過ぎて、自分の人生じゃなくて、チバの人生を見つめる人生になってしまいそうで自分の中で距離を取らなくちゃいけなくなってた。なんでこんなに人生はすれ違うんだろうなあ。上手くいかねえなぁ。もう2度と会えない。たしかめれない。「読んでねーよ。」って笑ってくれ。

 
The Birthday 「CORE 4」 2021.11.3


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