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「秘伝 中学入試国語読解法」で、中学入試を体感。

久々の投稿となります。
とはいえ、この間、何もやっていなかったわけではなく。中1の長女ははじめての定期テストを終え、地元塾の熱血指導の効果もあり学年上位5%以内と上々の滑り出し。小3長男も、四谷大塚の「はなまるリトル」シリーズを復習がてら、小2用にここ1か月でトライしており、もうすぐ終わりそうです。

今月、日能研の全国小学生テストに息子と行ってきて中学受験塾の雰囲気を何となく体感してきましたが、まぁ、小4からのスタートとし、それまでは自分の見れる範囲で勉強させようかなぁ、という感じではあります。

で、父親の私としてはまぁ、仕事が忙しいわけではありますが、この間、
サピックスの中学受験ガイド2024年版を取り寄せ研究に励みつつ、「二月の勝者」18巻を読んで花恋の桜蔭合格に感動し、さらに一冊の書をめぐりあって中学入試国語と格闘していました。

その書は石原千秋氏の「秘伝 中学入試国語読解法」(新潮選書)。

本書の存在は元々全く知らず、子供とブックオフに行った際にたまたま見かけ、110円という価格と状態がキレイだったので深く考えずに購入。しかし、これは大ホームランでした。中1の長女にも勉強になると思われ、家族でシェアしようと思ったくらいです。(上の写真の本書は古い版のもので、最新版は以下のような体裁です。)

本書の特徴は筆者と息子の中学受験体験記の第一部と、大学教授である筆者がセレクトした中学入試国語問題の解説である第二部から成る二部構成。
両者とも読み応えがあり、初版は1999年と20世紀末まで遡る歴史を有するわけですが、今に至るまで版を重ねており、色あせないんだと思います。実際、読んでそう感じましたし。

以下、第一部の中で印象に残った箇所。

つまり、こういうことだ。僕たちは、塾の費用や中高一貫校の授業料といった経済的負担だけで、高学校歴を手にすることができるわけではないということである。その程度の負担になら、いまや中流家庭でも十分耐えられるだろう。だから、東大生の親たちの階層は高収入以外の何かを持っていることになる。その何かがハビトゥスと呼ばれるのである。この階層のハビトゥスとは、学校制度に対する適応力であろう。この階層の子供たちは、戦後一貫して学業成績がいいのだ。それは一つの「文化」である。

同書P39より

中学受験においては、子供の能力だけが試されているわけではないということであります。そのこと自体に向き合い、自覚的でなければならないと改めて思わされます。

そうすれば、私立中学の入試問題は、その学校のメッセージだということがよく見えてくる。私立の学校は、何らかの哲学を持っている。だが、その哲学に合う子供だけが受験するとは限らない。そこで、真剣勝負の場で子供と対話を交わそうとするのである。それが入試だ。

同書P124より

ここも同書の前後の文脈を通じて読むことで、大変納得させられた箇所でした。同書の収録する第二部の問題の素材や出題形式も各校の個性・哲学がにじみ出ていましたし。

続いて、第二部について。ここが本書の本書たるゆえんです。

著者は、(中学入試、もっといえば学校教育における)「国語という教科の目的は、道徳教育にある。それが学校という空間のルールだからだ。」という見解をベースに、4つの物語の型を提示します。また、二元論の物語と評論の分類、言語を読む際のポイントといった視点を授けてくれます。これが非常に説得力あり、中学入試のみならず、高校入試や大学入試においても役立つ内容だと思われます。

そんなこんなで、本書は中1の長女に引き継がれることになります。(嫌がりそうだけど)110円で素晴らしい本書に出会えて最高でした!


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