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惑星年齢域で描く星の自分史 ~土星外惑星編~|松村 潔×まついなつき

※これは「マイカレンダー」2019年夏号対談記事の番外編です。

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「正しい年の重ね方」は惑星年齢域がヒントをくれる

普段、私たちが「○○座」と言っているのは、実は太陽星座のこと。
つまり「あなたが生まれた時、太陽が○○座の方角にありました」ということです。では、他の天体、例えば月や水星や金星など、他の星はどこにあったのでしょう?

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ホロスコープに描かれる10の天体は、それぞれに「発達しやすい(影響が出やすい)年代」があります。それが「惑星年齢域」という考え方です。
一覧にしたのがこちら。

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『マイカレンダー2019夏号』では特に個人に影響を及ぼすとされる、
月・水星・金星・太陽・火星・木星・土星を用いて「星で自分史を描く」をテーマにしました。

まついなつき先生による「7天体×12星座のイメージ」書き下ろしもあるので、該当部分を読めば自分がその年代でどんな体験をしそうか、イメージすることができるはず。

ではそれ以遠の星、天王星・海王星・冥王星についてはどう考えればいいの? ということで、本誌番外編として対談の続きをお届けします!

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「天王星期は前倒ししてもいいのではないか」問題


――そしていよいよ、トランスサタニアン(土星外惑星)です。これらは個人というよりも世代全体のテーマととらえるといい、ということなのですが……。

まついなつき先生(以下 まつい):実は私の占星術講座では、惑星年齢域について取り上げても、天王星以降のことはやらないんです。意味が分からないから(笑)。だから今日、松村先生に確認しようと思って来ました。

松村潔先生(以下 松村):惑星年齢域について今、思っているのが、「天王星期の始まりをちょっと前倒ししてもいいのでは?」ということ。土星期が終わるのが70歳、天王星期が始まるのが71歳としているけれど、定年退職って今、65歳くらいでしょ? 社会における義務があるのが土星期、そういったものから一切自由になるのが天王星期。だいたい1惑星10年と考えたら、56~65歳までが土星期、天王星期は66歳から始まってもいいのでは、と。

――年齢域の区分は、変えてもいいものなのでしょうか?

松村:セファリエル(19世紀・占星術師)が提唱した年齢域は土星までなのね。だから土星期の終わりはあるけれど、天王星期の始まりは決まっていない。もっと曖昧なのは海王星期や冥王星期。目安として、天王星の公転周期は約84年だから、天王星期の終わりを84歳にして、それ以降を海王星にした。ネイタルの海王星とトランジットの海王星が180度になるのも84歳だから。海王星は夢や幻想を表す天体だから、ある意味、ボケ期だよね。そして死ぬ時を冥王星にしたわけです。

――冥王星は死の瞬間なんですね……。

松村:冥王星って、人体で言うと目とか口、耳、生殖器とか排泄器とか、外界につながる部位。そして冥王星は太陽系外の宇宙との扉だから。死ぬと、この世界から出て行くでしょう。現在の環境から出て行くということで、冥王星期を死の瞬間としたわけ。

――冥王星は世代ごとに死の瞬間に体験するテーマということになるんですか?

松村:江戸時代が始まって、終わるまでがだいたい260年で、冥王星の公転周期と同じなんです。だから個人的な体験というよりも、時代的なものと考えた方がいい。

あえて“役立たず”になろうとする天王星期

――では、天王星期を67~75歳とすると、この年代はどんなテーマがあるのでしょう?

松村:天王星期は、社会的な義務とか立ち位置をもう意識していないのね。土星は「社会的に価値があるか否か」を考える。でも天王星期はもうその部分から抜け出していて、もっと自由に、自分個人としてやりたいことを追求し始める。例えば70代から哲学を始めるとか。

――カルチャーセンターにいらっしゃるのも、この世代が多いといいますね。

松村:そう、だから最近、よくないなと思っているのは、安倍首相が「生涯現役」って言い始めていること。そうすると天王星期、アーシュラマでいうところの「林住期」(りんじゅうき) 「遊行期」(ゆぎょうき)をつぶしちゃうんですよ。

※アーシュラマ
ヒンドゥー教における人生4区分する考え方。学生期(師のもとで学ぶ時)、家住期(家庭を育む時)、林住期(森の中で修業をする時)、遊行期(家を持たずに遊行をする時)の4つに分かれるとされている。

――生涯現役で働き続ける=土星期の延長、ということになるんですね。

松村:そうすると、かなりひずんだ構造になると思うよ。その結果、ひどいことになると思う。天王星期は、本当はある意味“役立たず”にならないといけない年代なんです。「社会の役になんて立ってたまるか!」ってくらいのプライドがあっていい。天王星は水瓶座の支配星でしょ。水瓶座は「壁を越えていく」ことだから、社会のローカルな価値観を越えていかなきゃいけない。

まつい:文明を進歩させているのが天王星っていう説があって、世の中から「この人はおかしいのではないか」と言われるような、常識を超えた研究とか発明こそが、文明を塗り替えて、進歩させるんです。だから土星を延長するのは非常によくないと思う。文明が停滞してしまうんじゃないかな。

――スマートフォンを考え出した人も、当初は周りに「おかしい」と言われたでしょうね……。「こんなのあり得ない!」と既存の常識を超えた発想が、この世界を未来に向かわせてきたんですね。

松村:海外の企業だと、一日2時間、会社の業務と関係ないことをしなきゃいけない時間があるらしいよ。業務の15%は、目の前の仕事の役に立たないことをやれっていう。

まつい:そう考えると、天王星期の前倒し案はいいですね。

――人間の生き方としても、社会のあり方も、目先の利益を追いかけるのではなく、天王星的な世界にシフトしていく必要がありますね。では海王星期以降は、人生においてどんな時期でしょう?

松村:いわゆるボケ期。絶対に約束の時間通りに来ないとか、まったくアテにならないとか、もはや社会のルールから逸脱していくんです。天王星の時はまだ社会に攻撃的なんですよ。わざわざ反抗的になっているというか。でも海王星の時は、もはや「気づいていませんでしたー」という感じ。ちなみに私は今土星期だけど、土星・海王星がコンジャンクションなので、そばにすでに海王星がいるわけ。

――ということは、松村先生はすでに海王星の影響も感じておられる?

松村:常にこの辺(背後斜め付近)にいる。

――海王星は何と……?(ゴクリ)

松村:私式に言うと非局在的意識。つまりどの時間にも、どの空間にも、自由に出入りできるのが、海王星意識。

――……というと、どういうことなんでしょう?

松村:その辺をより具体的に説明しようとすると、あと3時間いる。

――では、次回にしましょう!(汗)
詳しくは松村先生の新刊『トランスサタニアン占星術』(小社刊)に載っているそうなので、ぜひこちらをご覧ください!


あの世への旅立ち方を指南!?
謎の新語「冥活(めいかつ)」誕生


――そしてラスト、冥王星はどうでしょうか?

松村:冥王星は太陽系の外で、また話がややこしくなるから、とりあえず今回は土星にケンカを売ってくる天王星まででいいんじゃない?

――そうですね。とりあえず、ここまでの天王星期までの激動期を生き抜く気力・体力がついていれば、海王星期・冥王星期は何とかなりそうな気もします。

まつい:でもこれから、日本の人口の50%以上が50代になるんでしょ。

松村:『マイカレ』の読者だって、最後は70代、80代になるんじゃない?

――そうなると皆さんの悩みも多岐にわたってきますね、健康とか介護とか遺産とか……。でもそんな時こそ「惑星年齢域」があると、自分が今どの時期にいて、どんな課題と向き合っているのか、現在地がわかりやすいですね。

松村:いずれ「さあ行こう、冥王星へ」特集とかやったらいいんじゃない?

――冥府(死後の世界)への旅立ち方ですか!?

松村:終活ならぬ、冥王星活とか。

まつい:言うなら“冥活”じゃない?(笑)

――最後に、謎の新語が生まれましたね……(汗)。
とはいえ、カレンダーの始まり(出生図=マイバースデイ)から、終わり(死の瞬間)までフォローできる『マイカレ』でありたいものです……!

~完~

※この取材は2019年4月27日にちえの樹にて「マイカレ制作の現場Vol.1松村潔×まついなつき 今だからこそ語れる惑星年齢域」と題して行われたトークイベントの内容を編集したものです。

PROFILE

松村 潔
まつむらきよし●魚座。占術研究家・精神世界研究家。1953年生まれ。占星術、タロットカード、絵画分析、禅の十牛図、スーフィのエニアグラム図形などの研究家。新刊『マンディーン占星術』『トランスサタニアン占星術』(ともに説話社)ほか多数。http://www.tora.ne.jp

まついなつき
まついなつき●蟹座。南阿佐ヶ谷の占い店「ウラナイ・トナカイ」代表(2019年7月閉店)。ライター、マンガ家のキャリアを経て、1998年思想家松村氏に師事。2002年個人鑑定と同時に、初級占星術講座の講師、占いライターとしても活 動を始める。著 書に『改 訂 版 しあわせ占星術』(KADOKAWA)がある。
https://twitter.com/matsunatsu

聞き手/マイカレンダー編集部・山田



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