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#237 面白そうな「選挙の授業」の話を聞いた

2022.12.19.
また今月も「怪しげサークル」に顔を出してきた。仮説実験授業のサークルである。
今回も
・パワポの利便性
・5年算数/割合の進め方
・動画を見て塩化ナトリウムについて学ぶ
・図工「夢の乗り物」
・カタールという国について知ろう
などなど、面白いラインナップ。

中でも、「選挙の授業の実践報告」が興味深かったので、ご紹介したい!



以前、6年社会の政治分野で選挙の授業について書いた。社会苦手教員にしては珍しいことだ。内容はなんてことはなく、「選挙直前に授業をする」「実物(投票所入場券)を使う」「模擬選挙体験」くらいである。




今回の実践報告は、高校3年生の公民で扱ったものだそうだ。先生は60オーバーの大ベテラン。サークルには、授業で使った資料とその様子をまとめた公民通信(そんなものを発行しているのがまずすごい!)を持ってきてくださっていた。

扱った題材は、今年の11月13日に行われた、新宿区の区長選挙である。


【授業の流れ】
①選挙ポスターを見て気付いたことを共有する。
②略歴や選挙公約を知る。
③グループ討論で公約の理解を深める。
④投票マッチングのアプリを試し、結果を共有。
⑤模擬選挙。投票と開票。
⑥授業の評価と感想。


①選挙ポスターを見て気付いたことを共有する。

新人と現職の一騎打ち。
この日のサークルでは、このポスターを見て印象を思い思いに口にした。「よださんの方は雑誌の表紙みたい」「吉住さんの方はよく見る感じ」「よださんの色の使い方が特徴的。ジェンダーについて?」などなど。

でも一番の驚きは、「よださんの選挙ポスターが横長仕様」ということ。

で、この先生、なんと選挙管理委員会に電話をしたそうな。横長とかありなんですかと。回答は
「枠の中に収まれば縦長でなくてもオーケー」
とのこと。

生徒にその話をすると、「じゃあハート型とかもいいんだ!」という意見が出たそう。そうそう、楕円とかでもいいらしい。枠からはみ出さなければ。ハート型なんて面白そうじゃない。目立ちそうだし。私が立候補した暁にはハートのポスターを作ってやろう。

いやあ、眼から鱗である。



②略歴や選挙公約を知る。

配布資料は2つ。選挙戦第一声を報じた「東京新聞web版」と、公約が掲載されている「選挙ドットコム」。このあたりは内容が難しくて頭に入ってきにくいので、第一声は先生が読み、公約は座席順に音読させたそうだ。



③グループ討論で公約の理解を深める。

5分設定だったところ、みんな真剣だし話が弾み、延長戦。



④投票マッチングのアプリを試し、結果を共有。

投票マッチングができるサイト?アプリ?があったそうで、20の質問に5段階で答え、両候補者の公約と自分の考えのマッチング度が表示される。生徒たちはタブレットで回答。そしてこれまたタブレットで結果を共有。無記名で共有するため、世論調査の結果を見ているのと同じ状態。

マッチング結果では、よだ氏にマッチした生徒が9割を超えたそう。



⑤模擬選挙。投票と開票。

タブレットで全員分を共有。色とりどりの紙がずらりと並ぶ。「え〜〜〜」「どっち」「どっちが多いの」と声が上がる大接戦。結果、なんと10対10で引き分け!マッチングではほとんどがよだ氏と合っているとのことだったのに。

その際、投票した理由も書かせていて、先生は後にそれを分析していた。
◆吉住氏へ投票した生徒には、個々の政策をあげて支持した人はいなかった。「政策の実現可能性の高さ」で評価を集めた。
◆よだ氏に投票した生徒には、ここの政策を支持の理由に挙げている人がかなりいた。チャレンジしてくれそうと期待が集まる反面、「欲張りすぎ」「どれも中途半端になってしまいそう」という懸念を持たれて、吉住氏に表が流れてしまったようだ。
◆もっとマッチング率に引きずられるかと思っていたが、参考にしつつも依存していなかった。




⑥授業の評価と感想。

授業の評価は全員が「5とても楽しかった」または「4楽しかった」。

「実践的な授業でよかった」「新鮮で楽しかった」「ちゃんと考えたい」「マッチングした人の政策に100%賛同できるわけではないと分かった」などの意見が出ていたようだ。

そして先生の振り返りも添えられている。
『「オトナの色眼鏡や忖度」に染まらず、二人の候補者に向き合った、その姿勢に感動した。』
なんとも素敵。



ちなみに、実際の選挙の結果は、吉住氏がよだ氏にダブルスコアで勝利。

机上の空論ではなく、ちゃんと実際の結果が分かるところが、リアル教材の素晴らしいところだと思う!





いやー、授業実践聞いているだけで面白かったなあ。
ポスターの話には驚かされたし。

公民、工夫次第でもっと面白くできるんだな_φ(・_・
この授業をドキュメンタリーにしてテレビで放送しても、十分素晴らしいコンテンツになると思う。

何よりも、楽しそうに実践を紹介している先生が魅力的なのだ!




#教員エッセイ
#高校公民
#選挙の授業

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