映画『オフィシャル・シークレット』を見た。

 先日、シネリーブル神戸で映画『オフィシャル・シークレット』を見た。もうロードショーは終わっているので、ネタバレしてもよかろうということで記事を書くことにした。

 映画のストーリーは実話に基づいている。舞台は2003年のイギリス、主人公は英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)で働くキャサリン・ガン(https://en.wikipedia.org/wiki/Katharine_Gun)。ストーリーについてはこちら(http://officialsecret-movie.com/story/)に要約されているが、主人公が米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から送られたメールを見たことに端を発する。そのメールは、英米がイラク侵攻を強行するために、国連安全保障理事会のメンバーに対して盗聴を行うよう、米国政府から英国(ブレア政権)に依頼したものだった。彼女はイラク戦争に英国が巻き込まれることを避けるために、このメールをメディアにリークする。そのことがもとで彼女は英国政府から国家機密漏洩の罪で起訴されることになる。

 最終的には彼女が法廷で裁かれることはなかった。公判を維持するための証拠を原告側である英国政府が提出することができず、訴訟そのものを撤回したためである。

 最終的にはめでたしめでたしなのだが、さてこれが日本で起きたらどうなってるだろうねと思ってしまう。日本のメディアや弁護士はキャサリン・ガンを守るように動いてくれるだろうか。米国政府が日本政府に盗聴を依頼する可能性は低そうにも思えるが、諜報活動への協力はあるだろう。キャサリン・ガンはイラク戦争を不当な戦争と考えており、政府の利益よりも国民の利益を優先させるという判断のもとに情報をリークしたが、このような行動は日本ではどのように受け止められるのか。

 そもそも米国による対イラク戦争の理由には、イラクによる大量破壊兵器の保有があったが、これについては映画でもあるように結局発見されていない。この戦争では結局安保理決議は取れないままの開戦となっている。そしてこの戦争を、日本の首相であった小泉純一郎は「アメリカの武力行使を理解し、支持いたします」と表明している。さて日本政府や日本のメディアはこの関与をどのように総括しているのだろう?なにか適当な文書をご存じの方はご教示いただきたい。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?