開院1年を迎えるにあたって
2020年4月6日に動物病院を開院し、もうすぐ院長1歳。
支えてくれている家族
気にかけてくれている友人
自分についてきてくれているスタッフ
得体の知れない新しい病院にわざわざ足を踏み入れてくれた飼い主様
診療の相談に乗ってくれている諸先輩方
…感謝しても感謝しきれない方がとても増えた。
自分に関わってくれる全ての人に対して、初心を忘れることなく、誠心誠意突き進んでいくことを誓いつつ、今の気持ちを記録しておこうと思う。
自分の病院を作りたいと思ったのは何年も前だったが、
実際に病院を開院するために動き出したのは2019年の10月頃。
ビジネスというものや、起業するということについて何も知らないズブの素人の自分は何を血迷ったか、一流企業の経営コンサルタントを手掛けている李さんに会いに行き、「自分なら病院開けると思うから独立しようと思ってます」と話し、「起業舐めんな。誰のためのビジネスかわかってなきゃ失敗しかないぞ。」と強めに止められた。
そりゃそうだよな。
同じこと言うやつが開業したいって言ってたら自分も止める。
獣医で開業する人たちの大半がセルフィッシュな考えで開業するから飼い主の気持ちを置き去りにしたサービスしか提供出来てないように思うし。
でも、李さんは同時に「止められてもやるって言うんならそこにお前のwant to(潜在的にある本当に自分がやりたいこと)があるんだから、サポートしてやる」とも言ってくれた。
まぁ、あれだけ優しい前職場の院長の下に居ても
このままで良いのか
自分は成長出来ているのか
と、ずっとモヤモヤした気持ちを燻らせていたから、
リスクを取っても世の中に自分が提供するサービス、診療の価値を問いたい
って気持ちは抑えられなかった。
大学を卒業するときは「経営なんて考えてたら診療に集中できなくなるからずっと勤務医がいいわ」って思ってたけど、
自分の気持ちですらどう変わるかわからないものだとつくづく思う。
そこから李さんの下で経営者になるためのマインドセットを1から叩き込んでもらい、見える世界が圧倒的に変わった。
誰のためのビジネスか
動物病院だから、犬と猫の飼い主でしょ
ではなく、
「どんな」犬猫の飼い主か。
この答えは自分が開業しようと思った理由の中に既にあった。
自分の診察は明らかに時間がかかる
えぇ、自覚してますとも
何度も「診察をもっと短く終わらせなさい」と言われたし
なぜ時間がかかるのかと言うと、
・まず、動物の状態と飼い主さんが本当に必要としている要求を読み取るために話を聞く時間が長い
・飼い主さんにどうしてこの病気が起き、どのように治療していくのか、きちんと理解してもらいたいので説明に時間がかかる
これが大半を占めているかと思います。
確かに、それを全ての症例でやろうとすると、件数が増えれば診察が回らなくなる、というのも分かる。
けど、自分が患者になったときに、しっかり向き合ってくれない医者にうんざりした経験が何度もあったので、自分が嫌だと思うことを受け入れられず、診察スタイルを曲げられなかった。
自分が納得出来ないものを他人に提供して良いのか。
果たしてこのスタイルは曲げるべきなのか。
むしろこういう診療はこれからの時代、求めている人が絶対いるという確信があった。
手術や薬で病気を治すことよりも、
病気を理解し、そこに向き合って飼い主さんが主体となって治療していくことを目指す。
これが僕が守るべき顧客の姿ではないか。
その守るべき顧客のために、
この1年、
獣医療に関することだけでなく、
経営について、
人との心を繋ぐ場の作り方、
身体操作技術
など、新しい知識を取り入れ、
これらが複雑に絡まり合って、1年前と比べて格段に飼い主さんとの信頼関係の構築の質が高まったのを実感している。
まだまだ足りてないことは多いけど、
より視野を広げ、
より飼い主さんの潜在的な声を感じ取り、
動物たちも飼い主さんも救える
そして、同じ気持ちを持ったスタッフを教育していく
そんな2年目にしよう
胸に刻んで歩んでいきます。
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