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この時代を生きる者の責任

ふと、アヘン戦争前夜の中国のことを思い浮かべた。ラリっている人と、ラリっていない人がいたのだろう。ラリっている人は、アヘンを吸ったら元気になる、気持ちがいい、健康になる、”みんな”が吸っているから吸ってみた、と言うかもしれない。

ラリっていない人が心配して、「やめなさい!」と言っても、やめる気がない。「人にはそれぞれの考えがある」「オレの人生だ、ほっといてくれ」「素人のくせに、誰に向って言っているんだ」「こんなに気持ちよくなるものが身体に悪いわけはない!」と返されるかもしれない。

身体がボロボロになっても、まだそう言う。アヘンが原因じゃないと主張するかもしれない。そのうち、ラリっていない人に、オマエは頭がおかしいと言い出すかもしれない。

ラリっていない人の中には、相手の心配だけではなく、身の危険を感じたり、国の行く末を心配する人もいるだろう。


本当のところはどうだか知らないけれど、今も似たようなもの。


林則徐はアヘン厳禁論を道光帝に進言した。イギリス商人からアヘンを没収し、2万箱を虎門海岸で破棄した。イギリスは強く抗議し、1840年遠征軍を派遣して海上から威圧した。驚いた清朝政府は林則徐を罷免したが、イギリスは攻撃を止めなかった。こうしてアヘン戦争が勃発した。

http://www.y-history.net/appendix/wh1303-024.html

今も同じ構図だろう。アヘンにあたるものが、砂糖だったり、今はやりの液体や医薬品だったり。

国に訴えるのも大事だと思うけれど、林則徐みたいなヒーローが出てきても、相手はヤクザだからイチャモンつけられて攻め込まれるかもしれない。もしかしたら、政府はそのギリギリを狙って動いているのか?まあ、庶民には分からないが。


これまでは、ラリっている人と同じ立ち位置で、「体調が悪いのはアヘンのせいだから、もう止めたほうがいい」とか、予備軍には「やめておけ」と、説得してきた。だけど、とめることはできなかった。そういう光景は、飽き飽きするほど見てきた。

と理解したところで、ラリっていない庶民は何をすればいいのだろう。


まず一番は、アヘンをやらないこと、つまりラリっている人たちのお仲間にならない。

まあ、これを貫くだけでも大変だよね。不服従という態度かもしれない。


不服従
の他にできる抵抗って、なんだろう。


ラリっている人の人間の部分をできるだけ引き出すことかもしれない。手の届く範囲の人限定だけれど。ラリって死んだら、数字としてしか扱われないから。お仲間にならずに、ラリった人の数字じゃない部分を尊重する。真っ向から反対するのではなく、逆らわないような形で、そっと。

どうして、こんなに色々と考えてしまうのだろう。ラリっている人は何も気にしていないのに。そう仕組まれていることを知ってか知らずか、蝕まれていき、死んだら数として扱われても、そういうものだと思っている。

それなのに、余計な苦労をしたり、余計な心配をするのは、気づいてしまったから。一度気づいてしまうと、もう、もとにはもどれない。波風が立つだけだから、放っておけばいいのにと思うけれど、この時代を生きる者としての責任のようなものに突き動かされる。


そんなことを考えていたら、私がどん底から這い上がるときに、自我を落っことしてきた理由が分かった。自我を持ったままだと、辛すぎて生きられないからだ。

フクシマにしろ、今回の騒ぎにしろ、個人的なことでも、不条理なことを、納得できないまま、いくつも飲まざるを得なかった。生きていたくないほど辛い。今だってそうだ。自我を失っているから生きていられる。


そうやって自我を失って生きることになったから、支えてくれるものが現れたのかもしれない。いや、気づくことができたのかもしれない。


面白いね、私の不思議体験をその道に詳しい人に聞いてみようと思っていたところ。でも、手違いがあって、実現しなかった。そうしたら、こうやって、知りたかったことが自ずと分かった。

「どういうことなんだろう?」と思ってそれを解明するための行動を取ろうとしたら、実際に本格的な行動を始める前に「そっかぁ!」と分かってしまう。そんなことが最近、続いている。


話が逸れたが、支えられているというのは、こういうことかもしれない。

枯れ葉であっても、日の光に照らされると、宝石のように輝いて、息をのむほど美しい。そして神々しい。茶番に気づいた人を「光の子」と言うらしいが、こういう感じかもしれない。

枯れ葉(=自分)が日の光にフォローされていると思えば、意外といろいろできるんじゃないかと思う。たとえ、周囲に誰も味方がいなくても。

これが「支えられている」ということかもしれない。

この支えがあれば、ささやかであっても「この時代を生きる者としての責任」が果たせる気がする。


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