短冊に代筆した話

介護施設で働いている。

こんな利用者さんがいる。

コール頻回。居室に駆けつける。3分前と同じ質問。
「それは先ほどお伝えしましたよね?」
「はい、そうでした。すみません。」

そして3分後、またコール。
それは先ほど…
そうでした…

エンドレス。

認知症ではないらしい。
不安が強いらしい。

こっちは他の利用者さんの介助で忙しいのに、
お構い無し。

私はお金のために労働力を提供しているだけの人。
微笑みを絶やさず誰にでも優しい聖人ではない。
当然イラつく。

だから、そんな面倒くさいひとを普通に嫌いだった。

今日は七夕。
その人は手が使えないので、私が聞いてそれを短冊に書いた。

これでいいですか?
確認のために短冊を見せた。

「綺麗な字」

予想してない返答に
不覚にもその瞬間、ハートが揺れた。

なんなら涙が出そうになった。

なんか、ごめんね。って、
言えなかったけど、思った。

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