自分の野球グラブメーカーを作りたいと思い書いた手紙

単刀直入に、私のブランド「サイカイ」のグラブを貴社で作って欲しいという想いからこの手紙を書かせていただきました。


正直、この手紙を書こうと思ってから書き終えるまで1ヶ月程かかりました。どう伝えれば想いが伝わるのか、今読まれている吉川様の心を動かせるだけの内容が書けるのか。
残念な結果を想像するだけで怖くなり時間がかかってしまいましたが今こうやって、僅かな希望を持ってこの手紙を書いています。

どうか最後まで読んでいた抱ければ幸いです。

私という人間の紹介をさせてください。

名前は松本光司と申します。
28歳です。長崎県出身で大学卒業後は愛知県の野球用品専門店プリンススポーツで4年間働いた後、現在は転職し福岡で精密板金加工会社プログラム課で働いております。

私の小さな頃の夢は、グラブ職人になることでした。

私は小学4年生時に、母親がジャイアンツファンだった事から野球を勧められ、やり始め高校まで野球をしましたが、良い思い出は指で数える程も無くどちらかと言えば嫌な思い出の方が多く、正直今でも野球をする事自体はあまり好きではありません。
要するに下手っぴでした。
そんな私ですが高校時代、2年時には守備の花形であるショートを任せて頂き、高校3年の代では島の弱小校であるものの4番を任せてもらえるようになりました。これらは私自身下手くそながらに努力した結果もありますが、私の野球人生は道具達に助けられた人生でもありました。

グラブに興味を持ったのは、中学生になってからです。野球が上手い先輩が久保田スラッガーのグラブを使っており私にはとてつもなくかっこいい存在で、あのブランドはなんだろうと調べだした事がキッカケでした。
道具熱が溢れだしてからは毎日毎日ネットで
スワロースポーツを検索して色んなメーカーのグラブを調べることが日課でした。
だけど野球するとことは嫌でした。下手っぴでしたから…。そんな僕を支えてくれたのは、ミズノのグラブ、ナイキのスパイク、アンダーアーマーの手袋です。自分で厳選した道具たちを身につける事で自分自身を奮い立たせていました。自分がカッコ良いいと思った道具を身につけると不思議と上手くなった気がするんです。

必然的に僕の夢はグラブ職人になりました。
将来、自分のグラブを出して有名になりたい。
野球用品業界で一目置かれる存在なりたい。
そう思うようになりました。


そんな中学時代、将来なりたい職業を紹介する授業がありグラブ職人の事を始めて調べました。

そしてビックリしました。
グラブ工場のほとんどが家族経営であり、そもそも求人が無く、職人なれる確率は東大に入る事より難しいなんていう情報が目にはいったものですから…。

あー、グラブ職人にはなれんのやなー。とそこで
中学生ながら簡単に夢を一度諦めてしまいました。

それでも高校時代もグラブが好きで、試合時も
相手選手のグラブやスパイクばかりに目がいっていました。
そして2年次にショートを任せられ、久保田スラッガーのグラブを買う為、福岡の久保田スラッガー福岡支店に行き江頭さんと会い、大好きな坂本選手も使っていたL7S購入した時の感動は今でも忘れません。

野球する事は嫌いでした。だけどL7Sがいたから
頑張ろうと思えていました。

大学では野球では無く、トライアスロンを行っていました。自分自身、団体競技よりも個人競技が向いていると感じたのと興味があったからです。

大学時代は、野球と無縁の生活でした。
そしてグラブではなくロードバイクをネットで見る事が日課になっていました。

そして大学3年生となり就活がはじまりました。
就活では、自己分析を行い気になる職種を探します。自分の人生を振り返って、やりたい事ってなんだろうと思ったとき、グラブの事が頭から離れなくなり野球用品に囲まれた仕事がしたい、自分の考えたグラブを作りたいと思いました。マイナビやリクナビに自分が好きなメーカーの求人が無かった為、電話で採用に関する事を問い合わせましたが新卒採用をしているところは無く断念。
次に色んなメーカーのグラブを取り扱っている専門店に目をつけました。そこで何年か働いてメーカーに転職するんだ!と思い、色んな媒体を使い求人を探してプリンススポーツに入社することになりました。
よく好きな事を仕事にすると、そのもの自体が嫌いになるなんて言われますがそんな事はありませんでした。
大好きなグラブに囲まれた4年間は今振り返っても充実した日々でした。
何よりもマニアの方達とのグラブ談笑をする時間が楽しく、いつのまにか所有するグラブもどんどん増えていきました…笑

そんな私ですが、働き始めて3年を過ぎた頃から不安を感じはじめました。今でも野球離れは進んでいますが野球が盛んな愛知県でも、売り上げにその影響が顕著に出始めたのです。将来的に社長になりたい訳では無く、これからの人生を考えた時に職を変えるべきだと判断して4年で退職しました。

正直言うと、隣の芝生は青く見えるという言葉の通り土日に楽しそうに草野球をされている方達が羨ましく見え、自分もそれなりの安定があり土日が休みの普通のサラリーマンに憧れがあったのも事実です。

そして現在、土日休みでそれなりに安定している
会社で働いています。

3年目になりますが仕事自体も周りの方達が良くしてくださっている為楽しくやっています。

でも、やっぱりグラブは好きでTwitterでマニアの方達やメーカーのグラブに関する投稿を見る事が日課となっていました。

私が学生だった頃より現在は、メーカーの数が増えています。
色んなブランドが産声をあげ、それぞれの拘りを持って展開されている姿を日々、見ていたのですが、何か違うよなーと思うようになりました。

見ていても面白くない。
自分がやればもっと面白い物や事ができるのに…と。

次第に、自分でできる方法がないかなと考えるようになり、グラブ職人にはなれないけど工場に依頼をすれば自分が考えたものは作れるし、販売方法も工夫すれば現在の仕事を辞めずに複業として両立ができるのではないか。

そんな事を思いはじめた矢先、吉川様の存在を知りました。そしてグラブを作ってもらうなら貴社がしかないと思ったのです。

私は、モノに隠された意味(物語)を知ると感動します。

要するに背景です。

今の野球用品業界を見ると
ただトレンドのものを取り入れてみたり、柄にこだわったり、質感や機能性を強調したりと、そこには物語が無いメーカーが多いなと感じています。

私はこのストーリー性が今の野球用品業界に足りないと確信しています。

貴社のキャッチボールしている姿の焼印を見て
私は感動しました。

あぁ、こういうことをする人がいるんだなと
ビックリしました。

そして、貴社は若手の職人が2人いる。
私自身28歳なので若くはありません。
この若い方々の発想力も魅力に感じています。

そしてなによりも、失礼な言葉かもしれませんがすみません。吉川正敏さんが職人ぽくない所が好きです。

ビジネス的観点でモノを見る事ができる方は
珍しく、正敏様とタッグが組めたら私の思いつかないような事を発見してくれそうな感じがしています。

だいぶ長くなってしまいましたが自己紹介を終わります。


次に、じゃぁどんなメーカーを作りまんねん。
という所を紹介させてください。

ブランド名はサイカイ。
私の出身地である長崎県西海市からこの名前にしました。私は西海市大島町という人口5000人程度の島で生まれ育ちました。言ってしまえば何もないつまらない所です。ですが私にとっては生まれ育った場所であり大切な故郷です。この故郷の名前をブランド名として色んな人に知って欲しい…
そんな想いがあり、このブランド名としました。
ブランドロゴはまだ模索中ですが
カタカナでサイカイというロゴを作りたいと思っています。凄いカッコいいものを作るつもりです。


このブランドのコンセプトは
野球用品専門店スタッフ及び野球道具マニアさん達が思わずニヤッとしてしまうワクワクするモノと物語作りを行うブランドです。

このブランドの存在意義とは…
グラブのまだ見ぬ可能性を探索し、物語と共に
より面白くワクワクする物を提供することです。

そして何よりも
メーカー✖️職人(貴社)✖️専門店✖️ユーザーの
4つの柱、それぞれが意見を出し合い開発を行います。それだけでなくユーザー同士の交流の場を提供、コミュニティを活かした様々な活動をしていきます。メーカー主導ではなく他の3つの柱を巻き込み一つの大きなファミリーとして挑戦し、それぞれの想いを発信し続けるブランドです。

ここまでで少しワクワクしてきませんか。
私はこの手紙を書きながらワクワが止まりません。

この4つの柱が上手く噛み合ったとき
とてつもなく面白い物やコトが生み出せると思いませんか。

このブランドでは、私も貴社も専門店スタッフもユーザーもみんなが企画開発者です。

間違いなく今のこの世の中で求められているのは
このカタチだと私は信じていますし、この繋がりの在り方がこのブランドが存在する一番の理由です。

面白さとは…松本光司が考える唯一無二のセンスとその他の3つの柱で起こる科学反応を活かして素材やグラブの形状 ウェブ その他細かい部分での未だかつてない、かつ斬新過ぎないもの

ターゲットは、草野球層(軟式野球)
理由:まず大手メーカーの土俵でもある硬式層では勝ち目が無い…。硬式用こそブランド力が物をいう。また硬式は学生がメインとなる為、コンセプトの中にあるグラブマニアが少ない。(自分をマニアだと思う学生はいるが知識が浅い人が多い)

販売方法
小売店経由でオーダーのみでの販売。
専門店だからこそある知識・技術力を活かして
こそ活きるブランドを作りあげたい為。
専門店で店員とユーザーが交流する場を作りたい為。

オーダー内容
本体カラーはオレンジのみ。
カラーリングでカッコ良さを表現するようなブランドにはしたくない。
マニアは一周回ってシンプルイズザベストにたどり着く。(個人的思想)
また、私の出身地は島であり言ってしまえば
何も無く派手さがない。でも綺麗な山や海があり
何も無いことでその綺麗さがより強調されています。
自分のブランドも派手さは無いけど、だからこそ
良さが出るモノ作りをしたいと考えています。
平裏はブラックのみ肌触りやしっかり感はブラックが最強なんじゃないかと思っています。
 
ヘリ革、ハミ出し、紐、縫い糸のみ選択可能にする。本体カラーが選べない代わりこれらのにカラーリングは他社より豊富にし力をより入れていきたいと思う。

ヘリ革には、ウィルソンで言うスーパースキンを採用。使っていく内に消耗しやすいヘリ革にバスケットボールの素材を採用し、耐久性をアップさせる。ゴム素材である利点を活かし豊富なカラー展開を実現させる。

またヘリ革の2色使いなんかできたら面白いと思う。

ハミ出しカラーも豊富にしたい。
特にキリハミのカラーを豊富にしたい。
現状どのメーカーもタマハミは色々とカラーが選べるが個人的に安っぽさを感じてしまう為。
またキリハミが渋いと思っている為。

今思うカッコいいグラブとは
シンプルの中に細かいこだわりが詰まっているグラブ。

刺繍は基本的に受け付けない。
批判が多くなると思うが、マニアになればなる程刺繍無しにしたくなる。(個人的思想)
専門店側も店舗別注で出しやすいと思う。

だが刺繍できない代わりにオリジナリティが出せる何かを模索中ではある。

小売店には紐を通さない状態で納品。
それぞれの小売店でグリス入れ、紐通し、仕上げまでを行って貰う。
メーカー+専門店で作りあげたい気持ちがある為。 
専門店で働いていた経験から、もしそういうグラブが在れば燃えるし、よりいっそうグラブに対して愛を持ってもらえるのではないかと思っている。
型番はとりあえず内野手用1型のみ。
型番は、少なければ少ない程メーカーとしての特徴を出しやすいと思う為。
型番を増やす際は、新たなものではなく1型の進化版として出す。
前型を購入して気に入った方は、思わず欲しくなる衝動に駆られると思うから…。

納期は1ヶ月を目安。
現状2〜3ヶ月のメーカーが多いが、やっぱり長すぎる。しかし、工場が作れる個数は限られている為、締め日を設け受注できる個数は制限する。

定価は未定。

受球面の小指部には、工場の企業名を入れる。
これは絶対そうする。
このブランドは、メーカー(私)と工場(職人)と専門店(スタッフ)とユーザー(お客様)の
4つの繋がりを大切にするブランドにしたいから。
この繋がりこそが唯一無二のモノ作りを可能にすると信じている為。

グラブの型に関しては模索中。
個人的には久保田スラッガーの弟分的な存在になりたい。

新興メーカーとして。
Twitterをメインに活動記録を発信。
そしてユーザーの声を活かした挑戦を行う。
会員制を導入。月会費300〜500円で会員になっていただき、グラブに関する提案を行ってもらう。リモートで企画会議を行いそこに参加して頂く。集まった会費は主に開発費に回して、出たアイディアから作ったサンプル品の制作。
Twitterで発信。3ヶ月スパンで行いその制作過程も発信する。そして好評なものを商品化する。
メーカーとして認知度が上がれば会員限定商品を作成。会員限定のイベントなども行う。例えば貴社のグラブ工場見学など。
常に新しい挑戦をしたいと思う。
他社の真似事は論外。私のセンスと工場の職人や専門店スタッフ、ユーザー(マニア達)のチカラで最高に面白い物を作りあげる。


思わずニヤッとしてしまうグラブ。
メーカー、工場の職人、専門店スタッフ、ユーザーのそれぞれの想い(ストーリー)をもつグラブ。
身につける事で、上手くなれた気がするグラブ。

これが私の作り上げたいブランドです。

長々とすみませんでした。以上です。
もし、少しでも私に興味を持っていただけならば
連絡をいただけると幸いです。

つまらない奴だなとか、所詮素人が考えている事ばかりだなと思いましたら、この手紙を破り捨ててください。

私は貴社のこれからの発展を期待して応援しておます。
貴社のようなブランド(工場)は、もっと発展すべき存在だと思います。
他には無いモノ作りに期待しております。


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