『聖剣伝説 VISIONS of MANA』が楽しかった話【ネタバレあり】

前置き

  • 聖剣伝説は本作が初プレイです

  • 難易度ベリーイージーで70時間くらい遊びました

  • 宝箱・精霊石全回収、精霊の住処(小)、10章クリア、裏ボス攻略までは何とかやりました

  • 精霊の住処(大)はアクションド下手クソなので断念しました

  • トロコンは元々どのゲームでもやる習慣がないのでしていません


結論

 めちゃくちゃ面白かったです!! 
 IPプロデューサーの小山田さんや桜花スタジオのスタッフなど、制作に携わった方々には感謝しかないです。
 実を言うと発売まではそこまで買うつもりはなかったのですが、何となく気になってはいて、かつ発売直後のレビューが良い感じだったので思いきって買ったところ、大満足できるゲームでした。本当に買って良かったと心から思ったゲームは久々な気がします。
 以下、各要素で感じたことを言語化していきます。スクショはありませんのでクリア済の方にしかわからない気がします…

デザイン

エンバイロメント

 やっぱり一番の魅力は、このゲームの世界を歩き回っているだけで楽しい!! というところです。
 その楽しさを構成する要素のひとつがエンバイロメント(?)ではないかと思います。
 具体的にはフィールドや街を構成するオブジェクトのデザインやカメラワーク、そしてライティングです。
 オブジェクトのデザインというのはわかりやすいところではエリスタニアの水球、ザワール砂漠にある座礁した船など、印象に残るオブジェクトが多くカメラを回しながら歩くだけでもいろいろな発見がありまさに旅をしているような不思議な感覚でした。
 カメラワークについては、私もよくわからないのですがヴァルと同じくらいの目線の高さから見上げる、遠くの風景を見渡すことができる感じのカメラワークだった気がします。それが没入感を高めていたのではないかと感じました。
 ライティングについては、昨今のゲームでは当たり前なはずなのですが光が地面や水に反射した時のテカり具合がすごく好みでした。あとはそもそも光り方が全体を通して淡い印象で、それも優しい世界観づくりに寄与していたところなのかなと思います。

キャラクター・エネミー

 また、人物や魔物のデザインも特徴的で、一貫して幼い印象を受けました。もちろんいい意味で言っています。良い言葉が思い付かなかっただけです……。
 特にこのゲームの最初に出会う雑魚敵となるラビ(ドラクエにおけるスライム的な印象)は可愛さに気合いが入っていて、まるでぬいぐるみです。バトル中は気づかなかったのですが、とあるサイドクエスト中にラビにズームインする場面があり、しっぽの毛の質感が見てとれたときには思わず「ラビのぬいぐるみ欲しい~」と思ってしまったほどです。すごくもちもちしてそう。もちもちしたい。

デザインの統一性

 これらのデザインの各要素ももちろん素晴らしいですが、一番の特徴になっているのはその統一性なのではないかと思います。
 魔物のぬいぐるみや人形のような可愛らしさ、キャラクターの幼さの残る等身や顔つきと表情作り(ジュリくんかわいいよ)、そしてそれらのバックとなる幻想的かつどこかノスタルジックな風景。これらが合わさり、ひとつのデザインとなることで「聖剣伝説らしさ」ができたんじゃないかと素人ながら思いました。

マップ

 ゲーム世界を歩き回る楽しさの構成要素としてもう一つ、洗練されたマップ設計が挙げられると思います。
 もちろん主観的な私の好みではありますが、あくまでセミオープンフィールドという前提を踏まえたら客観的にもすごく高い品質なんじゃないかと思っています。
 ダンジョン的な場所はあまり複雑にせず一本道にすることでストーリーを集中して楽しめますし、逆に探索要素を味わってほしい場所ではいろんな寄り道を用意して歩き回れるように作られています。ファルロー大草原とカッスィーヤ平原は特に探索し甲斐がありました。
 この楽しむ要素によって広いフィールドと狭いダンジョンを使い分けるという点と、広いと言っても各フィールドは2~4時間程度で概ね探索できるという適度な広さに調整されている点が私にはかなり刺さりまして、とても快適に楽しく冒険が楽しめたなと思います。
 私はオープンワールドのゲームも今までいくつか(ゼルダの伝説BotW、ウィッチャー3、スカイリムあたり)遊んだことがありますが、いずれも10時間前後で止めてしまったという奇特な人間です。オープンワールドのゲームはゲーム側から探索できるエリアや目的に至る道筋を制限されることが少ないので、私は制限がないとそのままずっと寄り道し続けてしまうタイプの人間です。そして困ったことに、同じ体験を繰り返していると数時間で飽きるという矛盾した人間でもあります。そのため、オープンワールドのゲームは自分の特質上上手く遊べないのだと思います。
 一方で、このゲームはダンジョン以外の広いマップであっても基本的に街道がひとつ設定されていて、そこに寄り道を足していく形で設計されています。それが万人にとって良いマップかはさておき、少なくとも私にはこの設計が一番楽しみやすかったなと感じています。
 さらに、隅々まで探索したいと思わせる細やかな収集要素も良かったです。肝になっているのは、地図上に場所が表示され、回収率も可視化されている宝箱や精霊石ではなく、実はクマミツとゴールドクローバー、そしてニキータコインの方です。宝箱や精霊石の回収のために歩いていると自然に目に入る位置にクマミツやアイテムが配置されているのが何とも絶妙で、思わず他にもないか探したくなるんですよね。ヴァルの「クマミツゥ!」が癖になる

アクション

 後述する育成にも関わるところですが、アクション要素の程よい幅広さも良かったのではないかと思います。
 どのキャラにも3種類の武器が設定されていて、モーションやコンボのスピード感、攻撃範囲、威力等で差別化がされています。モートレアの仕込み杖のような変わり種な武器もあり、敢えて武器縛りを設けることで難易度を上げるという遊び方もありそうですね。私はアクション下手クソなのでナイフで△ボタン連打してました。
 各武器のコンボ自体はかなりシンプルで、アクションゲームが下手な私でも一通り使うことはできるくらいの複雑さでした。ただし、癖のある武器もあるので、誰でも使いやすい強い武器(モートレアのナイフが代表例)は限られてくると思います。
 さらに、ゲーム後半になると精霊器が8種類使えるようになり、精霊器アクションの面でも幅が広がります。単なる範囲攻撃から突進攻撃、敵の攻撃阻害や引き寄せなど、精霊器アクションの幅も結構広く、かつ使えるものが多かった印象です。
 しかし、このゲームはアクションゲームではなくアクションRPGなので、その真髄はアクション要素よりも育成要素にあると思います。
※難易度についてはベリーイージーしかやってないので語れません。

育成

 これまでの聖剣伝説を知らないので過去作と比較してどうかはわかりませんが、本作単体で見てもキャラビルドはかなり自由にできたのではと思います。
 そもそも各キャラクターには一定のコンセプトがあり、例えばヴァルは防御に優れた適性があり壁役かつ支援役として活躍することができます。他にもモートレアは物理アタッカー、パルミナは魔法アタッカー、ジュリはヒーラーのようなイメージで、こうやって見るとFF14ばりにすごくバランスが良いですね。カリナは後述します。
 そして各キャラクターのコンセプトをどのような方向性に伸ばすかを、プレイヤーが自由に考え育成することができます。その方法とは、エレメントボードとアビリティシードの2つです。詳しいことは私の語彙力では説明しきれないのとこれを未プレイで読んでいる人はおそらくいないので割愛しますが、この二つの組み合わせをああでもないこうでもないと考える時間はすごく楽しかったです。
 特にパルミナはキャラビルドが上手くはまって終盤は無限に高火力魔法を撃ちまくる砲台と化したので、育成次第でぶっ壊れキャラを作ることもできます。
 問題はカリナとヴァルで、前者は特化キャラではないので育成の幅が広く最強ビルドを簡単に作りづらい、後者はそもそもコンセプトが火力キャラではないので他キャラと比べるとどうしても性能が見劣りするという課題点があります。
 後者に関しては私はどうにもできませんでしたが、カリナについてはある程度育成によって個性を与えることができそうだなと思います。例えば武器種は槍にし、アビリティシードを物理攻撃力を底上げする構成で組めばモートレアを上回る火力を得ることもできます。槍のモーションは使いやすいですし、なんだかんだカリナも使えるキャラだと思います。ヴァルは私には救えませんでした。ゲーム終盤になるとセイバー魔法を全体に付与できるので、精霊の住処で大活躍できると思います。

私には刺さらなかった点

 作ったこともない素人の自分がゲームにダメ出しするなど烏滸がましいとは思いますが書かせてください。なるべく冷静に書きます。100点の作品というのはゲームに限らずどのコンテンツにも存在しないので許容していただけたらと思います。

脚本(の超細かいところ)

 私にとって一番刺さらなかったのは脚本です。先に弁解しておくと、このゲームにおいては脚本は一番のセールスポイントではないと思いますし、私自身は脚本の粗が全く気にならないほどこのゲームを楽しんだというところは弁解したいです。
 そもそもゲームって映画のように観るだけではなく体験するものなので、脚本さえ良ければ良いわけじゃないよねというのを最近になってようやく理解しました。
 本作の脚本の何が刺さらなかったかというと、自己犠牲を当たり前とする社会システムに共感ができないところ、ではありません。むしろこの点はゲーム内で説明されており、そのシステムに加担していたコーダも葛藤を抱えていたが、世界の維持のため、そしてマナの女神への愛のために責められる覚悟で選んだ選択だったという事情が描かれているので一定理解できます。
 実はシステムを破壊しようとしたオーリンやディロフォロスと動機は同じ「愛」なので、結局のところ大切な人を守るための戦いでしかなく、正しさはどちらにもなかったと私は解釈しています。そしてもちろん、最後に聖剣を掲げたヴァルにも絶対的な正しさはない、ということで…。そう考えると多面的な物語になっていると思うのです。
 しかし、私が気になった点は他に二つあり、一つはこれまでの御子や魂の守り人の中で恋仲になるような者もいたし、家族を捧げることになる者もいたのに、なぜオーリンのように聖剣を抜くに至る者がいなかったのか(もしトレントが追い払っていたからだとすれば、なぜオーリンだけは聖剣を抜くことができたのか)という点です。
 ここは作中で語られないので自分で解釈するしかないのですが、いまだ私の中で解釈しきれていないところです。
 もう一つは単なる感情的な好き嫌いの話で、ロングレンの住民たちがムラ社会の悪いところだけ抽出したみたいな感じですごく厭らしかったところです。最終的にはカリナと和解したので許せますが、この人たちの根本は変わらないんだろうな、また風が荒れたら御子のせいで、とか言うんだろうなと思うとやっぱりムカムカします。でも、それもまた人間ですよね。

サイドクエスト(一部)

 サイドクエストは単なるおつかいからキャラクター像の理解を深めるものまで色々あります。その所感は玉石混交というところでした。印象に残ったサイドクエストもあれば、全く内容を覚えていないものもあります。
 正直に言うと、1割くらいは減らしても特に問題はなかったと思います。

ファストトラベル

 ブースカブーを呼べるようになって以降の話です。
 同一エリア内のファストトラベルはほぼノータイムなのですが、エリア移動を挟むとそれなりのロードが入ります。ひとつひとつのロードは特に長いとは思わなかったのでブースカブーが呼べるようになるまでは気になりませんでしたが、ブースカブーは一旦海に移動し、それから目的地に入場することになるのでロードが2回入ります(フラミーも同様)。特に後半はサイドクエストのために世界中を行き来することになるので、ロードが入る頻度が格段に上がります。それは少しだけ気になりました。

細かいバグ

 回収したはずの宝箱が未取得のアイコンになっていたり、サブクエストを受注していないのに完了報告のアイコン(✔️)が地図上に出てきたり、岩の中に引っ掛かるポイントがあったり、エリスタニアの入り口から走るとなぜか足が地面にめりこんだりとそれなりに細かいバグはありました。進行不能になるものは遭遇しなかったので問題ないと思いますが、全く気にならなかったというわけでもなく……。きっと今後のアップデートで修正されていくと思います。
 なお、ゲームがエラー落ちするという意見を見かけたことがあり、私も一度だけエラー落ちしたことがありますが、これはゲームを定期的に再起動すれば解決する気がします(PS5版の話です)。重いなと思ったらセーブして一度再起動してみてください。

総括

 以上、長々と書きましたが総合してとても楽しいゲームで没頭してしまいました。70時間というのは私の中では上位のプレイ時間で、それほどのめりこむことができたゲームはFF16以来だったので本当に楽しかったです。
 開発陣の皆様、本当にありがとうございました! 次回作があればぜひ買いたいと思いますし、過去の聖剣伝説もやってみたいと思います。

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