ぺン蛸ン

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夢と消えた味噌ラーメン

こんなに広いのに片側一車線か。 町を出て空港へ向かう道中にふと思う。 初めて乗る北海道の高速道路は休日にも関わらず空いていた。気温は9℃、寒々しいがなんとか持ち堪えそうな曇り空が広がる。 150kmの道中は呆気ないもので時折見せる広大な自然をのんびり見つめ、抜かせない事にイライラして詰めるヤリスや追い越し車線を体感180km/hで駆け抜ける軽自動車を鼻で笑い、気づけばICの出口が見えた。 一般道に入ればこれぞと言わんばかりの田園風景。残り5分を示すナビ、飛行機の到着時刻も間

    • 熱冷めやらぬ内に執筆。

       2024年2月7日。小山田壮平(敬称略)がバンドツアーを発表した。9つの開催地の羅列に「岡山」の文字が見えると、寸分の迷いもなく詳細リンクを開き、カードを財布から出し、申し込みを済ませた。  2月24日。電子チケットがメールで届いた。自分が社会人になった5月なんて本当に来ると思えなくなんの感情も湧かなかった。  5月11日。気づいたら本当に5月が来ていた。意外とケロッと働いていた。初めてのライブハウスだったので、システムもよくわからなかった。ボッチザロックで学んだ、「私

      • 社会人一ヶ月目

         四月一日から働き始めて、一ヶ月が経過した。  四月中旬までは研修の日々で、ほとんどの平日を同期と一緒に過ごした。内定式や入社前から、何かあるごとに「同期と仲良くなろう」という思想を植え付けられた。いろいろな手を使って同期との仲を深めさせようとする人事部人材開発担当のことを不審に思っていたが、ほとんどの同期とはまんまと仲良くなり、人事の手のひらの上で転がされる結果となった。  研修が終わり、一週間と少しくらいを本配属として働いた。  三月や四月中旬までのちょこちょことした

        • 評論家と最高の母ちゃん

          「ごちそうさまでした」 三日目になる夕飯を終え、一番に会場を後にする。 視線が見つめる先に、デザートを食べる同期やエレベータの階層など写っていない。 部屋のドアを開け、予め必要最低限のものを入れておいた上着を着ると、息をつく間も無く部屋を出た。 駅まで走って3分、電車で20分、そこから球場までは走って20分といったところか。朝から何度も見た移動経路を思い浮かべながら、最短最速だけを念頭にホテルを飛び出た。 予定通りの快速に乗り、予定通り駅に着いた。順調だ。 さてここ

        夢と消えた味噌ラーメン

          急募「そんなことないよ」

          証明写真が本当に苦手で、どこ見たらいいのかわからないし、表情管理もうまくできないし、自分でイメージしていた顔と受け取り口で印刷されて出てくる顔は全然違うし、自分こんな貧相な顔だっけかと落ち込むし、今まで満足のいく証明写真をとれた試しがない。 そもそも、もう誰でも自由に整形ができるこの時代に顔の証明って意味があるのか。自分を外型的に証明する要素は声でも指紋でもいくらでもあるのになぜ顔。とは思うが一眼でパッと分かるからだろうな。冷静に考えなくても分かることなのでルッキズムを撲滅

          急募「そんなことないよ」

          回りすぎてますね

          帯広から札幌までの料金は7790円。 慌てて起きて帯広駅に向かう朝。切符を買い、経費で落ちるらしいから領収書をもらう。7時54分発の電車に乗り、早起きで疲れていたため景色を眺めることもなく瞼が落ちた。 到着ですよーと起こされるとそこは函館。どう考えても来すぎている。至って冷静なのは早起きしたから。元々札幌で昼食や買い物を想定していたため時間にだいぶ余裕があるのだ。なんの躊躇いもなくまた切符を買い、領収書をもらう。特急に乗車し、先ほどの睡眠の影響から今度は景色を楽しむ余裕さえ

          回りすぎてますね

          四国みやげの話

           3月25日から27日にかけて、高校の友人と四国旅行をした。  高校の修学旅行でみかん狩りをした我々は、社会人を目前とした今、あの頃のみかん狩りをもう一度体験することを試みた。しかし、もうシーズンが終わったとのことで、みかん園は閉園してしまっていた。  出発前からいきなり出鼻を挫かれたが、そんなことで機嫌を損ねる我々ではなかった。青春時代をともに過ごした旧友と7時間も車内にいれば、4人の空気感はあの頃に戻ったように体に馴染んだ。  悪天候の中、愛媛に到着したころには、もう夜

          四国みやげの話

          こんな感じ

          私たちはペン蛸ン(ペンダコン)である。 これは、個性がバラバラな5人の男女が各々の想いを綴る中で出来たペンダコが、これからの人生で大小問わず多くの経験値を得て繋がり、大きな五角形(ペンタゴン)を作るまで成長することを夢見て続く執筆の物語だ。

          こんな感じ