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国はキャリア形成をどう支援するのか

こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。

厚労省が今年4月に発表した、「第11次職業能力開発基本計画」は2025年度までの5カ年計画。今年のキャリコン試験にも出題濃厚な内容ですね。以下、備忘録も兼ねて、今後の方向性と基本的施策を整理してみます。

産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進

(1)IT人材育成を強化
(2)ITや新たな技術を活用した職業訓練(職業能力開発分野)の実施での新たな(3)企業の人材育成の強化

教育訓練給付でも公的職業訓練でもIT分野の講座を充実、だから職業訓練も対面だけでなくオンライン講座を普及させる。ものづくり分野の職業訓練ではARやVR導入。企業ではオーダーメイド型支援で生産性を向上させる。

ITできないと職業能力開発にならないよ、という感じのIT推しです。企業がついてこれるかどうか、二極化の予感。。。

労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進

(1)労働者のキャリアプランの明確化を支援
(2)幅広い観点から学びの環境整備を推進

セルフ・キャリアドックの導入支援
○ 夜間・休日、オンラインを含めた労働者個人がキャリアコンサルティングを利用しやすい環境の整備
○ キャリアコンサルタントの専門性の向上や専門家とのネットワークづくりの促進、企業の人材育成の取組への提案等に向けた専門性の向上
○ IT利活用等の企業横断的に求められる基礎的内容を中心とする動画の作成・公開○ 教育訓練給付制度の 対象講座に関する情報へのアクセスの改善
○ 教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及促進
○ 社内公募制などの労働者の自発性等を重視した配置制度の普及促進

これは言うは易し・・・ですね。導入を支援し、環境を整備しても、ユーザー側のモチベーションがどこにあるのか、キャリアコンサルティングを受けることでどんなメリットを本人が感じるのか、また企業側にとってここに注力する意義を理解してもらうまでがなかなか大変だと思います。

労働市場インフラの強化

(1)中長期的な人材ニーズを踏まえた人材育成戦略
(2)業界、地域のニーズを踏まえた公的職業訓練の実施
(3)職業能力の評価ツール、日本版O-NETなどの推進
(4)ジョブカードの活用推進
(5)職業能力開発政策に関する情報発信の強化

○ 地域訓練協議会等を通じた産業界や地域の訓練ニーズを反映した職業訓練の推進、産学官が連携した地域コンソーシアムの構築・活用促進
○ 技能検定制度・認定社内検定の推進、ホワイトカラー職種における職業能力診断ツールの開発、日本版 O-NETとの連携
ジョブ・カードの活用促進

○ デジタル技術も活用した在職者・離職者、企業等への情報発信の強化

業界のニーズに合わせて職業訓練もやっていきますよ、客観的指標を用いた評価制度もジョブカードも進めますよ。でもジョブカード、内容も理解して実際活用している、というのは3%に過ぎず、内容は知ってるけど活用してないよってのが2割くらい。つまり7割は知らないし、活用もしていない、なかなか浸透していない制度です。ハードル高い。。。

全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進

(1)非正規雇用労働者、女性、若者、シニア、障害者の職業能力開発
(2)就職やキャリアアップに特別な支援を要する方への支援

○ 非正規雇用労働者のキャリアコンサルティングや訓練の実施、求職者支援訓練の機会の確保
○ 育児等と両立しやすい短時間訓練コースの設定、訓練受講の際の託児支援サービスの提供の促進

○ 就業経験の少ない若者に対する日本版デュアルシステムや雇用型訓練の推進、地域若者サポートステーションにおけるニートや高校中退者等への支援の強化

○ 高齢期を見据えたキャリアの棚卸しの機会の確保、中小企業等の中高年労働者を対象とした訓練コースの提供
○ 障害者の特性やニーズに応じた訓練の実施、キャリア形成の支援
○ 就職氷河期世代、外国人労働者など就職等に特別な支援を要する方への支援

ここですよね。先程の項目で「業界のニーズに合わせる」と言うと、業界からすると、何らかのインセンティブがないなら「全員参加型」より「優秀な若者」がほしいわけです。

ここのギャップを行政としてどんな制度で埋めていくのかの方法論がほしい。中高年のキャリアも「職種を選ばなければありますよ」ではなく、「選びたい」のに「選べない」ミスマッチが現状だと思います。

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絵に描いた餅、現場を知らない理想論、ばかりではなかなか業界のニーズと、労働者の希望とのギャップは開くばかり。

それでも労働力人口は減っていき、より生産性を高める構造が求められることは事実なので、「IT」「労働者の自律的なキャリア形成(意識改革)」「企業側のニーズと体制、インセンティブ」がポイントかなと思います。

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