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中小企業のブランディングで気をつけること

ひとりPR会社を起業した、植田聡子です。GWはセミナー用に中小企業向けのブランディングについて、まとめています。

そもそもブランディングなんて中小企業の考えるところではないと思っている経営者もいます。でも、どんな企業でもブランディングすることで、自社の商品サービスを分析して、方向性を作っていくのに効果をもたらします。

企業が提供する3つの価値

企業が顧客に与える価値について、大きく以下の3つとなります

✔️機能的価値・・・機能や性能によってもたらされる利便性
✔️情緒的価値・・・デザイン、色、感情などで得られるポジティブな感情
✔️自己表現価値・・・商品、サービスを所有、体験することで感じられるステイタスや理想の自分にもたらす充実感

機能的価値で差がつきにくい時代だとよく言われています。例えば家電で言うなら、冷蔵庫はどれも冷えるし、凍ります。大容量とかエコとか、ドアの形状とかチルドとかその辺りが差別化のポイントになってきていますが、だんだんその差も小さくなってきていますよね。

機能的価値で差がつきにくくなり、情緒的価値での差別化を図るべき、などがブランディングの初歩的なテキストには掲載されています。わかりやすい事例として「いかにiPhoneが情緒的価値で成功しているか」などと説明していることもあります。

中小企業の場合、まずは「機能的価値」の安定から

でも、中小企業の場合、このパターンを鵜呑みにするのはやや危険です。だって、中小企業はiPhoneを作り続けるリソース(設備も人もお金も)ないですから。

パン屋さんで売っているパンが日によって美味しくないとか、味が違うとかそういうことをユーザー側は全く想定していません。あのパン屋さんの「なんとかパン」はいつも「二百円」でいつも「同じ味」であると信じています。

でも、実際にパン屋さんの立場で言えば、粉の入手先が変わったり、気温や湿度で発酵の具合も変わったり、もしくはシフトの関係で曜日によって作業する人が変わったり。色々なオペレーションの工夫があっての製造過程のはず。クリームパンのクリームは量も甘さも同じであるべきです。オペレーションの中でいかにばらつきがないように品質をコントロールしていくことが非常に大切です。これはBtoCだけでなく、BtoBでも同じこと。でも、これが実は中小企業においては難しいことなんですよね。

とはいえ、機能的価値で少しでもマイナスがあれば顧客は離れていきます

機能的価値を絶対に落とさない


その上での、情緒的価値を並行して整理しながら、最終的に「自己表現価値」に向けていくことになります。この3つの価値のバランスには十分気をつけてください。

機能的価値を軽んじると伸びません

逆のパターンもあります。機能的価値が定義されず、情緒的価値と自己表現価値ばかりを提供するパターンです。

例えば、ヴィーガンメニューが売りのレストラン(注:架空の事例です)。体にもよく、地球環境にもよく、持続可能性な生産であり、それを実現(食べて)している自分って素敵、と思わせるようなマーケティングやブランディング。

でも、「あんまり美味しくない」・・・

これは機能的価値を軽んじています。まあ実際のマーケットはこれでも買う人がいるから成り立っているのですが、マーケットが広がっていかない要因にはこの機能的価値が高くないという点も影響しています。自分たちの商品やサービスの機能的価値に見落としがないか、いわゆるMECEの視点で整理すべきと思います。

ビジネスにありがちですが、自社のサービス商品を展開したいと思った時、自社の弱みに「目をつぶる」「素晴らしいものと過大評価する」パターンもよく見受けます。

機能的価値の安定と情緒的価値は車の両輪

機能的価値が高くても、ださいパッケージ、今一つのデザイン、では売れません。機能的価値は一定の高さまでいけば、あとは「差がつきにくい」という、テキスト通りのセオリーですので、そこでしっかり売るために「情緒的価値」に働きかけることが必要です。

情緒的価値や自己表現価値で成功するのはまさに化粧品業界あたりです。あそこまで多数のメーカーが参入すると、もう本当に差別化が難しく、いかに販路が充実していて、販売促進にコストを潤沢に費やせるかの、競争になってしまうので本当にキツいですね。

マンションに長期修繕計画があるように、商品サービスにも一定期間で必ず見直していきたいものです。機能的価値が一定でも、情緒的価値は外部要因(お客さんの気持ち)あってのものですし、デザインなどは一定のトレンドがあります。商品によっては常にトレンドを追い続ける業界もあるでしょうが、そうでないとはいえ、ウェブサイトやパッケージなどは数年に一度はリニューアルのタイミングをもち、併せて改善点の有無などを分析してみる仕組みを定期的に作っていくのが理想的です。




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