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自分の置かれた環境は本当にダイバーシティが実現されているのか

ダイバーシティ(diversity)とは、「多様性」を意味し、組織マネジメントや人事の分野では、国籍、性別、年齢などにこだわらず様々な人材を登用し、多様な働き方を受け入れていこうという考え方のことです。多様な人材がその実力を最大限発揮することができ、正当な評価を受けることができる企業風土の構築を目指すものでもあります。要は企業、組織など、ある程度のクローズドな組織の中での実現を目指しているわけです。

自分のいる会社、組織には「いろんな人がいるなぁ」とよく思いますよね。性別、年齢、思考、育ってきた環境、学んだ学問。障がいがある方を採用している会社などもあると、ダイバーシティは実現されているかのような錯覚に陥りがちです。

でも、よく考えると、とある組織の経営理念なり、給料なり、商品・サービスなり、働き方なり、あらゆる条件を検討して、なんらかそこに「入ろう」という判断のもとに集まっている時点で、既に「一定のフィルターを通過した類似種系」であるという事実を見逃してはならないと思います。そのフィルターがなければ、「カオスな集団」なわけです。

【個人的見解】過去在籍した会社の傾向

現在の会社の状況は私個人の感想とは異なると思います。特にベルシステム24は経営母体が大きく変わり、業界全体も着々と変化するものなので、あくまで当時の個人的見解です。

ANAに入った時、思いました。みんな、見た目も中の上以上ではある感じでしたし(注:個人的見解)、小さい頃から旅慣れていて、だから語学も好きだし、異文化に対する理解もある。旅好きだからフットワークも軽い。この時点でだいぶ類似種なのはおわかりですよね。

ベネッセに移った時、またANAとは全く違う印象を受けました。地方国立大学教育学部の流れが脈々。教育を教職とは違う形で志す、真面目で責任感もあって、時に不器用で、地味(笑)。ANAではメイクの仕方が地味だと注意されたり、髪型が派手だと気になったりしたものですが、そういうビジュアルに対する指導は皆無でした。教養レベルが時にびっくりするほど高い博識のかたがいたり、文学青年、文学少女が大きくなったような。男女平等というか、女性もバリバリ働いているというのはこういうことなのか、と体感できました。

ではベルシステム24はというと、少し大きめのベンチャーにいるような雰囲気でした。植田ちゃん、とか呼んじゃう感じ。色々なクライアント先に出向して、時々本社に戻って打合せというスタイルなので、帰属意識を重んじるのか、期初の全社を挙げてのパーティーとかとにかくノリがいい!月初はなぜか外で朝礼をする、とかで小石川植物園とかで社訓みたいなのを唱和したり。だんだん思い出してきたら笑える・・・

自治体の場合、地方と東京はだいぶ異なるかもしれません。地方に行くと、そもそも大卒の職業選択が公務員か、地銀などの金融か、などよく言われます。それが東京の場合、信じられないほど多種の職業、職場が存在し、そこで「東京都庁」を選んできます。なので、「がっつり稼ぎたい」人はあまりいません。もっと仕事の意義を重んじたり、一方「生涯安定」的な守りの思考もあるかもしれません。いずれにしても、こんなに一体感のない組織というのは初めてというくらい、縦割り組織です。

余談ですが、居酒屋などで都庁のことを話題にする時「我が社」って隠語を使う人が結構いました。会社じゃないのに「我が社」(笑)
民間企業ではだいたい「うちの会社」かな?その場合。これ言ってるだけで役人の飲み会だってバレる気がします。

横のつながりで自分のダイバーシティを広げる

同一の方向性を目指し、似たような教養レベルの人が一定の試験をパスして集まる類似種集団は、既にその時点で、社会のダイバーシティよりかなり狭い類似の価値観で仕事をしています。

その中で多様な社会をイメージして、意思決定を行う際に、異なる複数の視点から検討できることで、よりよい商品・サービス提供につながるわけです。

noteには若い地方公務員が積極的に発信して、「公務員のありかた」「発信の仕方」など、他の人の取り組みを知ることができます。昔の2ch、5chのようなゴシップ、愚痴などのネガティブモードではなく、前向きな取り組みを知ることは自分の思考をストレッチすることにつながると思います。特に東京のような一極集中のど真ん中にいると、地方市町村の公務員の視点に欠けていることに気づくこともあります。

私自身は、他の広報のみなさんが所属する組織に加入して、情報交換をしたり、勉強会に参加しています。自分の経験だけでは得られない知見や視点を与えられると、また違うステップに進めることもできます。

組織内のダイバーシティは一定フィルターの中での限定的なダイバーシティであることを再度意識して、組織外にも目を向け、もっと広くゆるやかな横のつながりを作っていくことで、柔軟な思考・多様な視点が生まれます。その思考、視点を自分の組織にフィードバックすることが、ダイバーシティの目指すゴールに近づけると思います。委員に女性の数を増やせばいい(クオーター制は一定の効果はあると思っていますが)という目的と手段を混在した解決策は全くダイバーシティから遠い議論になると思っています。





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