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交差地点で約束を/ナイトダイバーズ

「WAGON TRACKS」の音楽の旅も、この曲で一旦幕を閉じます。

最終曲、「ナイトダイバーズ」


これはヒラノ。彼がこのバンドに書いた曲の中でも三本の指には入れたいくらいに僕は好き。レコーディングをする直前の段階ではこの曲は無かったんだけど、ホントにラスト、ギリギリになってデモが届いた。
初めて聴いたとき、僕は何かしてたんだけど、思わずその場で最高級の賛辞の言葉を彼に送った。
だってこのアルバムを終わらせるのにこれ以上ない曲だとは思わないか?
1周目を聴き終わるころには「ああ,この曲が今回のミニアルバムのラストナンバーになるだろうな」と確信していたよ。

楽曲としてはハネたリズムパターンを使って書かれた曲で、僕らの曲では「Bremen」や「コースト」なんかがある。
僕らのルーツのひとつであるThe Strokesのマナーに則って書かれた、ともいうべきか。
Kamisadoを始めたころは、
「日本語を使ってThe Strokesのようなクールさを出す」
というのが合言葉でやっていた。そこから色んなスタイルを自分たちなりに身に着けて今、スッとその感じをやれた気がするんだよな。
ここにも僕らの車輪の跡があったみたいだ。

歌詞についてはヒラノ本人の口からいろいろ聞いてみたいところではあるんだけど、僕のお気に入りの場所をひとつ。

「眼差しで語り合って 丸くなってまた角ばって」

ここを口に出してみると、「っ」が跳ねてるリズムと合わさって実に気持ちいい。
言葉の持つ音の力。言葉の持つリズムの力のことを昔のミュージシャンは「ビート」と呼んだんだけれど、自分のバンドの曲で「ビート」を感じられているのがとても嬉しいなと、歌ってるときに思う。


MVはなかなか楽し気な感じで撮れた。
監督をやってくれたのは昔からKamisadoアーティスト写真も手掛けてくれているPale Fruitの稲本さん。楽曲のムードに合った映像を作ってくれて本当にありがとうございました。

スーツを着込んでロックするのはいくつになっても憧れだ。
Elvis Costelloという歌手を知っているか?メガネをかけたロックスターの中では一番好きだ。いや、John Lennonもいるか。Rivers Cuomoもかなり好きだしなぁ。。。
とにかくテレビショーに出てきた古いロックスターみたいで、いい気分だったという話さ。


さて、「車輪の跡」というタイトルに載せた8曲が、2023年現在の僕らの姿だ。お楽しみいただけただろうか。
できれば2024年も、そのもっと先も、永く愛される作品になってくれないかなと願っています。

2023年は、The Beatlesの新曲が聴けた。The Rolling Stonesの新曲が聴けた。The Strokesが日本に来てくれた。音を鳴らすことを止めなかった人たちの音楽が、また鳴り響いた。
彼らを見ていて思うのは、
「一番カッコいいロックバンドは長く続いているロックバンド」
なんじゃないかなということ。まあこれには諸説あるとは思うけど。ダラダラ続けて醜態をさらすくらいなら、終わってしまったほうがいいこともあるだろうし。

ただ、Kamisadoはできるだけ長く続けていきたいね。このメンバーでの化学反応と楽しさが続く限りは。
まだまだ面白いことがこのバンドはできるなって思ってるし、それをみんなにも見せてやりたい。

John Lennonもチバユウスケも、かつてスターだった彼らは文字どおり星になった時代で、でも僕らはまだ生きている。
止まらない時間を歩いていくからこそ、これからも今を歌っていく。
黄色、青、白。君も僕もバラバラの道を歩いてきたし、これからもきっとそう。
時折それが交わるその路上で、みんなと何度でも再会したい。
どうかそれまで生き延びていてね。

photo by Pale Fruit


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