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健康だけが取り柄だったのに②

8月29日(金)1回目の抗がん剤治療が始まった。

癌の種類はHER2陽性のため、「ドセタキセル」「トラスツマブ」「パージェタ」の3種類の抗がん剤を投与する。
初回はインフュージョンリアクション(発熱等)が激しく出やすいため、一泊二日の入院で点滴を打つように言われていた。

人生初の入院ということもあり、痛む脇腹を横目に気持ちは何故かお泊まり会的な期待をしていた。
今思えば、ステージⅣの癌と告げられていても余裕があったんだなと思う。

入院手続きすら新鮮で、コロナ感染防止のため一人で戦うしかないのだが、看護師さんに付き添われて着替え等を済ます。
そして、ここから毎回頭を抱えるとは思わない魔のライン取りが始まった。

元々、血管が出にくく健康診断の採血も両腕に針を刺されてぐりぐりされるが、太い血管に確実に薬を流し込むためお医者さんが頭を抱えながら血管を探していた。
その時間、およそ30分。

ようやくラインが取れたのは、右手の甲。
利き手である。しかも、動かすと痛い。
この日、薬を打つ時間は7時間。
7時間利き手があまり使えないのだ。

1回目の抗がん剤を流してもらいながら、お昼ご飯を食べた。
空腹ということもあってか、この日出た焼きそばご飯がとてつもなく美味しく感じた。
ガツガツ食べて、完食。

違和感を感じたのは、完食後30分経ってから…
「なんだか妙に寒気がするぞ?」と思い、布団を被りとりあえず寝たが、そこからが地獄だった。
冷凍庫に投げ込まれたのか。というくらい寒気がし、ガチガチ歯を鳴らしながら寒気に耐えた。
ナースコールを押して、バイタルチェック。
この時すでに、39度台を叩き出していた。

ホットタオルを身体中に当ててもらい、耐えていたが2回目のガチガチタイム。
ナースコール。
40度超える熱が出ており、吐き気留め打つ前に体が耐えきれず、吐き出していた。

呼吸も安定しない、寒い、苦しい、辛い…ずっとこんな思いしないといけないのか!とキレそうになりながら7時間の点滴は無事終了。

ヘロヘロになりすぎて、夜ご飯はあまり食べられなかった。
もったいない。

主治医の先生が様子を見にきてくれて、体調について質問してくれたり、気にかけてくれた。
翌日にはきっと退院できるよ、とにこにこしながら病室から消えた。

夜中に何度かナースコールを押して、一晩乗り越えてようやく退院の日。
朝一で採血し、結果待ち。
肝臓の数値は全く下がらなかったが、痛かった脇腹は落ち着いていたため、退院へ。

私が着替え等を済ませる前に、気が早い両親が迎えにきていたようで、事務員さんと慌てて身支度した。
疲れで若干フラつくものの、退院できた喜びがすごかった。
治療を頑張ったご褒美に、マックが食べたいとねだりウキウキ帰宅。

この後すぐに入院するとは知らずに。

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