見出し画像

夫婦会議を実践~出生前診断の結果をどう受け止めるか編~

この度、嬉しいことに第二子を妊娠しました。

第一子は日本で出産しましたが、今回はアメリカで出産予定です。

私は日本の助産師なのですが、日本とアメリカとでは、妊婦健診の流れや検査内容、保険制度などが異なり、毎回勉強になります。


カリフォルニア州では、標準検査の中に出生前診断(日本でいうNIPT、クアトロ、精密超音波検査に近い検査)があり、特別受けないという希望がなければ、妊婦健診の検査項目に含まれています。


各々が入っている保険によってカバーされる範囲が異なるのですが、私が入っている保険では、検査代が全額カバーできるとのことだったので、「いずれ何か見つかるならば、早く見つかった方が色々準備できていいよね」という理由で、検査を受けました。


なのですが・・・受けた後、

『気軽に受けてしまったけど、結果を受け止める覚悟はあるのか』
『陽性になったらどんな気持ちになるんだろう』
親戚が優生思想だったら、どのように切り抜けたらいいんだろう』

と色々考えてしまい、眠れなくなってしまいました。


夫に「色々考えちゃって、最近眠れないんだよ~( ;∀;)」と気持ちを打ち明け、”出生前診断の結果をどのように受け止めるか”『夫婦会議』をしました。

・・・【出生前診断】・・・難しいテーマ・・・

このテーマに関しては、多方面から様々な意見があると思います。
お子さまを亡くされたことがある方、中絶を選んだ方、医療ケア児をお育ての方などが読んだときに不快に思われる内容もあるかもしれません。

ある夫婦がこういう話し合いをしたんだねという、一体験談として
読んでいいただけますと幸いです。


話し合いをする前に、助産師の先輩方にも相談しました。

先輩の自身の経験談や、アメリカの養育フォロー体制について色々教えていただき、”命の向き合い方には色々な考え方があっていい”し、”夫婦でたくさん話し合って決めた選択なら、それがその家族にとって最善の選択”ということも言っていただき、心の緊張が少しほぐれました。


今回も『夫婦会議ノート』を使って、『夫婦会議』を実践しました。

画像1

①テーマ:出生前診断の結果をどのように受け止めるか、結果が出るまでの過ごし方について

私は、この『夫婦会議ノート』と出会えて良かったと心から思いました。
このテーマは、センシティブで、我が子の命とどのように向き合うのかお互いの想いを確認することになるので、とても勇気が入りました。

でも、ノートに書き出したことで、自分の気持ちも整理でき、不安ながらも、夫の我が子への温かい想いも確認することができこの人と結婚して良かったと思いました。

②目的:異国の地で、我が子に染色体異常が見つかった場合、自分たちがどのように向き合うか考えておくため

我が子の命とどのように向き合うかお互いの価値観を確認し、万一検査が陽性だった場合の心の準備をしておきたいと思い、この目的にしました。

③会議の種類:☑気持ちを共有する☑アイディアを出す

話し合いの後、無理に結果を出さなくても良いと思いました。お互い考えていること、価値観を率直に言い合って、今度どのように過ごすかを話し合いたいと思いました。

④『夫婦会議』開始

話し合いの前に、事前に不安なことを書き出しておきました。

【不安なこと】
私:
①結果が陽性だった時のフォロー体制について
どのような流れでフォローがあるのかよくわかっていない

(夫の返答)
検査結果が陽性だったとしても、100%確定ではないから、その後羊水検査を受けるかどうか、出生時の管理、養育医療については、カウンセリングをしっかり受けて、どうするか考えよう。

(①まとめ)
⇒そうだね。結局わからないことを悩んでも仕方がないから、そこは結果が出てから、よく話を聴いてどうするか決めよう。ということになりました。


②私の想い
たとえ検査が陽性であっても、中絶の選択肢はなく、我が子が短命であったとしても、その子が生きられる日まで、一生懸命支えたいと思っている。
夫さんはどうか?

(夫の返答)
いざ、陽性になってみないと、自分がどう思うか正直わからない。
でも、【陰性】だった時、『良かった』と思うということは、『陽性になってほしくない』という気持ちの表れだよね。
万一、染色体異常や持病があった場合、通院や養育環境とか、色々大変な面も大きいと思う。

(②まとめ)
『我が子には健康であってほしい、長生きしてもらいたい』と思うのは自然な感情だから、陰性を願う気持ちはあるよね。お互い我が子の命を大切にしたいという気持ちは大きいけど、実際医療介入が必要になる子どもを育てるとなったら、肉体的にも精神的にも負担は大きくなる可能性はあるよね。

だけど、自分たちだって、完璧な人間じゃないし、足りないところは周りに補ってもらっているし、通院だってするし、生まれたときは健康でも病気が見つかって治療することもある。自分たちが生きづらい環境だったら、生きやすいと思う環境に引っ越すこともある。だから、そういう想いで我が子の命と向き合えると良いよね。

③今の生活で不安なこと
妊娠中は、体調が一日の中でも変動があり、朝元気そうでも、夫さんが仕事に行ったあと体調が悪くなることもある。妊娠前とは明らかに体調が異なっている。
自分の中では、体調不良を伝えているつもりだが、普段の接し方や家事育児の分担が今までと変わらないように感じる。(←普段の不満も漏れなく伝えるw)
また、心の状態も、不安になりやすく、眠れなくなっている。

なので、気安く”中絶する”という言葉を夫さんには言ってほしくない。そういう気持ちなのかと悲しくなるし、結局”自分事ではない”という気持ちが伝わってきて、寂しくなる。

(夫の返答)
一人目の時のつわりに比べて元気に見えるから、どのくらい辛いのか正直、わかっていなかった。自分なりに気遣って家事や育児をしていたつもりだったんだけどね。
自分の子だから、健康だ!という自信はないし、13トリソミーや18トリソミーだった場合は、短命の可能性が高いので、中絶という選択肢もあるかもしれない。だけど、もしそれがわかったら、自分は我が子に試されていると思うかも。

(私の返答)
確かに一人目の時よりは元気だけど、上の子のイヤイヤも重なって結構辛いのよ…(記事最後に掲載の絵を描いて説明w)
体調不良をもっとアピールすべく、オーバーリアクションで行かせていただきます(笑)

(夫が”優生思想”で中絶という言葉を使っていた場合、自分一人で育てることになるかもということも考えていたのですが、実際は、夫も”我が子の命を大切にしたい。だけど、病状によっては中絶という選択肢もある”という言い方をしていたので、悲しい気持ちにはなりませんでした。むしろ、私自身、使命感の方が強くて考え込んでいたところがあったので、夫の想いを聴けたことで気持ちが少し楽になりました。)

(③まとめ)
子どもは親を選んで来るというし、もし自分が短命の運命だとわかっていても、たくさん愛情を注いでくれる人たちだと思うから来てくれるという考え方もあるよね。でも確かに、中絶という選択肢もあるよね。それはよく話し合おう。

対して、夫さんが今考えていること・・・

夫:
①検査の結果よりも、産後の生活の方が不安
海外でサポートも薄い中、2歳半の息子と新生児を育てていけるのか。
赤ちゃんが生まれる頃に、息子がどのくらい成長しているだろうか。

(私の返答)
たしかに。出産後6時間で自宅に戻ってきて、助産師さんが訪問してくれるとはいえ、たぶんすごい疲れると思うから、家事代行は見つけておいた方が良いと思う。お世話できる赤ちゃん人形とか買っておく?笑

(①まとめ)
スーパーの冷凍食品をよく見て、簡単に作れる食材を見つけておこう。
知り合いに聞いたり、びびなび(SFベイエリアの求人サイト)で家事代行・産後ドゥーラを見つけておこう。

②今回はNIPTだったが、その他の出生前診断(クアトロ、精密エコー)を受けるかどうか

カリフォルニア州の標準的な検査なのであれば、保険で全額カバーされるなら、経験としても受けたい。

(私の返答)
今回の話し合いで、夫さんの想いが聞けて安心した。受けてからこんなに悩むのだから、次も受けるかどうかを迷っていたけれど、私も経験として受けたいという気持ち。

(②まとめ)
今後の出生前検査も良く説明を受けたうえで、受けることにしよう。

⑤まとめ

今後の出生前検査も受ける
・検査で陽性になった場合、カウンセリングでよく話を聴く
・悩んでいても、結果は変わらないし、心身ともに良くないので、
 結果が出るまでの間は健康に過ごせる方法を考えながら過ごそう

⑥感想

いつも夫の感想に笑います。この項目好きです笑
また息子が乱入し、サインしていきました笑

画像2

私:
一人で悶々と考えてしまっていたが、話し合いをして気持ちが楽になった。

夫さん:
いつの間にか話し合いが終わっていた。

⑦最後に

私の「辛い」が全く伝わっていなかったので、現在の私の全身状態を説明したときの絵です。絵心のなさ…笑

吐きづわりはあまりないけれど、
・胃は常にモヤモヤして重い感じがする
・頭もたまに痛い
・目がじわーと疲れている感じがある
・背中が重くてだるい感じ
ということを説明。伝わったかな…苦笑

画像3


こんな私に5をくれた美術の先生…ありがとう笑

”芸術とは、単に美しく描くことではなく、
伝えたい想いがあるかどうかが大切である。 エビソ”
 

なんか、それっぽい笑
おしまいです。

今回も長くなりましたが、最後まで読んでくださり、
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?