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【玲美と僕の大切な日】 短編ラブストーリー

割引あり

【玲美と僕の大切な日】

 ある日、戸村隆正18歳は、希望を燃やしながら遥々上京した。
志望校への受験を勝ち取り、大学側の提供する、寮で暮らし始めるためだ。
この大学は、他では例を見ない、入寮の規則がある。
どの新入生でも1年間は、必ず入寮しなければならない規則だ。
 賛否はあったが、『集団生活をさせて、その決まり事や他人への配慮とを、若い間に憶え込ませなければならない』
こう云う、創立者の信念からである。
だが、都内へ住む通学の便利な学生たちの中には、
「口煩い親から離れて暮らせて、こんな良い大学はないよ❤」
こう歓んでる者達も、かなりの数あった。
 戸村隆正の場合は、遠く離れた地方からの上京とあって、一人息子との、初めての別離生活とあり、
「寂しくなったら、いつでも帰っておいで」
と、涙を堪えて見送る母へ、
「勉強をしに行くんだよ。帰って来ちゃダメだろ。連休や、夏休みには帰って来れるんだ。長い旅をさせてるんだと思えば、母さんも寂しくないだろ?」
こう、隆正が慰めるように、両親たちには寂しい別れでもある。
 そんな別離なので、母親はお守りや自分を偲ばせる、手作りのぬいぐるみ・こけし・茶碗や皿に箸まで、数々の品物を山ほど持たせて遣ろうとした。

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6,590字

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