⓪令和だからこそ聴きたい! 昭和・平成の推しアニメ&特撮ソング【まえがき】

今なぜ古い歌に注目しているかというと。
実はそんななものはこじつけに過ぎない! 騙してすまない。
俺は昔のアニソンや特撮の歌が好きだ、超好きだ。なのでこれからこの文章を読む人たちにとって「令和の時代にあって注目すべき理由」をでっち上げるので、何だったらこの記事自体を読み飛ばしてもらって構わない。

いやはや、まったく情報量が多い時代になってきた。スマホの普及でいつでもどこでも配信された映像が視聴できるし、twitterでも面白映像が流れ、共感とバズが今日も洪水のようにやってくる。
電車に乗れば映像広告が飛び込んでくるし、俺たちはいつもどこかで情報を消化しながら生きている。

頭が情報に慣れきってくると、あらゆるエンターテイメントにより大きい情報を求めるようになる。

その潮流にあって、得られるエモーションの大きさは全ての情報に勝る。体験至上主義の到来だ。
だれか100万人の賞賛があるという情報よりも自分ひとりだけでも最高に価値のある情報を求めて、人は今日もウェブをさすらっているのだ。

その中にあって、アニメ・特撮ソングは高コスパのエンターテイメントであり、文脈の宝庫である。
これらの歌のオープニングやエンディングに与えられた時間というのは、テレビ放送時間の関係もあって、およそ90秒程度しかない。
フルの歌が三分半から五分という尺を考えれば、これは暴力的な省略であって、創作者が
「この創作したものを全部見せている時間は無いから四割程度にまで削ってくれ」
と言われたらどうだろうか。無慈悲さが伝わるだろうか?

だからこそひたすらにキャッチーになる。
まるで教科書に書いてある内容をマーカーでライン付けして覚えるべき箇所を抜き出すかのように、秒単位で無駄を行うことを許されないばかりか、その中に置いてメッセージ性をいかに高めるかという創作性でギラつくような強い哲学で創られたのがアニメ・特撮のオープニングやエンディングのテーマソングなのだ。事実は知らん、でもそうに違いない。

つまり情報の塊である。
現代の情報流にさらされる人々においても、きっと刺さる人間には根深くその存在を残すだろう。

ゲーム、ドラゴンクエストの作曲者であるすぎやまこういち氏は
──オーケストラは音楽のご馳走。
という名言を残した。それに倣うならば、アニメ・特撮ソングというのは文脈のご馳走だ。圧縮された歌詞の曖昧な内容をああでもないこうでもないと解釈をくわえてその度にエモーションを発掘する。ヘビロテをするに足る価値が十分に生まれるのだ。

ごたくはここまでだ、次からその魅力を伝えていこう。

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