『私は私のままで生きることにした』キム・スヒョンさん

「私のままで生きる」って難しい。
実際、「自分は自分らしく生きられているから問題ないよ」と胸を張って言える人ってどれくらいいるんだろう。私はとても言えない。
自分っていう人間についてそんなによく分かっている気もしないし、自分を否定的に見てしまう自分との戦いが絶えない。「自分らしく」と思いながら、人と比べて喜んだり悲しんだりしている自分もいる。
だから、この本に何かヒントを求めていたんだと思う。

読んでいく中で、自分の中で上手く消化できない気持ち、くすぶっている想いにぐっと響く言葉をたくさんもらった。

「何枚かの写真で見る他人の人生なんかより、自分の人生のほうがずっと大切なのだから」

「じつは誰の人生もそれほど完璧ではない」

「本物の自尊心は、自分に対する信頼であり、自分は幸せになる権利があると信じる自己尊重感のこと。」

「私たちにとって大切なのは、自分を証明する名刺ではなく、誰かに証明する必要のない自分自身になること。」

この本で強く伝わってくるのは「自分が認め共に歩んでいきたいと思える自分になること」。そのために行動し、自分や他人と言葉を交わす。
正直、そんなことは考えたことがなかった。いつも、「今よりいい自分になりたい」という気持ちだけが先行して、「今の自分のここが足りないから頑張らないと」という気持ちで動いてきたと思う。

他人と比べての評価、数字で決められる幸福度、そんなものに囲まれて生きていく中で、他のものや他の人と比べてしか自分の価値を見出せなくなっていないだろうか。分かりやすい視覚的な情報を通してしか、人や社会を見ることができなくなっていないだろうか。
この本は立ち止まって考えさせてくれる。

今の自分のどこが良い悪いではなくて、今の自分自身を認める。
そして、今よりも自分が信頼できる自分になるために、何をして何をしないのか考える。そして行動する。自分の行動や言葉を一番近くで受け取るのが自分だということを忘れないようにする。
これはたぶんすごく難しい。誰かと比べて評価したり、数字で価値をつけるほうがどう考えても楽だと思う。でも、「私のままで生きる」ためにはとても大事なことだ。

自分を認めること、他人を認めること、自分への信頼が損なわれるようなことはしないこと、自分が信頼できる自分になること、大事にしていきたい。
自分を守ってあげられるのは自分自身だと思うから。


(読了日:2021年10月17日)

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